#40 「晩夏」




ただいま〜

おかえりなさい

それは・・・アダルベルト・シュティフターの「晩夏」だね

はい、魅力的な表題なので読んでみたのですが・・・

その表情は・・・(笑)つまらなかったんだろう?

ええ、ちょっと退屈でした(^^;)



「晩夏」は“ビルドゥングス・ロマン”、いわゆる教養小説だね。いかにもドイツらしいジャンルの作品だ

教養小説というと、よくゲーテの「ヴィルヘルム・マイスター」が典型的な例としてあげられますよ

ゴットフリート・ケラーの「緑のハインリヒ」なんかもそのひとつだね・・・どれも大作だなあ(笑)
教養小説は「発展小説」なんて呼ばれることもある。主人公がその生きている時代のなかで、さまざまな経験を通じて人間的に成長してゆく、その人間形成の過程を描いた小説のことだ

そう言っただけで、なんだかつまらなそうに思えちゃいますね(笑)

ニーチェはこの「晩夏」をドイツ散文文芸のもっとも完全なもののひとつとして、繰り返し読むに値する「ドイツ文学の宝」であると賞賛しているけどね。繰り返し読む気には・・・ならないかも(笑)

ひとことで言ってしまえば、ある自然科学者の青年がリーザハ男爵の家を訪ねて、男爵とマティルデの若かりしころの恋物語を聞き、結局この青年はマティルデの娘ナターリエと結ばれる。若き日の恋が実らなかった年長者たちは諦念のうちにより高貴な自己を形成し、若者たちはその精神的遺産を受け継いで高貴な人生のうえに幸福な生活を築きあげようとする・・・それだけの小説だ。

まあ、この「晩夏」を読むことがそんなに無駄なこととは思わないけどね。教育や労働によって、またいろいろな経験を経ていくことによって、人間の精神が改革されていく、それこそが人類の希望であった近代人の視点(あえて思想とは言わないよ)で書かれた記念碑的な小説だよね

ここで語られている美と高貴と自然愛、どれひとつとっても悪いテーマなどではないのですけどね(^^;)



dialogue#21に続く