011 「幕間」”ENTR'ACTE” (1924年 仏) ルネ・クレール




 「本日休演」”Relache”はフランシス・ピカビアによるバレエで、音楽はエリック・サティが作曲。

 よく、初演当日、「本日休演」の看板を見てみんな帰ってしまった、なんて知ったかぶりをする人(たとえば私の知人のT君)がいるんですが、それは嘘。パリのシャンゼリゼ劇場でのバレエ・スエドワによる初演は1924年11月29日に行われる予定だったところ、ダンサーで振付も担当したジャン・ビョルリン(ジャン・ボルラン) Jean Boerlin の急病により、本当に休演に。ところがこれもダダイストの冗談だと思った客が扉を無理矢理開けようとして騒動になった・・・というのが真相だったようです。ようやく初演となったのは同年12月4日のこと。

 バレエの幕間に上映された映画がこの「幕間」”Entr'acte”です。エリック・サティとフランシス・ピカビアがパリめがけて大砲を撃ったり、マン・レイとマルセル・デュシャンがチェスをしたり、らくだが引く霊柩車の棺からジャン・ビョルリンが飛び出したりなどと、story性のない作品です。監督はこの時期シュルレアリスムの影響下にあったルネ・クレール。この映画のための音楽もサティの作曲によるものです。

 私がこの映画をはじめて観たのは、高橋悠治のリサイタルでのこと。映画を上映して高橋悠治とアラン・プラーネスがピアノ連弾で音楽を演奏したんですが、演奏前の高橋悠治の説明によると、楽譜どおり演奏すると映画より先に音楽が終わってしまうので、適当にところどころ繰り返しを行って調整します、ということでした。



 
左右からスローモーションで飛び跳ねながら登場するエリック・サティとフランシス・ピカビア

 
ビルの屋上でビルの屋上でチェスをするマン・レイとマルセル・デュシャン デュシャンのチェスの腕前は有名ですね。

 
らくだの引く霊柩車が暴走 追いかける群衆


みんな愉しそうでいいですね(笑)


(Hoffmann)


参考文献

 特にありません。