#78 神の子peach




3月3日は、おひな様でしたね(^^*)もうすぎちゃいましたけど・・・

人日(じんじつ、1月7日)、端午(たんご、5月5日)、七夕(たなばた、7月7日)、重陽(ちょうよう、9月9日)とならぶ五節供のうち、上巳(じょうし)の節供だね

奇数月で日にちも月数とほぼ同じのゾロ目なんですね(^^ )

起源は平安時代頃だな。当時は野山の薬草を摘み、これで身体の穢れを祓い、長い冬が終わった喜びとともに厄よけをするという習慣があったんだ。そのとき自分の身がわりに厄を背負った人形を川に流した、それが雛祭りに発展したといわれている。旧暦の3月は桃の花が咲く時期だったので「桃の節供」と呼ばれたんだね・・・だから、元来は男女を問わない行事だったんだよ。これが流し雛が意匠を尽くした人形となって屋内に飾られるに及んで、江戸時代になって女児の祭りとされたものなんだ




「桃の節句」なら、昔話の桃太郎の連想で男の子の節句でもおかしくない気がしますね

桃太郎といえば、川上から流れてきた桃のなかから生まれた童子だね。これが犬・雉・猿をお供にして鬼退治をするという昔話の、主人公の名前、またはその物語のことだね

竹取物語では、かぐや姫は竹から生まれますよね。あと、瓜子姫とか・・・

うん。桃や瓜、竹といった、中がうつろな植物から子供が生まれるというのは、日本古来の水神小童の信仰と無関係ではない。

それに、流れてくる桃から生まれるというのは、うつぼ船の漂着伝説の変形だね。だから、ここから生まれたのが「英雄」であるのは、ごく自然なことだよね




うつぼ船って、なんですか?

大木をくり抜いた船のことだよ、独木船(まるきぶね)ともいう。わかりやすくいえば、カヌーみたいなものだな。

旧約聖書では、ノアは巨大な方舟を作って洪水を逃れたよね。方舟とはその名のとおり箱型の船で、大雨から逃れるためにほぼ密閉された、まさに水に浮かぶ空洞の箱のような船だったと考えられる。

洪水伝説を並べて見ると、普通の船や筏に乗って逃れる話は少なくて、ほとんどが瓢箪や籠、箱(太鼓、桶)など、中がうつろで水に浮かぶ植物製の容器を使って逃れている。これがうつぼ船だね


それでは、桃太郎は洪水伝説と関係があるのですか?

いや、これとは別に、世界の各国には罪の子もしくは異形の子を産んだためにうつぼ船に入れられて流される姫の伝承がある。この場合、うつぼ船に乗せられるのは殆どが女性なんだな。たいていは姦通などの罪でうつぼ船、もしくは箱に入れられ、海に流されたものだ。つまり罪人なんだけど、流れ着いた先で女はその地の男と結ばれたり、あるいは英雄となる子供を産み落として、ある種の神秘的な力を備えた存在となるのが多くの伝承のパターンだ

するとうつぼ船というのは、胎内をも象徴しているのですね(・・;)水は羊水?

優美、さすが( ^^)/(^^*)♪
つまり、うつぼ船という窓のない、空洞の容器――あたかも胎内のようなそれに入り、水を渡っていくことで、この世ならぬ世界に辿り着くこともできるし、自分自身が異能の存在に生まれ変わることも可能となるものなんだね




それでは、水神小童の信仰ってどういうものですか?

水神というのは、水があらゆる生命の生成と存続にとって必要不可欠であるところから発生したものだ。水そのものが超自然的な力を持っているとする信仰だね。これ自体は日本独自のものではない。

ところが、日本では古来から聖なるものは小さな姿で現れると信じられていて、「小さ神」の代表に少彦名命(すくなびこなのみこと)がある。この神様は水辺に現れるんだよね。そんなところから、民間伝承では、水辺に小さな姿で誕生する神の子の物語が、「小さ子譚」として語り継がれているんだ


すると桃はうつぼ船、そこから生まれた桃太郎は水神、すなわち神の子ということになりますね・・・φ(.. ) メモメモ

桃にだって意味があるぞ(笑)桃は多くの実をならせるところから、多産の象徴であり、同時に強い生命力をあらわしているんだよ。中国西部の黄河上流が原産で、古くから「仙果」などと呼ばれ、不老長寿の果物として文芸や絵画に描かれている

たとえばどんなふうに描かれているんですか?

中国には三千年に一度実をならせる桃とか、東南の果てに生えているという、枝の間隔が三千里もある桃の伝説―世界樹としての大桃樹の伝説があるよ。

たとえば「西遊記」には、西王母という崑崙山に住む仙女の庭(蟠桃園)の番をしていた孫悟空が、そこに植えられていた桃を盗み食いするエピソードがある。西王母の庭に植えられていた桃には、それぞれ三千年、六千年、九千年に一度実をつける3種類があり、それぞれ食べた者は、仙人になる、不老長寿になる、不死になるといわれていたんだ。孫悟空が盗み食いしたのは九千年に一度の桃だから、これによって、孫悟空は不死になったとされている・・・

「西遊記」は15世紀頃に書かれた物語ですよね〜さすが原産地とあって、中国では桃が古くから親しまれていたのですね



また、桃は中国ではその香りが邪気を祓う仙木だとされていて、正月に鬼を家に入れない呪術的しるしとして桃板(桃符)を戸口に貼る風習があったそうだ。

こうした桃に対するある種の信仰は日本にも伝わっていて、やはり凶禍を祓うものと考えられていたようだね。桃の実が黄泉の国の軍勢を撃退する話があっただろう?(笑)


「古事記」ですねΣ(・o・ )伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が黄泉の国から逃げ帰るときに、黄泉比良坂の坂本で桃の実を3つ投げつけて、黄泉軍(よもついくさ)を撃退していましたね



すると鬼ヶ島の鬼は、一般的な、災いをもたらす悪鬼ということですね?

鬼ヶ島って、その名のとおり、島だよね。桃太郎とお供の家来は鬼ヶ「島」に渡っている。しかもこの家来は人間ではない。神の子と、「ある種」の動物でなければ渡ることができない道のりだったとすれば・・・

異界、または冥界かもしれませんね

中国の伝承には、さっき言った東海の度朔山にある、三千里に蟠(わだかま)る桃の巨木(蟠桃)の、その東北の隙間(鬼門)を鬼が出入りするとあり、これを神荼(しんと)、鬱累(うつるい)というふたりの神が見張っていて、悪鬼の侵入を退けるという・・・だから、桃太郎の鬼退治は、蟠桃の鬼門にいる悪鬼を退治することを暗示しているとも見ることができるんだ

桃太郎が、桃から生まれた神の子だからですか?

桃太郎の家来は犬・雉・猿だろう? 十二支においては、犬(戌)の隣に雉(酉)、その隣に猿(申)がいる。神聖な存在である雉を中心に、犬と猿がその左右だ・・・そしてこの三家来は、ちょうど鬼門(北東)の相対する位置に配されているんだよ



蟠桃って、ちょっと形が扁平な品種がありますよね。食べてみたいですね(^o^*

あれ、腐りやすくて日持ちしないんだそうだ。そのせいか、日本ではあまり流通していないみたいだね。もし見つけたら、買ってくるよ(^o^ )

お土産にお願いしますね♪