043 モーツアルト 歌劇「ドン・ジョヴァンニ」 ※ 所有しているdiscを録音年順に記載します。




 ”Don Giovanni” ※ 新規入手discとコメントは随時追記します。



F・ブッシュ指揮 グラインドボーン音楽祭管弦楽団、同合唱団
ブラウンリー、スエズ、ヘレツグルバー、ラッツァーリ、ダンジェロ、フライシャー、リスト
1936
His Master's Voice ALP1199-1201(3LP)、RCA LCT6102(3LP)、WARNER 0190295801748(9CD)

 HMVは英プレス盤、RCAは米プレス盤。
 セッコの伴奏はピアノ。指揮には強烈な主張はないものの、現代でも通用するモダンなもの。即物的というと印象悪いので、ヒョーロン屋はこういうとき、ザッハリヒとか言うんですよ(笑)オトナの演奏といった味わい。



カイルベルト指揮 シュトゥットガルト放送交響楽団
ハンメス、ライニング、ユングクルト、ハン、パツァーク、デュクル、カラン、ウェーバー
1936.3.27.
PREISER 90263(2CD)


ワルター指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
ピンツァ、レートベルク、ヘレツグ、ルーバー、ボルジョーリ、ラッツァーリ、エットル、ボーカー、アルゼン
1937.8.2.live
MELODRAM MEL716(3LP)

 ザルツブルク音楽祭のlive録音。


ワルター指揮 メトロポリタン歌劇場管弦楽団、同合唱団
ピンツァ、バンプトン、ノヴォトナ、カルマン、キプニス、ハーレル、サヤン、コードン
1942.3.7.live
NAXOS 8.110013-4(2CD)、KING International EPITA038/40(3CD)

 後で述べる理由により、私がもっとも感動した「ドン・ジョヴァンニ」のdicsがこれ―歌手はエツィオ・ピンツァ、アレクサンダー・キプニス、ヤルミラ・ノヴォトナ、チャールズ・クルマン、ビドゥ・サヤンと、卒倒しそうな往年の大歌手たち。ワルターの指揮するオーケストラも見事ながら、この伝説的な名歌手たちのアンサンブルがすばらしく、ほとんど奇蹟と呼びたいような公演の記録。
 奇蹟といっても、ミスがない完璧な演奏という意味ではありません。私が仰天したのは、第二幕でドンナ・エルヴィラとともにいたレポレロが、ドンナ・アンナ、ドン・オッターヴィオ、マゼット、ツェルリーナたちから詰め寄られるところ―ここでレポレロ役のキプニスが出を誤って、しばらくオーケストラとずれたまま迷走するんですが、なんとここでドンナ・エルヴィラ役のノヴォトナが、とっさにレポレロの歌詞をオクターヴ高く歌い、キプニスを正しい位置に導くんですよ。すばらしいじゃないですか。これぞプロ、さらにそのプロが共同して作りあげる芸術作品というものです。歌がいいのはもちろんのこと、私はこれを聴いて、すっかりノヴォトナのファンになってしまいました。


  
Jarmila Novotna。左は「魔笛」のパミーナ、右は「ドン・ジョヴァンニ」のドンナ・エルヴィラ。中央はBruno Walterと。


エルメンドルフ指揮 ドレスデン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
アーラースマイヤー、シェヒ、テシェマヒャー、ホップ、ベーメ、フリック、ワイトリヒ、ブランツル
1943
BERLIN Classics 0325 001(3CD)

 ドイツ語歌唱でセッコはピアノ。音質良好。
 カール・エルメンドルフは1891年生まれのドイツの名指揮者。オペラの録音がいくつか残されていて、「トリスタンとイゾルデ」、「魔弾の射手」、「ルイザー・ミラー」、「フラ・ディアボロ」などの録音も残されており抜粋だったりカットがあったりするものの、どれも充実した演奏。ちなみに1943~44年にシュターツカペレ・ドレスデンの音楽監督を務めており、前任がベーム、後任がカイルベルト。
 アーラースマイヤー、テシェマヒャー、ベーメ、シェヒ、ホップなど、歌手も含めて当時のドレスデンの高いレベルを示すドイツ的な演奏。年代を考えればかなりモダンな感覚で、フルトヴェングラーやクナッパーツブッシュはもとより、ヘーガーとかローターといった穏健派の演奏とも異なる積極性も感じられて、中庸以上の好演。ほかの作品のdiscも含めて思うのは、作品に対する柔軟性があること。このあたり、スカラ座にもたびたび客演して、イタリアにはWagnerを紹介し、ドイツではイタリア・オペラを積極的に取りあげたというエルメンドルフのバランス感覚でしょうか。



セル指揮 メトロポリタン歌劇場管弦楽団、同合唱団
ピンツァ、カーク、スティーバ、バッカローニ、クルマン、ハレル、サヤン、コルドン
1944.12.9.live
ARCHIPEL ARPCD0116-2(2CD)、GOLDEN Melodram GM5.0043(3CD)

 メトロポリタン歌劇場による1944年12月9日のlive録音。歌手はエツィオ・ピンツァ、サルヴァトーレ・バッカローニ、フローレンス・カーク、チャールズ・クルマン、エレオノル・スティーバー、ビドゥ・サヤンと、これまた豪華なキャスト。


フルトヴェングラー指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
ゴッビ、ヴェリッチュ、シュワルツコップ、デルモータ、クンツ、ペル、ゼーフリート、グラインドル
1950.live
米Bruno Walter Society RR-407(4LP)、MELODRAM MEL713(3LP)、EMI 7243 5 66567 2 7(3CD)

 MELODRAM盤及びEMIのCDには〈1950.7.27.〉の表記あり。
 フルトヴェングラー盤といえばドン・ジョヴァンニ役をチェーザレ・シェピが歌ったもの(1953年、1954年。後者は映像収録されたものもあり)が有名だが、これはティト・ゴッビが歌ったもの。レポレロはエーリヒ・クンツ、ドンナ・アンナがリューバ・ヴェリッチュ、ドンナ・エルヴィーラはシュワルツコップ。同じ指揮者の別演奏(録音)と比較しても充分に存在価値があるもの。ことに劇的な振幅の大きさは随一、よく、フルトヴェングラーによる「ドン・ジョヴァンニ」について、モーツァルトの様式とは反するとか、大時代的なロマン化などというひとがいるが、そもそも「ドン・ジョヴァンニ」という作品には、来るべきロマン主義の萌芽が存在するのでは?
 録音が古いせいもあるのかと思うが、とにかく重厚。歌手もどちらかというと、ドラマチックな声のひとが並んでいおり、対極にあるのは、古楽器演奏などではなく、同じように「壮大」だの「デモーニッシュ」だのと評されるクレンペラー盤。ティト・ゴッビはシェピとはかなり違った個性の持ち主。声が重くて、貴族的というより野性味が感じられるので、よけいに演奏がドラマチックに聴こえるのか。オペラ歌手のくせに(?)舞台に出る前に葉巻を一服するというので有名だったひと。

 じつはこの米Bruno Walter Society盤こそ私がはじめて購入したオペラのレコードのひとつ(笑)「ひとつ」というのは、同時にベーム指揮によるバイロイト音楽祭liveの「さまよえるオランダ人」も購入したから。オペラのLPといえばたいがいは2~5枚の組物、お値段もそれなりで、コドモの身分では清水の舞台からバンジージャンプする勢いで小遣いはたかなきゃ買えませんでした。友人とふたりで「思い切ってオペラのレコードを買おう!」と鼻息も荒く、電車に乗って大型レコード店に赴き、内心「こんな買い物しちゃっていいのか」と、ドキドキしながらレジに持っていったもんです(笑)「さまよえるオランダ人」は国内盤でしたが、この「ドン・ジョヴァンニ」は対訳どころか解説書もついていない、ただ配役の一覧が箱に貼り付けてあるだけで、当時はどんなストーリーなのかも分からないまま、毎日聴いておりました。ちなみにそのとき、友人が購入したのはカール・べーム指揮のJ・シュトラウスII世「こうもり」。



ライナー指揮 メトロポリタン歌劇場管弦楽団、同合唱団
シルヴェリ、レズニック、ヴェリッチュ、バッカローニ、コネリー、アルヴァリー、コナー、モスコーナ
1951.1.6.live
WALHALL WLCD0005(2CD)


フルトヴェングラー指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
シェピ、グリュンマー、シュワルツコップ、デルモータ、エーデルマン、ベリー、ベルガー、アリエ
1953.7.27.live
ORFEO C624 043D(3CD)

 ザルツブルク音楽祭live。


フルトヴェングラー指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
シェピ、グリュンマー、シュワルツコップ、デルモータ、エーデルマン、ベリー、ベルガー、エルンスター
1954.live
Electrola(EMI) 153EX29 0667 3(3LP)、foyer FO1017(4LP)、日本コロムビア OP-750912-BS(4LP)、EMI CHS7 63860 2(3CD)

 Electrola盤及びEMIのCDには〈6.VIII.1954〉の表記あり。foyer盤には〈3.8.1954〉の表記あり。日本コロムビア盤には〈1953年〉の表記あるもこれは誤り。Electrola盤はDMM盤。
 ザルツブルク音楽祭live。



フルトヴェングラー指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
シェピ、グリュンマー、デラ・カーザ、デルモータ、エーデルマン、ベリー、ベルガー、エルンスター
1954
DG 073 019-9(1DVD)

 DVD。ヘルベルト・グラーフ演出。観客なしで収録。昔は銀座のヤマハホールで一年中上映しており、よく観に行ったものです。

  


クリップス指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
シェピ、ダンコ、デラ・カーザ、デルモータ、コレナ、ペル、ギューデン、ベーメ
1955
LONDON OSA1401(4LP)、LONDON A4406(4LP)

 米LONDON盤はいずれも英プレス。A4406はmono盤。
 歌手はシェピ、ダンコ、デラ=カーザ、デルモータ、エーデルマン、ベリー、ベルガー、エルンスターと、当時のウィーンを代表する歌手たち。独唱もよく、重唱及びオーケストラとのからみという点でもアンサンブルの見事さでは随一。指揮がやや微温的と感じるのは同時期のフルトヴェングラー盤などを聴いてしまっているため。逆に言うと、「ドン・ジョヴァンニ」のdiscを録音年順に並べてみれば、フルトヴェングラーがいかに特異な存在であるかがわかろうというもの。伝統的なウィーンのスタイルを聴きたければ、これ。



クレンペラー指揮 ケルン放送交響楽団、同合唱団
ロンドン、ツァデク、クニツ、クッシェ、シモノー、ギュンター、シュトライヒ
1955.5.17
TESTAMENT SBT2149(2CD)

 クレンペラーのもうひとつの「ドン・ジョヴァンニ」。音質こもりがちでこじんまりとまとまった印象なれど、クレンペラーらしさではこちらがより個性的。ぶっきらぼうで即物的。このスタイルで近代の音楽をやってもおかしくない。それでいて底に流れる深い内容を感じさせるのは不思議。この録音を聴いてから、よりスケールの大きい上記1965年盤を聴くと、クレンペラーも晩年に至って、(この指揮者としては)ややロマン主義に傾いたのかなとも思えてくる。歌手は可も不可もなし。シュトライヒがブレスの前後で発声が大きく乱れて音程ズリ上げになるのは不調?


ベーム指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
ロンドン、デラ・カーザ、ユリナッチ、クンツ、デルモータ、ベリー、ゼーフリート、ウェーバー
1955.11.6.live
MYTO 00217(3CD)

 ウィーン国立歌劇場1955年11月6日のlive録音。セッコはピアノでドイツ語歌唱。
 歌手はロンドン、ウェーバー、デラ・カーザ、デルモータ、ユリナッチ、クンツ、ベリー、ゼーフリートと豪華。フルトヴェングラーが1954年ザルツブルクで同オペラを指揮し、その没後ザルツブルクではミトロプーロスが指揮を引き継いだわけですが、同じ時期にウィーンではベームが振っていた・・・と。歌手も一部世代交代の兆しあり、記録としてもなかなか興味深いものがあります。



ロスバウト指揮 パリ音楽院管弦楽団、エクサンプロヴァンス音楽祭合唱団
カンポ、シュティッヒ=ランダル、ダンコ、ゲッダ、コルティス、パネライ、モッフォ、アリエ
1956.7.12.live
INA IMV074(3CD)

 ボーナス・トラックに カーラ・カステラニ(ドンナ・アンナ)、レオポルド・シモノー(ドン・オッターヴィオ)による1950年の4曲、1952年の2曲を収録。
 昔から有名な2か月後のセッション録音ではなく、1956年7月12日のlive録音。歌手はマゼットのみ異なる。セッコはPathe録音ではチェンバロで、こちらではピアノ。音質は良好。INA、すなわちRadio Franceのtapeによるdisc。
 序曲冒頭の気迫からして違う。これが同じ指揮者なのかというくらい、ノリがいい。ただし歌手はほとんど同じ面々なので、live録音ならではの臨場感が多少印象をましなものにしている程度。コルティスの「カタログの歌」中の「ウヒヒヒ・・・」も同じだし、そのほか下手なひとはやっぱり下手。



ロスバウト指揮 パリ音楽院管弦楽団、エクサンプロヴァンス音楽祭合唱団
カンポ、シュティッヒ=ランダル、ダンコ、ゲッダ、コルティス、ヴェシエール、モッフォ、アリエ
1956.9.20-28.
Pathe RTX PM30385/7(3LP)、EMI 7 64372 2(3CD)

 箱の色違いで2組あり。こちらは上記の2か月後のセッション録音。
 指揮はややドライで即物的、それだけに古びた印象はない。聴き手に媚びていない、淡々とした語り口でありながら、Mozartならではの軽快感が愉しめる・・・が、歌手がほぼ全滅状態。カンポは弱く、モッフォはそもそも歌手としての才能なし、いい歌を聴かせてくれるのではと期待したダンコのドンナ・エルヴィラとシュティヒ=ランダルのドンナ・アンナは知的表現という点でまったく不満。それぞれドンナ・エルヴィラとドンナ・アンナという女性の性格が把握できていないのか、それとも表現できないだけなのか。いくらかましなのはレポレロのコルティスくらい、ただし笑いながら歌ったりして、すっかり浮いている。



ミトロプーロス指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
シェピ、グリュンマー、デラ・カーザ、シモノー、コレナ、ベリー、シュトライヒ、フリック
1956.7.24.live
SONY CLASSICAL SM3K 64 263(3CD)

 フルトヴェングラーの後を継いでミトロプーロスが指揮したザルツブルク音楽祭live。
 情念タイプのフルトヴェングラーとくらべると、ミトロプーロスの指揮はドライとまでは言わぬが、叙事的。極端なテンポ変動がないためかえって厳しさが際立つ結果となり、ひょっとするとフルトヴェングラーよりもスケールが大きいかも。シェピ、グリュンマー、デラ・カーザ、ベリーといった歌手は引き続き出演、新たにツェルリーナをシュトライヒ、騎士長をフリックが歌っており、たいへん魅力的。



ベーム指揮 メトロポリタン歌劇場管弦楽団、同合唱団
シェピ、スティーバー、デラ・カーザ、ピアース、コレナ、ウップマン、ピータース、トッツィ
1957.12.14.live
MELODRAN MEL439(3LP)、ANDROMEDA ANDRCD9026(3CD)

 メトロポリタン歌劇場live録音。セッコはピアノ伴奏。
 メトのオーケストラもベームが振ると違ったもの。音質はまずまず良好。やはりシェピはさすが。



フリッチャイ指揮 ベルリン放送交響楽団、RIAS室内合唱団
F=ディースカウ、ユリナッチ、シュターダー、ヘフリガー、コーン、サルディ、ゼーフリート、クレッペル
1958
DG SLPM138 050/52(3LP)

 stereo録音。
 フリッチャイのモーツアルトのオペラ全曲盤は、1970年代に国内廉価盤でも出ていたが、もしも歌詞対訳が欲しいのなら、絶対に買ってはいけないレコードなので、注意されたい。翻訳があまりにもひどすぎる。


ベーム指揮 メトロポリタン歌劇場管弦楽団、同合唱団
ロンドン、スティーバー、デラ・カーザ、フラジェッロ、ヴァレッティ、ウップマン、ハーレイ、ヴィルダーマン
1959.2.14.live
Walhall WLCD 0275(3CD)

 これもベームがメトロポリタン歌劇場で振ったlive録音。セッコはピアノ伴奏。
 歌手は1957年12月14日のシェピ、コレナ、デラ・カーザのほかエレアノール・スティーバー、ジャン・ピアース、ロバータ・ピータースから1959年2月14日はロンドン、デラ・カーザ、スティーバー、ヴァレッティに一部変更。
 音質はいずれも良好ながら1959年のほうがやや上。ロンドンも悪い歌手ではないんですが、やはり1957年盤のシェピは及ばず。いずれの盤でもベームの気力が充分ながら、地獄落ちの迫力は1957年がより上回る。



ラインスドルフ指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
シェピ、ニルソン、L・プライス、ヴァレッティ、コレナ、ブランケンブルク、ラッティ、ファン・ミル
1959
RCA LSC6410/1-4(4LP)

 独プレス盤。〈LIVING STEREO〉表示あり。
 ニルソンとプライスは必ずしも役柄にふさわしい声ではありませんが、ニルソンのドンナ・アンナはベーム盤よりもこちらの方が人間味があります。指揮はドラマティックであるよりは安定志向。そのためか、シェピ、コレナも、良くも悪くも「安定の上手さ」と聴こえてしまいます。


ジュリーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団、同合唱団
ヴェヒター、サザーランド、シュワルツコップ、アルヴァ、タディ、カプッチルリ、モッフォ、フリック
1959
Electrola 1C137 1005043(4LP)、Pathe Marconi(EMI) 1005043(4LP)、EMI SLS5083(3LP)、
仏Columbia CCA875a878(4LP)、英Columbia 33CX1717-1720(4LP)

 英Columbia盤はmono盤。
 この時期にして貫禄のジュリーニ、作品のあらゆる要素を消化しつつ、劇的な緊張感にも欠けていない、たいへんすぐれた演奏。ただし歌手はムラがあって、どことなくドイツ風のヴェヒター、シュワルツコップ、対してイタリア風のタディなどがすぐれており、サザーランドとアルヴァが弱い。録音はたいへん良質。意外にもElectrolaの再発盤がいい音。



サヴァリッシュ指揮 ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団、ケルン・オペラ合唱団
プライ、グリュンマー、ヒレブレヒト、シュテルン、ヴンダーリヒ、ノブリヒ、マティス、クラス
1960
DG 476 3676(3CD)

 鮮明なmono録音、2009年にリリース。ドイツ語歌唱。
 プライはどこか楽天的でこれはこれでおもしろいドン・ジョヴァンニ。1960年当時のサヴァリッシュといえばカラヤンをも脅かすほどの人気で、ここでは超一流とは言い難いオーケストラを統率して、歌手も含めて見事なアンサンブルを聴かせてくれる。録音のせいか、ちょっと軽量級と聴こえる。ベームだったら弦はヴィヴラートをかけて金管はわりあい即物的、もっとアタックが強めだから、重量感がある割にモダンな感覚となるところ、サヴァリッシュだと弦もあっさりめで、アタックもそんなにガツンとやらないため、重量感よりも俊足系と聴こえる。



カラヤン指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
ヴェヒター、L・プライス、シュワルツコップ、ヴァレッティ、ベリー、パネライ、シュッティ、ザッカリア
1960.8.3.live
MOVIMENT MUSICA 03.001(3LP)

 ザルツブルク音楽祭live録音。


カイルベルト指揮 バイエルン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
ロンドン、ヒルブレヒト、ユリナッチ、クッシェ、ゲッダ、ペーター、ローテンベルガー、フリック
1962.8.21.live
GOLDEN Melodran GM5.0041(3CD)


クリップス指揮 シカゴ・リリック・オペラ
ギャウロフ、シュティッヒ=ランダル、カーティン、クラウス、クンツ、パンニ、マランゴーニ
1964.11.25.live
MELODRAM MEL464(3LP)


クレンペラー指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団、同合唱団
ギャクロフ、C・ワトソン、ルートヴィヒ、ゲッダ、ベリー、モンタルソロ、フレーニ、クラス
1965
EMI(Electrola) SMA91 494/97(4LP)、La voix de son maitre CAN 172-5(4LP)

 〈ANGEL〉表記あり。
 音質はとても良く、響きの重量感が作品にふさわしい。この盤、この作品のデモーニッシュな側面(のみ)を強調したものと評されることが多いのが不満。デモーニッシュと言うと、たいがいフルトヴェングラーあたりの演奏を思い浮かべるひとが多く、それはそれで正しいのかもしれないが、クレンペラーの演奏はもっとドライで即物的。フルトヴェングラーの情念が渦巻くようなものではない、ずっと叙事詩的な「ドン・ジョヴァンニ」。もちろん淡泊で即物的だからこそ、感じとれるものがあるのであって、少なくとも戦前以来のロマン主義的な演奏とは異なるもの。
 歌手はギャウロフの声がちょっとサディスティックに聴こえるが、それなりに貴族的な品格があって悪くはない。それにしても、こうしてクレンペラーの一連の録音のキャスト表を見ていると、以前はそうそうたる歌手陣だと思っていたが、じつは当時としては積極的に若手を起用した録音だったみたい。「魔笛」が高い評価を得ているのは、(脇役に至るまで)ほとんどの歌手がベテラン勢で占められていたためなのかも・・・。
 ま、とくに日本では、いちど評価の定まったひとは出来不出来に関係なくいつまでもホメられ続けますからね。



ベーム指揮 プラハ国立劇場管弦楽団、チェコ合唱団
F=ディースカウ、ニルソン、アーロヨ、シュライアー、フラジェルロ、マリオッティ、グリスト、タルヴェラ
1966
DG 104 948/51(4LP)

 ベームがプラハ国立歌劇場を指揮しての1966年のセッション録音。戦後このころまでウィーン・フィルハーモニー管弦楽団はDECCAと専属契約を結んでいたので、DGではベームといえどウィーン・フィルを使えなかった。もっとも「ドン・ジョヴァンニ」にプラハ国立歌劇場というのはなかなかに意義深い録音であったとも言える。歌手はフィッシャー=ディースカウ、フラジェルロ、アーロヨ、シュライアー、ニルソン、グリストほか。ドン・ジョヴァンニのF=Dは私の嫌いな歌手だと言うことを別にしても、ちょっと神経質すぎるドン・ジョヴァンニ。ドンナ・エルヴィラのニルソンはイゾルデみたいに気品がある、といえば聞こえはいいが、ここでは気位ばかりが高いといった印象で、神経質なドン・ジョヴァンニがこの女性を誘惑しようとはちょっと考えられない(笑)じっさい、エライ剣幕で詰め寄られてオタオタしているように聴こえる。この録音でいいのはツェルリーナのグリストと、決して超一流とは言いがたいものの、ほの暗い、渋めの音色が作品にふさわしいオーケストラ。


カラヤン指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
ギャウロフ、ヤノヴィッツ、ツィリス=ガラ、クラウス、エヴァンス、パネライ、フレーニ、タルヴェラ
1969.live

 ザルツブルク音楽祭live。


ボニング指揮 イギリス室内管弦楽団、アンブロジアン・オペラ合唱団
バキエ、サザーランド、ローレンガー、クレン、グラム、モンレアーレ、ホーン、グラント
1969
LONDON SLS7232/5(4LP)

 国内盤。1788年初演版と称した録音。
 ボニングというひとは、なにかというと「原典版を採用した」だの「初演版の復元に成功した」だのと言う指揮者だったが、ここでも1788年ウィーン初演版を取りあげ、さらには当時の演奏を「復元」したつもりでいた模様。オーケストラ演奏中にもチェンバロが即興的に加わり、歌もかなり装飾がにぎやか。いま聴くと、後の古楽器演奏の先取りのようにも聴こえなくもないが、かなり恣意的な印象が強い。

 若いひとはあまりご存じないかもしれんが、古楽器演奏って、いまみたいに一般的になるより以前は評判悪かったんですよ。ひとつには評論家の石頭のせいもあったわけですが、きちんとした研究の成果を音にしているというより、かなり感覚的なものだったんですね。たとえば、奏法がどうというよりも18世紀風の衣装を着てカツラまでかぶって演奏する(だけの)団体とか・・・まあ、なんでもはじめのうちは主張も多少大げさでないと誰も振り向いてくれませんからね。ここでも似たような傾向が感じとれます。はっきり言って、特異なリズムもテンポの設定も、指揮者の思いこみじゃないでしょうか。

 ちなみにこの国内盤に添付されている解説書は1976年の発行とありますが、録音は1969年。つまり、日本では売れそうもないだろうとオクラになりかけていたらしいんですよ。じっさい、この国内盤が発売されたとき、レコード雑誌ではさんざんな酷評を蒙って、解説書を書いている評論家が次号に反論を寄せて、さらにまた反論が・・・なんていうことがありました。

 歌手については、ドンナ・アンナを歌っているサザーランドが指揮者ボニングの奥さんなんですが、このひとがまた日本では人気ないんですよね。このひとは発声が独特、マリリン・ホーンのツェルリーナはミスキャスト。ピラール・ローレンガーのドンナ・エルヴィーラ、ガブリエル・バキエのドン・ジョヴァンニはそれなりにいい、あとドナルド・グラムのレポレロ、ヴェルナー・クレンのドン・オッターヴィオはあまり冴えない、というか、クレンは装飾音のおかげで歌がほとんど滑稽になっています、ちょっと気の毒ですね。まあ、珍盤の類。



ジュリーニ指揮 ローマRAI交響楽団、同合唱団
ギャウロフ、ヤノヴィッツ、ユリナッチ、クラウス、ブルスカンティーニ、モナケーン、ミリャコヴィチ、ペトコフ
1970.live


カラヤン指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
ギャウロフ、ヤノヴィッツ、ツィリス=ガラ、エヴァンス、バロウズ、パネライ、ミリャコヴィッチ、フォン・ハーレム
1970.7.27.live
ORFEO C615 033D(3CD)

 ザルツブルク音楽祭live。


サヴァリッシュ指揮 バイエルン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
ライモンディ、M・プライス、ヴァラディ、ディーン、フィッソーレ、ポップ、モル
1973.7.12.live
ORFEO C846 153D(3CD)


バレンボイム指揮 イギリス室内管弦楽団、スコティッシュ・オペラ合唱団
ソワイエ、スグォルダ、ハーパー、アルヴァ、エヴァンス、リナルディ、ドナート、ラッガー
1973
EMI SLS978(4LP)

 ウィーン初演版に付け加えられたものの内、4つの部分を最終面Band2以下に収録。
 あまり好きな演奏でもないが、その後のバレンボイムの演奏を思うと、このころの方がよほど指揮者として充実していたのではないかと思える。歌手はロジェ・ソワイエ、ヘーザー・ハーパー、ジェレイント・エヴァンス、ヘレン・ドナートと、ほかの「ドン・ジョヴァンニ」録音ではなかなか聴けないひとたちで、その意味では貴重。ただしここではいずれもあまり冴えない歌唱で、とくにソワイエのドン・ジョヴァンニは弱い。



ベーム指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
ミルンズ、トモワ=シントウ、ツィリス=ガラ、シュライアー、ベリー、デュージング、マティス、マカーディ
1977.live
DG 2740 194(3LP)

 ザルツブルク音楽祭live。
 歌手は ミルンズ、ベリー、トモワ=シントウ、ツィリス=ガラ、シュライアー、マティスほか。このレコードが出た当時、ベームも衰えてかつての録音に聴かれるような推進力に欠けている、なんて評されていたが、いま聴くと、たしかにリズムは硬いものの、そんなに覇気のない演奏ではなく、それなりに生き生きとしたオーケストラ。もっともやや粗く感じられるのは、指揮者の統率が行き届いておらず、オーケストラが勝手に演奏しているような面があるためかもしれない。歌手は総じて欠点が少なく、live録音であることを考慮すれば可も不可もなし。シェリル・ミルンズは貴族的な気品がいま一歩なれど、数多ある「ドン・ジョヴァンニ」全曲録音のなかでは決して悪くはないもの。ただしレポレロのワルター・ベリーは演技が大げさすぎて、声の衰えをカバーしようとしているみたいで、ちょっと痛々しい。

 1977年だったか1978年だったか忘れましたけどね、ザルツブルク音楽祭の祝祭大劇場で当時売り出し中のキ・テ・カナワがリサイタルやってる同じ日に、小劇場でベテランのワルター・ベリーがリサイタルをやってる年がありました。世代交代っちゅうもんですなあ。



マゼール指揮 パリ・オペラ座管弦楽団、同合唱団
ライモンディ、モーザー、テ・カナワ、リーゲル、ファン・ダム、キング、ベルガンサ、マカーディ
1978
CBS Sony 75AC697-9(3LP)

 CBSソニーの国内盤LP。
 透明といえば透明、オーケストラの響きが軽い。さすがに指揮者のコントロールは行き届いているが、どの場面を聴いても表情は大筋が変わらないから、細部の演出がかえってチマチマとして、スケールが小さく感じられる。作品のドラマ性を放棄したような演奏。解説書によれば、このレコーディングは1978年6月22日から7月6日の間に行われているとされているものの、じっさいに録音に費やされたのは9日間。日程がとびとびだったのは、マゼールが忙しいせいで、この期間ロンドンでヴェルディを計7日、パリでベルリオーズを1日振っていて、パリーロンドン間を往復して一日も休みがなかったんだとか。それと、これはオペラの録音なら当たり前のことながら、録音の順番も曲順とはまったく無関係で、歌手も無駄のないように必要なひとだけが当日集まって出番のところを録音する、といった具合・・・わかっちゃいますけどね、はっきりそう言われると湯冷め、もとい、興醒めしちゃいますね。じっさい、第二幕の終わりまで聴いて、そのまま序曲に戻っても、まるで違和感がない演奏です。
 歌手は女声3人―エッダ・モーザー、キリ・テ・カナワ、テレサ・ベルガンサがまったく違った声質で面白い。これ、ジョゼフ・ロージー監督による映画も製作されていて(私は観ていません)、その関係から容姿も含めて歌手が選ばれているのでしょう。歌手の選定はこの録音の企画者であるパリ・オペラ座の芸術監督ロルフ・リーバーマンらしい。それにしても、女声については、コントラストが効いていてユニーク。ただしモーザー、テ・カナワはあんまりいいとは思えず、前者は明らかに表現が単調、後者は歌い方も発音も癖が強すぎる。ベルガンサももう少し声が若い頃だったら・・・。また男声はライモンディ、ファン・ダムをはじめ可も不可もなしといったところ。



ショルティ指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン・オペラ合唱団
ヴァイクル、M・プライス、シャシュ、バロウズ、バキエ、スラメク、ポップ、モル
1978
DECCA D162D 4(4LP)


ペシェク指揮 プラハ室内管弦楽団、プラハ国民劇場合唱団
ジーテク、ディエポルトヴェ、ハヨーショヴァ、コチアン、ベルマン、イェドリチカ、ヨナーショヴァ、ハケン
1981
Supraphon 1116 3531-3(3LP)

 プラハ初演版による演奏。
 まさに室内楽的でスケールは大きくはなく、劇的な緊張度も高いとは言えない。歌手も国際的な知名度を誇るようなひとも見当たらず。それでも、どことなく小都市の劇場での標準的な上演といった趣があって、intimateな雰囲気のある好演。まあ、「スケールが小さい」、「緊張度が低い」と言ってもいいんですけどね。このdiscが発売されたときも、まるで話題にもならなかったんですが、国際的に活躍している指揮者や歌手を並べればいいってもんじゃないという意味で、ちょっと甘いコメントです・・・とは言うものの、レポレロ役はちょっと発音がおかしい。



ハイティンク指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、グラインドボーン音楽祭合唱団
アレン、ヴァネス、ユーイング、ルイス、ヴァン・アラン、ローンスリー、ゲイル・カヴラコス
1984
EMI 157-1436653(3LP)

 DMM盤。


クーベリック指揮 バイエルン放送交響楽団、同合唱団
タイタス、ヴァラディ、オジェー、モーザー、パネライ、ショルツ、マティス、ローテリンク
1985
Eurodisc 433581(3LP)

 Eurodisc盤LPはDMM盤。
 派手さはないものの、オーケストラはたいへん充実した演奏。歌手はヴァラディが神経質なドンナ・アンナを演じてユニーク。ほかに女声ではオジェー、マティス、男声ではパネライがベテランの味なれど、ドン・ジョヴァンニのタイタスが弱いのが残念。


ムーティ指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団、同合唱団
アレン、グルベローヴァ、マレー、アライサ、デズデリ、デ・カロリス、メンツァー、コプシャク
1987.live
OPUSARTE OA LS3001 D(1DVD)

 DVD。ストレーレル演出。
 歌手も上出来で、舞台はたいへん美しい。


 


アーノンクール指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団、オランダ・オペラ合唱団
ハンプソン、グルベローヴァ、アレキサンダー、ブロホヴィツ、ポルガール、シャリンガー、ボニー、ホル
1988
Teldec 244 184-2 ZB(3CD)

 モダン・オーケストラを起用して古楽器ふうに響かせている。このdiscなどはその「いいとこ取り」が成功している例か。演奏は刺激的ながら、響きは刺激的に過ぎることがない。巨匠時代の古い録音に続けて聴くと、表情付けなどじつに丹念かつ丁寧で、おもしろい。アーノンクールが指揮したdiscは、とりあえず聴いてみたくなって入手するものの、二度三度と聴いて愛聴盤になることはまずない、ところがこの「ドン・ジョヴァンニ」はときどき聴いてもいいかなと思う・・・のは、やはり歌手の魅力が主たる理由か。


ムーティ指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
シメル、スチューダー、ヴァネス、ラミー、ロパルド、デ・カロリス、メンツァー、ローテリング
1990.9.
EMI 7 54255 2(3CD)

 1985年録音のカラヤン盤でドン・ジョヴァンニを歌っているサミュエル・ラミーをレポレロに起用している点で、作品のとらえ方というか、演奏のコンセプトがうかがわれる。とにかく劇的緊張感では随一。地獄落ちの場面は鳥肌もの。


ハーゼルベック指揮 ウィーン・アカデミー合奏団、ルートヴィヒスハーフェン劇場合唱団
ドーメン、ピック=ヒエロニーミ、イゾコスキ、スパニョーリ、マッカリスター、コーン、バリース、コーン
1991.9.7.live
Novalis CRCB-3032~34(3CD)

 プラハのヴィノフラディ劇場における「ヨーロッパ・モーツアルト・フェスティヴァル」でのlive。プラハ初演版による演奏。


マッケラス指揮 プラハ国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
ベスチャスニー、ペトレンコ、マルコヴァー、ドレジャル、ヴェレ、ハルヴァーネク、ランドヴァー、イェドリチカ
1991
DENON COBO4471~2(2DVD)

 韓国盤が格安で出回っていたが、画質が劣悪なので手を出さぬ方が無難。

 


ガーディナー指揮 イングリッシュ・バロック・ソロイスツ、モンテヴェルディ合唱団
ギルフリー、オルゴナソヴァ、マルギオーノ、ダルカンジェロ、プレガルディエン、クラークソン、ジェイムズ、シルヴァエストレリ
1994
ARCHIV 445 870-2(3CD)

 ガーディナーが我が国でも認知されはじめた時期は、まだアナログLPのデジタル録音初期。古楽器演奏も一般的になりつつあった時期と重なっている。そのころのErato録音などを聴くと、録音のせいなのかもしれないが、とんがってるというか突っ張っているというか、とにかく鋭い音。おまけに当時ガーディナーのインタヴュー記事など読むと、ほかの古楽器奏者について、ライバル意識むき出しな挑発的発言が多かった。そのころから比較すれば、ガーディナー(の音)もズイブン丸くなったものです。この「ドン・ジョヴァンニ」など、歌手も含めて、古楽器演奏としては模範的と言っていいかもしれません。ウィーン再演版による演奏。


マッケラス指揮 スコットランド室内管弦楽団、同合唱団
スコーフス、ブレワー、ロット、コルベリ、ハドレー、チウモ、フォシル
1995.7.31-8.11.
TELARC CD-80420(3CD)

 古楽器の奏法を取り入れているようで、それが中途半端に聴こえないのはさすが知性派の指揮者。オーケストラが溌剌としていてすばらしい。歌手はスコウフス、ロットなどが魅力的。


クイケン指揮 ラ・プティット・バンド、ナミュール室内合唱団
ヴァン・メヘレン、ヴィンク、ヘーグマン、シェーファー、クレセンス、ヴリエス、アージェンタ、ファン・デル・カンプ
1995.10.20.live
ACCENT ACC24269(9CD)

 シギスヴァルト・クイケン指揮ラ・プティット・バンドの演奏はアンサンブルを重視した演奏ながら、緊張感にも不足はない。オーケストラが活躍する箇所(地獄落ちとか)はティンパニの強調などでスケール感もあるんですが、アリアとなるとやはりやや軽量化された「ドン・ジョヴァンニ」と聴こえる。テンポなど、とりたてて奇をてらったものではなく、どちらかといえば穏健派なのに、個性的と聴こえるあたりがさすが。プラハ初演版による1995年の録音。


J-C・マルゴワール指揮 王宮大厩舎・王宮付楽団
リヴァンク、ボルスト、ジャンス、エドワーズ、クラセンス、ドネリー、マラン=ドゥゴール、ドネリー
1996
naive E8904(8CD)


ハーディング指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
ハンプソン、シェーファー、ディーナ、ベチャワ、ダルカンジェロ、ピサローニ、バイラクダリアン、ロイド
2006
DECCA 074 3162(2DVD)

 クシェイ演出。


ヤーコプス指揮 フライブルク・バロック・オーケストラ、RIAS室内合唱団
ヴァイサー、パシフニク、ペンダチャンスカ、レガッツォ、ボルシェフ、イム、グエルツォーニ
2006.11.
harmonia mundo FRANCE 801964.66(3SACD)

 1788年ウィーン稿による。


ヤーコプス指揮 フライブルク・バロック・オーケストラ、RIAS室内合唱団
ヴァイサー、ビストレム、ペンダチャンスカ、グーラ、ボルシェフ、イム、グエルツォーニ
2006
harmonia mundi HMD9809013(1Blu-ray)

 演出はVincent Boussard。


マッケラス指揮 コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団、同合唱団
キーンリーサイド、ポフラフスカヤ、ディドナート、ヴァルガス、ケテルセン、グリアドウ、パーション、ハーフヴァーソン
2008
OPUS ARTE OA BD7028 D(1Blu-ray)

 演出はフランチェスカ・ザンベロ。1991年にモーツアルトが「ドン・ジョヴァンニ」を初演したプラハのエステート劇場で行われたモーツアルト没後200年記念live。


フリッツァ指揮 マルケ地方財団管弦楽団、マルケ・ヴィンチェンツォ・ベッリーニ合唱団
ダルカンジェロ、パパタナシュ、レミージョ、ミラー、コンチェッティ、コッロ、ビシェリエ、イオーリ
2009
Cmajor 749404(1Blu-ray)

 演出はピエール・ルイジ・ピッツィ。


ユロフスキ指揮 エイジ・オブ・エンライトゥンメント管弦楽団、グラインドボーン合唱団
フィンリー、サムイル、ロイヤル、バーデン、ピサローニ、ロコンソロ、フィンリー、マイルズ
2010
EMI 50999 0 72017 9 0(2DVD)

 演出はジョナサン・ケント。2010年のグラインドボーン新演出。
 アホみたいにdiscが取り出しにくいケースだ。