monologue 2012.03

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2012.03.40 Σ( ̄□ ̄;;

3月もmonologueは丸々お休みしてました。monologue 2012.02.68に引き続き、最近観た映画(DVD)をいくつか取りあげてupしておきます。


「ファイナル・デッドオペレーション」Autopsy(2008年・米)



これは荒木飛呂彦の「奇妙なホラー映画論」にリストアップされているホラー映画をレンタルしてこようとして間違えたの。たぶん「ファイナル」違いで、「ファイナル・デスティネーション」あたりと混同したんだな。こちらは病院を舞台にした安造りなスプラッターもの。スプラッターがいかんということじゃなくてね、ただ単にアタマのおかしい連中がひとを襲うシーンをつなげりゃいいってもんじゃないでしょ。


「ゼイリブ」They Live(1988年・米)



ジョン・カーペンター監督によるエイリアン侵略もの。たしか主役ロディ・パイパーの本職はプロレスラー(それも悪役)だったんですよね。そのためか、後半はほとんどアクション(というよりプロレス)映画で、雰囲気は明るい。トボけた味もあって、そのあたりは楽しめました。異星人の面構えもどことなくユーモラスだよね。


「マウス・オブ・マッドネス」In the Mouth of Madness(1994年・米)



これもジョン・カーペンター作品。ラヴクラフトの描く小説の世界をベースにしてますね。後半やや息切れするものの、悪夢のような邪悪な雰囲気はよく出ていると思います。なかなかの秀作。後に「マスターズ・オブ・ホラー」の一作として監督した「世界の終わり」Cigarette Burns(2005年)は、これと同工異曲といっていいんじゃないかな。なぜかDVDは廃盤後いっこうに再発されず、レンタルで観ました。再発されたら買ってもいいゾ。


「フラットライナーズ」Flatliners(1990年・米)



タイトルは心臓が停止したときの波形のこと(たぶん)。医学生の男女が、意図的に心停止となって臨死体験を試みるという実験を行った結果、過去の罪悪感が蘇り・・・というstory。臨死体験の映像なんて(そんなものがあるならば)、一度死んでみてもいいかなんて思っちゃうくらい、興味をそそられるものですね。この映画はかなーり以前にレンタルVHSで観ておもしろかった記憶があったもんですから、しばらく前にDVDを入手していたんですよ。でもいま観るとちょっと陳腐かなあ。冒頭以外はほとんど医学生5人だけでstoryが進行するのは潔い。ただし実験に参加した4人のうち3人は幻覚を見るだけで、主人公だけが実体化した「それ」に物理的に危害を加えられ、負傷するというのはご都合主義というか、いささか納得がいかないんですけどね。俳優・女優はキーファー・サザーランド、ジュリア・ロバーツ、ケヴィン・ベーコンと、Hoffmannでも名前だけは知っている有名どころ。5人のうち突出しているひともなく、演技は悪くないものの、チャランポラン系の顔つきばかりが並んでいて、とくに主人公はもう少し頭の良さそうな面貌だったらとは思いますね。


「フロム・ヘル」From Hell(2001年・米)



「ナインスゲート」がおもしろかったので、同じジョニー・デップが主演しているこの映画も観てみたの。切り裂きジャック事件を題材に、その真犯人説のなかでもとりわけドラマティックな珍説(これを真相だと思っているひと、いるよね)を採用。でも、この説をもとにした映画はこれがはじめてじゃありませんね。その先達(ここでちょっとだけふれている)をパクっているんじゃないかというシーンも見受けられます。storyはsentimentalに過ぎる印象で、主演俳優のファンでもなかったら、どうということもないんじゃないでしょうか。アバーライン警部の部下役のロビー・コルトレーンがいい味、これはちょっと得な役柄ですね。


「幻想殺人」Una Lucertola con la Pelle di Donna(1971年・伊)



このところエスピーオーが継続してリリースしているホラー映画DVDもうちの1本・・・っちゅうか、このシリーズは全部入手していますけどね。このルチオ・フルチ映画はスプラッターではなく内臓も飛び出さず、サスペンス・ミステリーですね。例によってあまり練りあげられたstoryでもなく、思わせぶりなシーンもそのまんま放り投げただけで、深い内容があるわけでもない。かなり込み入った展開で、そのわりにあからさまに破綻していないだけまだしもかな。どうせならこの監督らしく、やりたい放題やっちゃえばよかった? 駄作よりも印象薄い凡作。ちなみに上の画像、死体なんですが、瞼が動いてますよ(笑)
ルチオ・フルチ監督作品はこのシリーズの中核となっており、これまで出たなかでは「ビヨンド」がいちばんおもしろかったかな。それにしても、ルチオ・フルチという名前を漢字で表記しようろすると、「流血汚・腐留恥」とか、ロクな字が思いつきませんなあ。


「アンチボディ」Antikorper(2005年・独)



タイトルは「抗体」という意味だったかな。レクター博士(「羊たちの沈黙」)みたいな冷徹な頭脳を持った犯罪者と実直・愚直な刑事の心理的駆け引き。徹頭徹尾即物的に物事をとらえ、超合理主義で判断して相手の心理も見通すという犯罪者がいかにもドイツ的。おかげで主役の側がsentimentalにジメジメ悩んでいるように見える、っていうか、悩んでいるんですけどね。終始陰鬱な雰囲気は悪くはないけど、ちょっと息苦しいな。これ観たあとに「羊たちの沈黙」を見直したところ、アチラは内容は決して明るいハナシじゃないのに、やっぱりentertainmentしてるんですね。だから「羊たちの沈黙」はヒットした。どちらがいいとか悪いとかではなくてね、このへんのさじ加減にお国柄というか、監督の姿勢があらわれているんじゃないでしょうか。


「陰獣」Inju, La Bete dans L'onmbre(2008年・仏)



ジャケットのデザインがアレなもんですからポルノまがいの内容かと思ったんですが、乱歩原作、それもHoffmannの好きな「陰獣」ときたら観ないわけにはいきませんからDVDを入手。観てみたら、案外とマトモな映画でした。フランスの推理小説作家が来日、世界的に有名な作家大江春泥に会ってみたいが、相手は姿を見た者のない謎の作家。しかし茶屋で知り合った芸妓、玉緒のもとに大江春泥からの脅迫状が・・・というstory。
前半はおもしろく観ていたんですが、最後の真相が明かされるところでガッカリですよ。いや、storyとか登場人物などに関する原作の改変はかまわないんですけどね、これ、乱歩作品の本質が見失われているんじゃないでしょうか。つまりある男に別な男を殺させる、その結果殺された男からは解放され、殺した側の男は社会的な地位を失う・・・と、犯人がこのように仕掛けた動機はあくまで実利を得るためだったということになっている。そしてその行動も理性的・理知的に計算され尽くしたものであるというのならば、猟奇的なのは単に事件の上っ面だけということですよね。これじゃあ乱歩の作品からはプロットを頂いただけで、あえて「陰獣」を原作として取りあげた意味がない。fetishismとか歪んだ美学とかいった、やむにやまれぬ衝動が動機であって、その結果としての猟奇趣味が描かれるのでなくては、わざわざ乱歩の原作に材を得る必要がありませんよ。「ナンダ、ちっともわかってないんだなあ」という印象です。これなら1977年松竹の「陰獣」のほうが断然よくできています。


「不連続殺人事件」(1977年)



坂口安吾の同名の小説をATGが映画化したもの。むかーし、角川文庫版の表紙にこの映画の(あまりどうでもいいようなシーンの)スチールが使われていて、一度観てみたいと思いながら、機会がなくて未見だった映画です。このたびめでたくDVD化されました。
警察関係者やその描写には省略もありますが、これはドラマの凝縮度を高めるための当然の処置と見えます。従って、細部がカットされたという印象を与えず、むしろ原作の雰囲気をよく伝えています。おざなりなシーンが見あたらず、密度の高い、充実した内容ですね。役者はひと癖もふた癖もある面々が揃っていて、なかでも内田裕也が強烈な印象を残します。台詞なんか棒読みなんですけどね、「ヘタウマ」と言うんでしょうか、じつにいい雰囲気があります。このひとに限らないんですが、台詞は細かいところまで、かなり坂口安吾の原作に忠実なようで、ためにちょいと大時代的な芝居がかったものなんですね。それがリアリティの欠如や不自然さを通り越して、独特な空間を醸成してしまっているのが不思議な効果です。だから演技の下手な女優(ほぼ全員・笑)もあまり気になりません。原作では語り手である作家役の田村高廣も黒子に徹しているにもかかわらず、それなりの存在感を醸し出しているのはさすが。お見事ッ。


「白昼の死角」(1979年)



祝DVD化。戦後の1948年に起きた東大生による闇金事件、光クラブ事件については、三島由紀夫がこの事件をモデルにして「青の時代」という小説を書いていますね。これはその光クラブの残党のひとりである鶴岡七郎が詐欺・手形パクリなどの悪事をはたらいてゆくというstoryで、高木彬光の小説を映画化したもの。キャストは最近まで大学生だったという設定の3人を夏木勲(当時は夏八木)、中尾彬、竜崎勝など、濃いめの中年が演じているんですが、これがじつにいい配役。キャラクターもそれぞれに個性的でおもしろい。女優陣は魅力に乏しいんですが、女優なんかどうでもいいですよ、この映画なら。storyの展開はエピソードの積み重ねに終始するため、終盤やや急ぎ足と見えないこともないんですが、反逆精神を描きながら、挫折感を強調しないところがいい。ユニークなピカレスク・ロマンですね。戦後を引きずっている時代を描いている点も、かえってこの映画にいい味わいを加えているような気がします。お見事っ。





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