#35 水木ワールド


偏ってますよね、Hoffmannさんのお好みって(^^)

ことに、マンガではそうだね。好きなマンガ家のうちのひとりがこの「水木しげる」だ





水木しげるといえば「ゲゲゲの鬼太郎」、「河童の三平」、「悪魔くん」といったあたりが代表作ということになるのでしょうけれど、Hoffmannさんがお持ちなのは貸本漫画時代の作品ばかりですね

昔は漫画といえば貸本屋が専門で、本屋さんでは雑誌以外の単行本なんてあまりなかったらしいね。まあ、さすがにリアルタイムでは知らないんだけど(^^;)

絵もちょっと独特の味があっていいですね

全20巻ρ(^^ )


読んでみると海外の作家の小説からストーリーを借用したものがたくさんあるのですね。H.P.ラヴクラフト、アーサー・マッケン、デニス・ホイートリー、ライダー・ハガード・・・サキやアポリネールのものもありました。どれも舞台を日本の農村に移していたり、江戸時代に設定したりしていて、それがとても自然なんです

デニス・ホイートリーの翻案ものなんて、タイトルが別な作家の有名なSF小説と同じだね(^^)
「悪魔くん」にはロジャー・コーマン監督、ヴィンセント・プライス主演のAIP映画(「大鴉」)からスピンオフされたシーンもあるよ。だれも著作権だの盗作だのなんて言わない、いい時代だったんだな(^^)
なにしろ、「墓場鬼太郎」なんて、出版社が原稿料を払ってくれないので水木しげるがやめたところ、この出版社は別な作者に続きを描かせていたくらいでね。
もっとも、「墓場鬼太郎」の場合、戦前の紙芝居に「ハカバキタロー」というのがあって、水木しげるもこれをヒントに創作したそうだけど・・・(笑)

絵も、たとえば「鬼太郎夜話」には明らかにダリの絵をヒントにした場面がありますね。「河童の三平」にはオディロン・ルドンの〈蜘蛛〉そのままの蜘蛛の絵も・・・

異界を描けばこのひとの右に出るひとはいないんじゃないかな

ストーリーの話に戻りますけれど、海外の作家の翻案が少なくないというのも、逆に言えば作者が物語の目利きである証拠ではないでしょうか?

これ、盗作だの剽窃だのって、非難する気にはなれないな。当時は誰もがやっていたことだろうし、むしろよく勉強していたんだと思うよ。ちなみにこのひとは本人に言わせると「これしかできなかったから、たまたまマンガを描いてきただけ」で、「漫画は大がつくほど嫌いだから、いっさい読まない」そうだ(^^;)





Hoffmannさんはこのなかで、どの作品がいちばんお好きですか?

う〜ん、どれもいいけど・・・「悪魔くん」かな。これ、立派なユートピア物語だよ。この良さは後のリライト版では薄れてしまっていて、貸本漫画時代の作品がいいんだ。もっとも、水木しげるのエッセイによると、本当は全5巻くらいにするつもりだったのに、1巻、2巻の売れ行きが悪くて3巻で打ち切りとなり、無理につじつま合わせをしてしまったため盛り上がりに欠けてしまった、とある

ρ(^^ )「悪魔くん」のリライト版2種


あと、短編では「花の流れ星」がいいな

・・・Hoffmannさん、ロマンチストですね(^^)
私は物語の王道である貴種流離譚、「墓場鬼太郎」や「鬼太郎夜話」が好きです。幽霊族とか、祖先の霊毛のチャンチャンコという設定もいいアイデアですよ

うん。でも、さっき言ったように、ろくに原稿料ももらえなくて苦労したらしい。そのもらえない原稿料だってたかがしれたもので、その後雑誌の注文が来るようになったら原稿料が貸本漫画の10倍くらいで、奥さんも当人も、たいそうびっくりしたということだ(^^;)

そんななかでもこれだけの傑作をものしていたのはすばらしいですね(^^)



永遠の狂言回し(笑)ねずみ男もこの時期にして随所で活躍してますよ

トリックスターとしての面目躍如たるものがあるね(^^)