054 マリアン・アンダーソン リンカーン記念堂の75,000人コンサート





Marian Anderson

 マリアン・アンダーソンMarian Andersonは1897年、フィラデルフィアの貧しい黒人家庭に、三人姉妹の長女として生まれました。6歳で地元フィラデルフィアのバプティスト教会堂聖歌隊メンバーとなり、中学の時から音楽教育を受けはじめ、15歳の時には父親が事故で亡くなり高校進学を一時諦めるも、本格的な発声を学び、1920年、23歳の時に著名な声楽教師ジュゼッペ・ボゲッティの指導を受けることになります。このレッスンは貧しい彼女のため、無料で行われたそうです。その後、高校は24歳で卒業したものの、大学進学は断念せざるを得ませんでした。

 1923年にはフィラデルフィアの声楽コンテストで優勝、1925年にはニューヨークでの声楽コンクールで第一位となり、ニューヨーク・フィルハーモニックとの共演で絶賛されます。1927年には英国へ留学、1930年にはドイツへ拠点を移し、ドイツ歌曲を学びつつデビュー・コンサートを飾り、以後北欧諸国への演奏旅行に―。

 1934年にはシベリウスの自宅で歌い、歌い終わるやこの大作曲はメイドに「シャンパンの用意を!」と叫び、1935年のザルツブルク音楽祭では、そのリサイタルを聴いたトスカニーニが「今日ここで聴いた歌は百年に一度の歌唱でしたよ」と賛辞を述べ、拍手が禁止されていた小都市の教会では、聴衆全員が(拍手が禁止されていたので)頭上高く掲げたハンカチを振り、続いて黒人霊歌「主は十字架の上に」を歌うと、そのハンカチで涙を拭っていた・・・。


Marian Anderson

 問題は出身地アメリカで―1939年にDARすなわち「アメリカ独立戦争従事者革命の娘たち」Daughters of the American Revolutionはアンダーソンに対し、同団がワシントンDCに所有するコンサートホールDAR Constitution Hallで人種の区別をしない聴衆に向かって歌う許可を出しませんでした。この団体は1890年に結成された婦人団体で、その所有管理するホールは憲法記念館ホール。4,000人収容の当時ワシントンでは最高のコンサートホールでした。これが黒人であるという理由でアンダーソンの使用を認めなかったのです。

 このとき、時のファースト・レディであったエレノア・ルーズベルトを含む数千人がDARを脱会。そしてエレノアは夫フランクリン・ルーズベルトに働きかけて、内務省長官ハロルド・イッキーズの尽力によりリンカーン記念堂における野外コンサートを提案、これを実現させます。

 こうして開催されたのが1939年4月9日のイースターの日曜日の75,000人のコンサート。アンダーソンはこの首都に位置するリンカーン記念堂の階段上で熱唱、喝采を浴びました。会場には人種の別なく詰めかけた75,000人の群衆、そしてラジオでは数百万人が聴き入っていました。

 
Marian Anderson, 1939.4.5. Lincoln Memorial concert

 なお、アンダーソンが、1943年にはDARの招待に応じて、かつて歌うことを禁じられたホールで人種を区別しない聴衆へ歌を披露したことは付け加えておきましょう。これはアメリカ赤十字社のための慈善事業の一環でした。その一方で、対照的に、コロンビア特別区教育局は引き続き彼女が区内の高校の講堂を使用することを禁止し続けていたこともふれておかなければ片手落ちですね。


Marian Anderson Constitution Hall 1943

 なお、アンダーソンは1953年に我が国に来日しており、東京、大阪、広島、名古屋においてコンサートを開催しているのですが、日比谷公会堂でのリサイタルには、折から来日していたエレノア・ルーズベルトもまた忙しいスケジュールの合間を縫って会場を訪れ、アンダーソンを感激させたとのことです。

 こうして人種差別の扱いを受けながらも、アメリカの黒人アーティストのために壁を打ち破り続けていったアンダーソンは、1955年1月7日に黒人歌手として初めてニューヨークのメトロポリタン・オペラの舞台に立ちました。このときの演目はジュゼッペ・ヴェルディの「仮面舞踏会」で、翌シーズン同年12月10日のlive録音がSony ClassicalからCD化されています。

Verdi:Un Ballo in Maschera
Dimitri Mitropoulos, The Metropolitan Opera Orchestra and Chorus
Z.Milanov, R.Perters, M.Anderson, J.Peerce, R.Merrill
December 10, 1955
Sony Classical 88697 91002 2(2CD)


 このアンダーソンの活躍があってこそ、続く世代、レオンタイン・プライス、グレース・バンブリー、シャーリー・ヴァーレットらの出演が実現したのです。


メトロポリタン歌劇場でのヴェルディ「仮面舞踏会」におけるウルリカ役

 彼女はまた、国連の自由権規約人権委員会の使節並びにアメリカ合衆国国務省の親善大使を務め、世界中でコンサートを行い、数多くの栄誉に輝きました。それほどの人でありながら、町の住人としては有名人であるからと先を譲られることを拒み、店やレストランでは列に並んで順番を待ったということです。人柄が偲ばれますね。金持ちが金持ちぶらないのと同じように、本当に偉いひとは偉ぶらないのですよ。

 歌手としては1965年に引退、引退ツアーは1964年10月24日のコンスティテューション・ホールを皮切りに、1965年4月18日のカーネギー・ホール公演にて締めくくられました。その一部は録音が残されています。そして1993年4月8日、うっ血性心不全により96歳で他界されました。


Leonard Bernsteinと共演

 さて、マリアン・アンダーソンのdiscで真っ先に取り上げたいのはこちら―

Brahms:Viola Sonata No.1(1946)
 William Primrose (viola)、William Kapell (piano)
Brahms:Viola Sonata No.2(1937)
 William Primrose (viola)、Gerald Moore (piano)
Brahms:Two Songs for alto, viola obbligato and piano(1941)
 Marian Anderson (contralto), William Primrose (viola), Franz Rupp (piano)
Brahms:Dein Blaues Auge, Immer Leise wird mein Schlummer, Der Schmeid, Alto Rhaosody(1939)
 Marian Anderson (contralto), Eugene Ormandy, The Philadelohia Orchestra,
 University of Pennsylvania's Men's Glee Club
BiddulphLAB150(CD)


 英BiddulphのCD。ヴィオラ(すなわちアルト)とアルト歌手というユニークな企画。ヴィオラのプリムローズとマリアン・アンダーソンに焦点を当てたブラームスの歴史的録音集。録音年は作品名の後に記載しておきました。プリムローズのヴィオラ・ソナタもいいんですが、後半6曲のマリアン・アンダーソンの歌が折にふれて聴きたくなる愛聴盤。「アルト・ラプソディ」は1945年にピエール・モントゥーと、1950年にフリッツ・ライナーとも再録音しています。個人的なことですが、私はこの「アルト・ラプソディ」を涙なしには聴けません。

Schumann:Dichterliebe
 Aksel Schiotz (Tenor), Gerald Moore (Piano) (1946.1.10.)
 Charles Panzera (Baritone), Ailfred Cortot (Piano) (1935.6.17.)
 Gerhard Huesch (Baritone), Hanns Udo Mueller (Piano) (1936.1.29,30.)
Schumann:Frauenliebe und Leben
 Lotte Lehmann (Soprano), Paul Ulanowsky (Piano) (1946.1.20.live)
 Marian Anderson (Contralto), Franz Rupp (Piano) (1950.3.29,30)
 Kathleen Ferrier (Contralto, Bruno Walter (Piano) (1949.9.7.live)
Music&Arts CD-1235(2CD)


 これは2枚組のCDで、シューマンの歌曲集「詩人の恋」と歌曲集「女の愛と生涯」を、それぞれ三種の歴史的演奏で愉しめるという好企画盤。「詩人の恋」はともかくとしても、「女の愛と生涯」に関しては、このdiscを入手して以来、もうほかに新たなdiscを聴きたいとは感じません。これこそ、人類の文化遺産というものです。デザインはクラシックのdiscではお馴染み、Caspar David Friedrichの”Frau am Fenster”。


Caspar David Friedrich ”Frau am Fenster”

 LPももちろん何枚か持っていますが、集大成的なCDセットがあるのでそちらを取り上げておきましょう―

 Sony Classicalから出たCD15枚組のセット。ほぼ録音年代順・ジャンル別に並べられており、黒人霊歌からバッハやヘンデルのバロック・アリア集、シューベルト、シューマン、ブラームス、R・シュトラウスの歌曲、先に述べたオーマンディ、ライナー、モントゥーとの共演、「女の愛と生涯」、それにメトロポリタン歌劇場での「仮面舞踏会」のハイライトも収録されています。

 パッケージもハードカバー・ブック仕様で、本文はオールカラー228ページ、ディスクのレーベルは発売時のデザイン仕様。ライナーノーツは、マリアン・アンダーソンの評伝”The Sound of Freedom”の著者、アメリカの歴史家レイモンド・アースノーによる新しいエッセイで、ペンシルヴァニア大学のマリアン・アンダーソン資料室の協力を得て、多数の貴重な未発表写真やRCAのレーベルコピーや書簡などの資料、録音データを完備したトラックリスト、セッション毎の詳細なディスコグラフィが含まれているというもの。収録内容は以下のとおり―

Disc1 黒人霊歌集(1923~1946年):アコースティック録音とSP録音

深き川
あなたの声に心は開く
 ロザリオ・ブルドン・オーケストラ
 録音:1923年12月10日

行け、モーセ
すべて神の子は
 チャールズ・アダムス・プリンス・オーケストラ
 録音:1924年5月20,29日

誰も知らない私の悩み
主よ、何という朝
 ジョセフ・パステルナック・オーケストラ
 録音:1924年12月23,30日

天国と呼ぶ町
主よ、ためらってはいられない
すべて神の子は
行け、モーセ
わが魂は主に錨りをおろした
Sinner Please Doan Let Dis Harves' Pass
Honor, Honor(栄あれ)
 コスティ・ヴェハーネン(ピアノ)
 録音:1936年1月14日、2月4日、1939年6月26日

十字架
足取りも重く
パンを分かち合おう
私の心は神にやすらい
つらい試練
この世の隠れ家
Comin' Through The Rye
おお、何という美しい都
かわいそうなわたし
Hold On!
 フランツ・ルップ(ピアノ)
 録音:1941年7月1 & 3日、9月9日

 マリアン・アンダーソン(コントラルト)

Disc2 歌曲録音(1936~1951年)

ブラームス:アルト・ラプソディ Op.53
ブラームス:4つの歌 Op.43~永遠の愛
 ユージン・オーマンディ指揮、フィラデルフィア管弦楽団
 録音:1939年1月8日 フィラデルフィア、アカデミー・オブ・ミュージック

シューベルト:アヴェ・マリア D.839
シューベルト:「白鳥の歌」 D.957~すみか
 コスティ・ヴェハーネン(ピアノ)
 録音:1936年2月4日、1936年1月14日 ニューヨーク、ビクター・スタジオ#3

シューベルト:ます D.550
 フランツ・ルップ(ピアノ)
 録音:1941年7月2日 ニューヨーク、ロータス・クラブ

シューベルト:「美しき水車小屋の娘」 D.795~どこへ?
 フランツ・ルップ(ピアノ)
 録音:1945年4月12日 ニューヨーク、ビクター・スタジオ#3

シベリウス:葦よそよげ Op.36-4
ベリウス:逢い引きから戻った娘 Op.37-5
 コスティ・ヴェハーネン(ピアノ)
 録音:1936年2月5日 ニューヨーク、ビクター・スタジオ#3

マスネ:エレジー
ラフマニノフ:夜の静けさに Op.4-3
フランツ・ルップ(ピアノ)
 ウィリアム・プリムローズ(ヴィオラ)
 録音:1941年7月1日 ニューヨーク、ロータス・クラブ

チャールス・ギルバート・スプロス:Will O' the Wisp
リザ・レーマン:カッコー
 フランツ・ルップ(ピアノ)
 録音:1941年9月9日 ニューヨーク、ロータス・クラブ

シリル・スコット:子守歌 Op.57-2
 フランツ・ルップ(ピアノ)
 録音:1946年5月10日 ニューヨーク、ビクター・スタジオ #1&2

Frida Sarsen-Bucky:Hear the Wind Whispering
Christopher Thomas:O Men from the Fields
James Hook:Bright Phoebus
 フランツ・ルップ(ピアノ)
 録音:1945年4月10,12日、1946年5月10日 ニューヨーク、ビクター・スタジオ #1&2

James Bland:Carry Me Back to Old Virginny
フォスター:ケンタッキーの我が家
 チャールズ・オコネル指揮、RCAビクター交響楽団
 録音:1941年9月25日 ニューヨーク、ビクター・スタジオ #1&2

James Bland:Carry Me Back to Old Virginny
フォスター:ケンタッキーの我が家
 フランツ・ルップ(ピアノ)
 グレゴール・ピアティゴルスキー(チェロ)
 録音:1952年2月1日 ハリウッド、レディオ・レコーダー・スタジオ

 マリアン・アンダーソン(コントラルト)

Mr. President and Mrs. Roosevelt
Your Majesties
 マリアン・アンダーソン(語り)
 録音:1940年3月28日 ニューヨーク、ビクター・スタジオ #3

Disc3 バロック・アリア集(1939~1950年)

J.S.バッハ:カンタータ第12番「泣き、歎き、憂い、怯え」 BWV.12~十字架と王冠は切り離せないもの
J.S.バッハ:カンタータ第81番「イエスは眠り給う、われ何を望むべき」 BWV.81~Jesus schlaft
J.S.バッハ:カンタータ第112番「主はわが信実なる牧者」BWV.112~Zum reinen Wasser er mich weist
J.S.バッハ:クリスマス・オラトリオ BWV.248~備えせよ、シオンよ
J.S.バッハ:マタイ受難曲 BWV.244~憐れみ給え、わが神よ
 ロバート・ショウ指揮、ビクター・シンフォニエッタ
 録音:1946年6月11,12日 ニューヨーク、ロータス・クラブ

ヘンデル:オラトリオ「メサイア」HWV.56~彼は羊飼いの如く羊の群れに食物を与え
メンデルスゾーン:オラトリオ「パウロ」 Op.36~But the Lord is Mindful of His Own
ヘンデル:オラトリオ「メサイア」 HWV.56~彼はさげすまれ、人々からのけ者にされ
メンデルスゾーン:オラトリオ「エリヤ」 Op.70~O Rest in the Lord
J.S.バッハ:ヨハネ受難曲 BWV.245~All is Fullfilled
 チャールズ・オコネル指揮、ビクター交響楽団
 録音:1941年9月24,25日 フィラデルフィア、アカデミー・オヴ・ミュージック

ヘンデル:歌劇「オットーネ」HWV.15~Come to Me, Soothing Sleep
ヘンデル:歌劇「フロリダンテ」 HWV.14~Oh what pleasure
ボノンチーニ:歌劇「カルフルニア」~ラッパが呼んでいる
 フランツ・ルップ(ピアノ)
 録音:1950年1月3日 ニューヨーク、ビクター・スタジオ #2

ヘンデル:聖セシリアの祝日のための頌歌~Der Flote weich Gefuhl
ヘンデル:オラトリオ「デボラ」 HWV.51~Sohn! Sieh, deinen greisen Vater
パーセル:歌劇「ディドーとエネアス」~私が地に伏す時
D.スカルラッティ:歌劇「女もまた忠実」~フロリンドが誠実なら
 コスティ・ヴェハーネン(ピアノ)
 録音:1939年6月26日、ニューヨーク、ビクター・スタジオ #3

 マリアン・アンダーソン(コントラルト)

Disc4 ブラームス、マーラー、R.シュトラウス:オーケストラ歌曲集(1945~1950年)

ブラームス:アルト・ラプソディ Op.53
 フリッツ・ライナー指揮、RCAビクター交響楽団
 録音:1950年10月20日 ニューヨーク、マンハッタン・センター

マーラー:亡き子をしのぶ歌
 ピエール・モントゥー指揮、サンフランシスコ交響楽団
 録音:1950年2月26日 サンフランシスコ、戦争記念オペラハウス

R.シュトラウス:解き放たれて Op.39-4
ブラームス:4つの厳粛な歌 Op.121
 フランツ・ルップ(ピアノ)
 録音:1947年12月16日、1952年5月13日 ニューヨーク、ビクター・スタジオ #2 & 6

ブラームス:アルト・ラプソディ Op.53
 ピエール・モントゥー指揮、サンフランシスコ交響楽団
 録音:1945年3月3日 サンフランシスコ、戦争記念オペラハウス

 マリアン・アンダーソン(コントラルト)

Disc5 シューベルト&シューマン歌曲集(1950年)

シューベルト:「白鳥の歌」 D.957~愛の使い
シューベルト:魔王 D.328
シューベルト:「白鳥の歌」 D.957~セレナード
シューベルト:糸をつむぐグレートヒェン D.118
シューベルト:死と乙女 D.531
シューベルト:ます D.550
シューベルト:アヴェ・マリア D.839
シューベルト:「美しき水車小屋の娘」 D.795~どこへ?
シューベルト:「白鳥の歌」D.957~すみか
シューベルト:テクラ、霊の声 D.595
シューベルト:無限なるものに D.291
シューマン:歌曲集「女の愛と生涯」 Op.42

 マリアン・アンダーソン(コントラルト)
 フランツ・ルップ(ピアノ)
 録音:1950年1月4,18日、5月9,10日、3月29,30日 ニューヨーク、ビクター・スタジオ #2

Disc6 黒人霊歌集(1952年、1947年)

深い川
もの皆は主のみ手に
流れよ、ヨルダン川よ!
行け、モーセ
十字架
時には母のない子のように
友よ糧を分けよう
わたしの父の家には、住居がたくさんある
聖霊を感じるたびに
If He Change My Name
おお、何という美しい都
誰も知らない私の悩み
小羊たちの鳴声を聴き給え
主よ、何という朝
あなたもそこにいたのか
On Ma Journey
De Gospel Train
すぐにこの世の苦しみは終わる
Sinner, Please Doan Let Dis Harves' Pass
すべて神の子は
Ride On, King Jesus

 マリアン・アンダーソン(コントラルト)
 フランツ・ルップ(ピアノ)
 録音:1952年5月14日、1947年5月5-7日 ニューヨーク、ビクター・スタジオ #2 & 6

Disc7 ヴェルディ:歌劇『仮面舞踏会」抜粋(1955年)、歌劇「トロヴァトーレ」から(1950年)

ヴェルディ:歌劇「仮面舞踏会」抜粋
前奏曲
「あなたに微笑んでいる人生には」
「地獄の王よ、とく来たれ」
「ここは恐ろしい野原・・・乾いた茎から得られるの」
「私があなたと一緒だ」
「私を愛し、私を愛する」
「私は死にましょう」
「立て! お前の息子はあそこだ」
「たぶん彼女は家に着いて・・・私があなたを失わなければならなくても」
「知りたいのだね」

 マリアン・アンダーソン(コントラルト)
 ジャン・ピアース(テノール)
 ロバータ・ピータース(ソプラノ)
 レナード・ウォーレン(バリトン)
 ジンカ・ミラノフ(ソプラノ)
 ディミトリ・ミトロプーロス指揮、メトロポリタン歌劇場管弦楽団
 録音:1955年1月9日 ニューヨーク、マンハッタン・センター

※ 初日は先に述べたとおり1月7日、これは1月9日の公演から。また、同じくSonyClassicalから出ていた全曲録音のdiscは12月10日の記録。従って、CDで聴けるのはいずれも初日の公演ではありません。

ヴェルディ:歌劇「トロヴァトーレ」~「もしもまだ私を愛しているなら・・・私は疲れてしまった」

 マリアン・アンダーソン(コントラルト)
 ジャン・ピアース(テノール)
 エーリヒ・ラインスドルフ指揮、RCAビクター交響楽団
 録音:1950年12月19日 ニューヨーク、マンハッタン・センター

Disc8 黒人霊歌集(1961年 ステレオ)

もの皆は主のみ手に
かくれ家もなく
イエスとともに行きたい
雨だったのか
天国に行く途中
広い川だったのか
私の心は神にやすらい
主よ、許したまえ
時には母のない子のように
主にすがれ
名前を汚すのか
素晴らしい朝
失った羊を見つけて
私はヨルダン川のほとりに立った
星を見よ
すべて神の子は
かわいそうなわたし
ピーター、鐘を鳴らせ
足どりも重く
つらい試練

 マリアン・アンダーソン(コントラルト)
 フランツ・ルップ(ピアノ)
 録音:1961年8月28-31日 ニューヨーク、ウエブスター・ホール

Disc9 クリスマス曲集(1962年 ステレオ/1951年)

おめでとうクリスマス
きよしこの夜
ひいらぎかざろう
天使の歌
まきびとひつじを
シューベルト:アヴェ・マリア D.839
世の人忘るな
天なる神にはみ栄えあれ
ジョイ・トゥ・ザ・ワールド
おお、いとも聖なるお方
ジングルベル
飼い葉の桶で
クリスマスの12日間

 マリアン・アンダーソン(コントラルト)
 フランツ・ルップ(ピアノ)
 ロバート・ラッセル・ベネット指揮、RCAビクター交響楽団&合唱団
 録音:1962年4月25日~5月12日 ニューヨーク、ウエブスター・ホール

きよしこの夜
ああベツレヘムよ
神のみ子は今宵しも
まきびとひつじを
天には栄え
さやかに星はきらめき(オー・ホーリー・ナイト)
天使の歌
ハレルヤ

 マリアン・アンダーソン(コントラルト)
 フランツ・ルップ(ピアノ)
 録音:1951年1月19日 ニューヨーク、ビクター・スタジオ #2

Disc10 シューベルト、シューマン、ブラームス、R.シュトラウス、ハイドン歌曲集(1939~1945年)

ハイドン:田園歌 Hob.XXVIa:27
ハイドン:彼女は決して恋について離さない XXVIa:34
シューベルト:「白鳥の歌」 D.957~影法師
シューベルト:若者と死 D.545
シューマン:ミルテの花 Op.25~くるみの木
シューマン:ひそやかな涙 Op.35-10
R.シュトラウス:明日 Op.27-4
 フランツ・ルップ(ピアノ)
 録音:1945年4月10,11日、1947年12月16日 ニューヨーク、ビクター・スタジオ #2 & 6

ブラームス:お前の青い瞳 Op.59-8
ブラームス:鍛冶屋 Op.19-4
ブラームス:5つの歌 Op.105~第2曲:まどろみはますます浅く
 ユージン・オーマンディ指揮、フィラデルフィア管弦楽団
 録音:1939年1月8日 フィラデルフィア、アカデミー・オブ・ミュージック

ブラームス:2つの歌曲 Op.91
 フランツ・ルップ(ピアノ)
 ウィリアム・プリムローズ(ヴィオラ)
 録音:1941年6月30日 ニューヨーク、ビクター・スタジオ #2

ブラームス:真珠の首飾り Op.57-7
 フランツ・ルップ(ピアノ)
 録音:1941年9月8日 ニューヨーク、ウエブスター・ホール

 マリアン・アンダーソン(コントラルト)

Disc11 夕べの歌(1964年 ステレオ)

ドヴォルザーク:我が母の教えたまいし歌 Op.55-4
Trad:春の日の花と輝く
Trad:All Through the Night
ハルフダン・シェルルフ:Last Night Op3-2
ジョナサン・E・スピルマン:アフトンの川流れ
フンパーディンク:歌劇「ヘンゼルとグレーテル」~夕べの祈り
Trad:故郷の空
コロネル・メリッシュ:君が眼にて酒を汲めよ
Trad:ロッホ・ローモンド
ジェームズ・ライナム・モロイ:なつかしき愛の歌
ジョン・ダグラス・スコット夫人:アニー・ローリー
ブラームス:子守歌 Op.49-4

 マリアン・アンダーソン(コントラルト)
 フランツ・ルップ(チェンバロ)
 ロバート・ラッセル・ベネット指揮、室内管弦楽団
 録音:1964年2月21,22日、4月14-30日、5月25-27日 ニューヨーク、ウエブスター・ホール

Disc12 フェアウエル・リサイタル・ライヴ(1964年)

ヘンデル:歌劇「シピオーネ」HWV.20~Hear Me! Ye Winds and Waves
ヘンデル:歌劇「ペルシャ王シロエ」 HWV.24~Ch'io mai vi possa
ハイドン:精霊の歌 Hob.XXVIa:41
ハイドン:田園曲 Hob.XXVIa:27
シューベルト:ズライカI「吹き通うものの気配は」 D.720
シューベルト:「白鳥の歌」D.957~愛の使い/影法師
シューベルト:魔王 D.328
バーバー:夜想曲 Op.13-4
ハワード・スワンソン:ニグロと河
Trad:農場の少年
ロジャー・クィルター:吹けよ、吹け、冬の風よ
Trad:共にパンを分け合おう
Trad:おお、何という美しい都
Trad:小羊たちの鳴声を聴き給え
Trad:馬を進めよ王イエス
Trad:Done Foun' My Los' Sheep
Trad:主よ、ためらってはいられない
Trad:Le's Have a Union
Trad:He's Got the Whole World in His Hands

アンコール・スピーチ
シューベルト:「美しき水車小屋の娘」 D.795~苛立ち

アンコール・スピーチ
Trad:すべて神の子は
シューベルト:アヴェ・マリア D.839

 マリアン・アンダーソン(コントラルト)
 フランツ・ルップ(ピアノ)
 録音:1964年10月24日 ワシントンD.C.、コンスティテューション・ホール(ライヴ)

Disc13 黒人霊歌集(1964年 ステレオ)

イントロダクション
おお、天国こそ美しい場所
主よ、どうしてここへ来たのでしょう
祈りこそ天国への鍵
主は悩みを取り除かれん
共に行かん
死ぬまで歌おう
祈りこそ永遠の生命
嵐に立ち向かい
あざけられた私
神の御国へ
オー・グローリー!
歌い続けよう~進め、主イエス

 マリアン・アンダーソン(コントラルト)
 ジョン・モットレイ(ピアノ)
 録音:1964年9月24,26,28-30日、10月6日 ニューヨーク、ウエブスター・ホール

Disc14 シューベルト、ブラームス歌曲集(1966年)

シューベルト:「白鳥の歌」 D.957 ~愛の使い
シューベルト:「美しき水車小屋の娘」 D.795 ~苛立ち
シューベルト:死と乙女 D.531
シューベルト:ます D.550
シューベルト:音楽に寄せて D.547
シューベルト:ズライカI「吹き通うものの気配は」 D.720
シューベルト:糸をつむぐグレートヒェン D.118
シューベルト:子守歌 D.498
シューベルト:魔王 D.328
シューベルト:野ばら D.257
ブラームス:永遠の愛について Op.43-1
ブラームス:便り Op.47-1
ブラームス:甲斐なきセレナーデ Op.84-4
ブラームス:鍛冶屋 Op.19-4
ブラームス:お前の青い瞳 Op.59-8

 マリアン・アンダーソン(コントラルト)
 フランツ・ルップ(ピアノ)
 録音:1966年 ニューヨーク、ウエブスター・ホール

Disc15 フィラデルフィアのレディ(オーディオ・ドキュメンタリー)

 エドワード・R・マローのナレーションによるテレビ番組”See It Now”(1957年12月30日初放送)からのサウンド・トラック。1957年9~11月までのマリアン・アンダーソンのアジア・ツアーを記録したもの。

Sony Classical 19439836492(15CD)


 限定盤ながらまだ入手可能なようなので、気になる方はどうぞ―私は予備にもうひと組買っておこうかと思っています(笑)


私はこの写真を額装して、レコード収納部屋に飾っています。


(Hoffmann)


引用文献・参考文献

「マリアン・アンダースン」 コスティ・ヴェハーネン 石坂廬訳 アルファベータブックス