044 モーツアルト 歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」 ※ 所有しているdiscを録音年順に記載します。




 ”Cosi fan tutte” ※ 新規入手discとコメントは随時追記します。



F・ブッシュ指揮 グラインドボーン音楽祭管弦楽団、合唱団
スエズ、ヘレツグルーバー、ナッシュ、ドームグラフ=ファスベンダー、エイジンガー、ブラウンリー
1935
EMI 7 63864 2(2CD)、WARNER 0190295801748(9CD)


カラヤン指揮 フィルハーモニア管弦楽団、同合唱団
シュワルツコップ、メリマン、シモノー、パネライ、オットー、ブルスカンティーニ
1954
EMI RLS7709(3LP)


ベーム指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
ゼーフリート、ヘルマン、デルモータ、クンツ、オットー、シェフラー
1954.8.2.live
ORFEO C357 942 I(2CD)

 ザルツブルク音楽祭live。


ベーム指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
デラ・カーザ、ルートヴィヒ、デルモータ、クンツ、ローゼ、シェフラー
1955
仏DECCA 592128(3LP)

 歌手はクンツ、シェフラーがいい。


ロスバウト指揮 パリ音楽院管弦楽団、、同合唱団
シュティッヒ=ランダル、メリマン、ゲッダ、パネライ、シュトライヒ、コルティス
1955.7.26.live
vive IMV078(6CD)

 INA Archives。
 エクサン・プロヴァンス音楽祭live。セッコはピアノ。
 ロスバウトの指揮はややドライな印象、これは録音(ホール)のせいもあるのかも。それでも冷たく無味乾燥というわけではなくて、音楽は明快、小歌劇場の上演に接しているようなintimateな雰囲気がある。個人的にはロスバウトには「ドン・ジョヴァンニ」よりも、この「コシ・ファン・トゥッテ」の方が適しているように思われる。
 同作品のlive録音は1957年盤もあるが、歌手はそれぞれに魅力的。「ドン・ジョヴァンニ」で文句を付けた歌手も、ここでとびきりの名唱を聴かせてくれるというほどではなく、しかしこの作品では問題なし(笑)これはあくまでやや大げさに言えば個人的な「コシ・ファン・トゥッテ」観みたいなもので、このオペラは、重唱のアンサンブルができていれば、むしろ飛び抜けた大歌手なんかいないほうがうまくいく、そんな作品のように思わっている。そんなわけで、ロスバウトのモーツァルトを聴きたくなったらこの2組のdisc、そのどちらを取り出してもいい。
 じつは1955年盤の方、これはエクサン・プロヴァンス音楽祭live録音集と呼ぶべき5枚組で、この「コシ・ファン・トゥッテ」のほかに、クリュイタンスによるグノーの歌劇「ミレイユ」(1954年)、ロスバウトのピアノ伴奏によるボリス・クリストフのリサイタル(1955年)、作曲者のピアノとミュンシュ指揮によるプーランクのピアノ協奏曲(1950年)、デゾルミエール指揮のメシアン「トゥーランガリーラ交響曲」(1950年)と、なんとも貴重な録音が収録されたセットなんですよ。



カンテルリ指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団、同合唱団
シュワルツコップ、メリマン、アルヴァ、パネライ、シュッティ、カラブレーゼ
1956.1.27.live
Paragon ANF-172(2CD)


ロスバウト指揮 パリ音楽院管弦楽団、、同合唱団
シュテッヒ=ランダル、ベルガンサ、アルヴァ、パネライ、アダーニ、コルティス
1957.live
fnac Rappel4(3LP)、vive IMV024(2CD)


 INA Archives。
 エクサン・プロヴァンス音楽祭live。
 こちらは1957年のlive。これもセッコはピアノ。


ベーム指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
シュワルツコップ、ルートヴィヒ、クメント、プライ、シュッティ、デンヒ
1960.7.27.live
MELODRAM MEL708(3LP)

 歌手はシュワルツコップ、ルートヴィヒ、プライ、クメント、シュッティ、デンヒと、「コシ・ファン・トゥッテ」の歌手はこの6人だけなのに、なぜか伊Melodram盤LPの箱の表面ではデンヒの名前だけ表記されていないという、デンヒに気の毒なレコード(笑)


ベーム指揮 フィルハーモニア管弦楽団、同合唱団
シュワルツコップ、ルートヴィヒ、クラウス、タディ、シュテフェック、ベリー
1962
Electrola 1C163-01 182/4(3LP)、Pathe Marconi 1017203(3LP)

 〈ANGEL-SERIES〉表記あり。
 私が物心ついたころには、このベーム指揮フィルハーモニア盤が「歴史的名盤」とされていた。ベームも気力充分で、シュワルツコップとルートヴィヒによる姉妹がすばらしいというのがその理由。たしかに、安定感という点では随一。
 歌手は、シュワルツコップはルートヴィヒと歌っているときはいいのに、男声が加わるとちょっと浮いてしまう。男声がダメなわけではないが、若干割食ってしまっているのか。デスピーナ(これも重要な役)のシュテフェクはいま一歩。



ヨッフム指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、RIAS室内合唱団
ゼーフリート、メリマン、ヘフリガー、プライ、ケート、F=ディースカウ
1963
DG SMG-9002(1-3)(3LP)


クリップス指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
ヤノヴィッツ、ルートヴィヒ、ダラポッツァ、ベリー、ミリャコヴィチ、ヴェヒター
1968.9.22.live
ORFEO C697 072 I(2CD)


スウィトナー指揮 ベルリン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
カサピエトラ、ブルマイスター、シュライアー、ライプ、ゲスティ、アダム
1969
ETERNA 8 26 113-115(3LP)

 ややこぢんまりとしているが、歌手はなかなかバランスがいい。


クレンペラー指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団、J・オールディス合唱団
M・プライス、ミントン、アルヴァ、エヴァンス、ポップ、ゾーティン
1971
EMI SLS961(4LP)、Pathe Marconi(EMI) 2C165-02249/52(4LP)

 演奏はこの作品としては異色。はじめて聴いたときは、まるで悲劇だなあとびっくりしたが、その後聴くたびにこの演奏こそ作品の本質をついているんじゃないかと思えてきた。歌手は男声のほうが目立つが、ポップのデスピーナ、イヴォンヌ・ミントンあたりが私の好み。ドラベルラ役は得な役で、どの録音でもいい歌手はそれぞれに評価される。ところがフィオルディリージ役ときたら、大歌手のおかげで、ほかの多くの歌手はそれなりに好演していてもなかなか評価されない・・・。もちろん、大歌手というのはシュワルツコップのこと。私はあまり好きではないが、それでもこのマーガレット・プライスのフィオルディリージはちょっと弱いと聴こえる。


ショルティ指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、CG王立劇場合唱団
ローレンガー、ベルガンサ、ディヴィス、クラウゼ、ベルビエ、バキエ
1973
DECCA D56D 4(4LP)


ベーム指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
ヤノヴィッツ、ファスベンダー、シュライアー、プライ、グリスト、パネライ
1974.live
DG 2740 118(3LP)


 ベーム80歳記念のザルツブルク音楽祭live。
 やっぱりliveの醸し出す雰囲気は何物にも代えがたく、私はベームの指揮なら世評の高いフィルハーモニア管弦楽団とのセッション録音よりこちらの方が好き。ヤノヴィッツなんて、シュワルツコップより毅然とした感じがあって、いいですよ。


ロンバール指揮 ストラスブール・フィルハーモニー管弦楽団、ライン・オペラ合唱団
テ・カナワ、フォン・シュターデ、レンドール、フッテンロッハー、ストラータス、バスタン
1977
Erato RX2805~07(3LP)

 当時売り出し中だったテ・カナワ、フォン・シュターデを姉妹役に、フッテンロッハー、レンドール、ストラータス、バスタンと並べている。私はテ・カナワの声は好きではないが(というか、嫌い・笑)、これも個性と思えば全体に歌は水準以上の全曲盤。
 問題は指揮者で、どうもオーケストラと歌がかみあわない。ロンバールに関しては、まあ、このひとのdiscがほめられているのを聞いた記憶も読んだ記憶もなくて、それも納得なのが、歌とオーケストラの表情のアンバランス。なんでかなーと考えてみると、このひとは勢いのある指揮をするわりに、ドラマの表出に無関心である模様。だから歌手に寄り添うようなそぶりを見せないという演奏になって、チグハグな印象を残すのかもしれない。



サヴァリッシュ指揮 バイエルン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
M・プライス、ファスベンダー、シュライアー、ブレンデル、グリスト、アダム
1978.2.25.live
ORFEO C918 182 I(2CD)


ムーティ指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
マーシャル、バルツァ、アライサ、モリス、バトル、ファン・ダム
1982.live
Electrola 1C157 1435163(3LP)、Pathe Marconi 1435163(3LP)

 Electrola盤はDMM盤。
 1982年ザルツブルク音楽祭live録音。
 ムーティはわりあい好きな指揮者。しかし残念ながら手放しで賞賛というわけにはいかない。歯切れがいいというよりちょっと鋭すぎて、もう少し角を丸めてくれた方が私の好み。歌手はマーシャルあたりはいいものの、全体にそれぞれてんでバラバラ、あさっての方を向いて歌っているよう。とくにアグネス・バルツァというひとは、自分が目立つことしか考えていないし、デスピーナのキャスリン・バトルに至っては下手なくせに出しゃばり。もっともこのdiscの悪口を言うひとはあまりいないようなので、以上、うっかり読んじゃった(笑)ひとも、私のコメントなど参考にせず、自分で聴いてみてくださいよ(笑)



ハイティンク指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、グラインドボーン音楽祭合唱団
ヴァネス、ツィーグラー、アラー、デュージング、L・ワトソン、デズデリ
1986
EMI 157-1436653(3LP)、EMI 7 47727 8(3CD)

 LPはDMM盤。


ムーティ指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団、同合唱団
デッシー、ツィーグラー、クンドラク、コルベルリ、スカラベッリ、デズデリ
1989.live
OPUSARTE OA LS3006 D(1DVD)


 DVD。演出ハンペ。
 1982年のザルツブルク音楽祭録音にくらべて歌手が一段落ちるという評価が一般的だが、まとまりはよい。


クーン指揮 マルキジャーナ・フィルハーモニー管弦楽団、マルキジャーナ《V・ベルリーニ》歌劇場合唱団
アントナッチ、バチェルリ、デッカー、ドーメン、チェリチ、ブルスカンティーニ
1990.live
ORFEO C243 913F(2CD)


 1990年マチェラータ音楽祭live。
 一時期、「コシ・ファン・トゥッテ」を聴こうというときに、もっとも取り出す機会の多かったdiscがこれ。おそらく歌手の選定には指揮者クーンの意思が働いているものと思われる。大スター不在はスタンドプレーの排除、アンサンブル充実の実現をめざしているからではないかな。作品に対する誠実な姿勢がうかがわれ、音楽も愉悦感に不足はなく、さりげなく高度な完成度を誇る公演となっていると思います。これでいいんですよ。


クイケン指揮 ラ・プティット・バンド、ナミュール室内合唱団
イソコスキ、グローブ、シェーファー、ヴォルスタッド、アージェンタ、クレセンス
1992.10.7.live
ACCENT ACC24269(9CD)



J-C・マルゴワール指揮 王宮大厩舎・王宮付楽団
フルニエ、ポルヴェレッリ、エドワーズ、リヴァンク、マラン=ドゥゴール、ドネリー
1996
naïve E8904(8CD)