#08 ランプをこすると・・・






アラビア語から翻訳されたもので代表的なのはフランスのガラン(ガラン版)、マルドリュス(マルドリュス版)、イギリスのウィリアム・レイン(レイン版)、リチャード・フランシス・バートン(バートン版)あたりかな。これまでに日本語で出版されたものは、たいがいこのうちのどれかから翻訳されたものだ、つまり英語またはフランス語からの重訳なんだね

そうなんですか・・・

優美が読んだ岩波文庫版はマルドリュス版、つまりフランス語から翻訳されたものなんだよ。
あと、そこの本棚に河出書房から出たバートン版の翻訳がある

どういった違いがあるのですか?

う〜ん、くわしいことはよく知らないんだけど、まず原典(底本)としたものが違うんじゃないかな。写本によってかなり内容に異同があるみたいだから。それと、翻訳の質と注釈の質・量の問題がある。翻訳者にはアラビア語やペルシア語はもちろん、昔の回教圏の歴史から政治・宗教・風俗に至るまでの知識が問われるだろう?

そうですね、そのあたりの知識がないと誤訳を生じかねませんね

まあ、一般的には、ガラン版やレイン版は残酷趣味の描写を含む物語と、エロティックな物語やエピソードが大幅に割愛されていて、お子さまも読める健全な家庭向きと言われている。
一方のバートン版とマルドリュス版はこうしたカットが施されていない。だから日本でも戦前に一部翻訳されたバートン版は伏せ字だらけだったそうだよ

Hoffmannさんがお持ちなのはカットのない方なんですね

そう。残酷趣味もエロティシズムも、削除されていない方がいいに決まってるさ(^^)

読んでいて気がついたのですけれど、意外なことに、男色趣味のエピソードも少なくないのです

バートン版には翻訳者による「巻末論文」が収録されていて、そこではかなりのページ数を割いて「衆道論」が展開されている。バートンによれば、男色の習慣は個人の精神や肉体、あるいは社会環境や人種の特性によってもたらされるものではなく、地理や風土にその原因がある、ということだ。ちょっと牽強付会の気味なきにしもあらずだけどね(^^)







残酷趣味も、男色も含むエロティシズムも、荒削りな印象ですけれど・・・なにしろ物語がはじまって早々、若い娘が兄弟の王にむかって

「さあ、御槍の一突きでわたくしを、劇しく、つよく突き刺して下さいませ。さもなければ魔神にしらせます!」

と、要求するのですからね(*・_・*)

二人の王は「すっかり空に」なるまで相手をさせられるんだったね(^^)
そんな直接的な表現以外にも、性的な象徴はいろいろあるよ。たとえば、澁澤龍彦が「アラジンのランプ」というエッセイのなかで、件の魔法のランプが、もっとも初歩的な性的シンボルだと指摘している



ランプが・・・ですか?

ランプをこするととてつもない図体の魔神(ジンニー)が現れて、「なんなりとご用を」ってさ、望みをかなえてくれるんだよ(^^;)

(・_・)?

まだわからないかなあ。それじゃあ、床に座りこんで、ランプをこすっている後ろ姿を想像してごらん・・・

はあ・・・(-_-)eeto・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(-_-)??

(笑)このランプを、少年が手で摩擦すると欲望の満足を得るんだよ

あっ(*・o・*);;;



gallery#19と同じようなオチになってしまった(^^;)



引用文は「千一夜物語」豊島與志雄ほか訳(岩波文庫)から