076 ディーリアス作品のdiscから その4 LP・CD篇 歌劇作品




 ディーリアスの歌劇作品のdiscで、私が所有しているものです。

"Koanga"
Sir Charles Groves, The London Symphony Orchestra, John Alldis Choir
E.Holmes, C.Lindsey, R.Herincx, K.Erwen, J.Allister, S.Estes
19-26 September 1973
EMI SLS974(SLP)


"Koanga"
Sir Charles Groves, The London Symphony Orchestra, Camden Festival Chorus
E.Holmes, P.Harrison, C.Lindsey, A.Raffell, J.Allister, G.Wilcock
1972
intaglio INCD7442(2CD)


 「コアンガ」の録音です。EMI盤は正規録音。後者のイタリア盤CDはEMI録音の1年前のlive録音。

 「コアンガ」は6作あるディーリスのオペラ作品の中で、3作めの作品。ちなみに「イルメリン」「魔法の泉」「コアンガ」「村のロメオとジュリエット」「赤毛のマルゴー」「フェニモアとゲルダ」で6作。ディーリアス35歳のとき、パリにて完成。フロリダのオレンジ・プランテーションでアメリカの黒人たちの歌やバンジョーの音楽に心魅かれた経験が結実した作品です。物語は黒人奴隷同士の悲恋。美しく、親しみやすい音楽です。

 単独で管弦楽のみにより演奏・録音される「ラ・カリンダ」は、オペラの中では、独唱と合唱を伴っています。


"A Villege Romeo and Juliet"
Meredith Davies, Royal Philharmonic Orchestra, John Alldis Choir
B.Luxon, M.Mangin, C.Manley, W.Eathorne, R.tear, E.Harwood, J.Shirley-Quirk
EMI SLS966(3LP)


 録音年は調べていませんが、マルPは1973。


"Romeo und Julia auf dem Dorfe"
Klauspeter Seibel, Kiel Philharmonic Orchestra, Kiel Opera Chorus
D.Midboe, A.Kovacs, K.Russ, E-C.Reimer, K.Wallprecht
20/21 April 1995
cpo 999 328-2(2CD)


 「村のロメオとジュリエット」です。メレディス・デイヴィス盤はLP時代に東芝から国内盤も出ていましたね。後者は独cpoのCDなので表題がドイツ語になっており、歌唱もドイツ語。

 「村のロメオとジュリエット」はディーリアスが書いた6つのオペラのうちの4番目にあたる作品。英語による台本はスイスの作家ゴットフリート・ケラーの短編小説「村のロメオとユリア」に基づき、ディーリアス自身が妻のイェルカとともに執筆しています。初演は1907年2月21日にベルリン・コーミッシェ・オーパー。このときはケラーによる原作のドイツ語"Romeo und Julia auf dem Dorfe"と題されていました。なので、cpo盤にもそれなりの理はあるわけです。英国初演は1910年2月22日にトーマス・ビーチャムの指揮で、ロンドンのコヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラ・ハウスで。米国初演は1972年4月26日にワシントンD.C.で行われています。

 第5場と第6場の間奏曲「楽園への道」"The Walk to the Paradise Garden"が単独で演奏されることも多く、さまざまな指揮者によって録音もされています。


"Irmelin"
E.Hannan, M.Rippor, J.Mitchinson, B.R.Cook
Norman del Mar, BBC Concert Orchestra
18th December 1984 on BBC Radio 3
BBC ARTIUM BBC3002(3LP)


"The Magic Fountain"
J.Mitchinson, K.Pring, N.Wolsby, R.Angas, F.Thomas
Norman del Mar, BBC Concert Orchestra, The BBC Singers
20th November 1977 on BBC Radio 3
BBC ARTIUM BBC2001(2LP)


 BBC放送が企画した録音は3作あるそうで、そのうちのひとつがこの「イルメリン」と「魔法の泉」。もうひとつ、「赤毛のマルゴー」があるらしいのですが、私は持っていません。

 この2作はいずれも故ノーマン・デル・マーによる演奏。

 「イルメリン」はディーリアスが完成させた最初のオペラでしたが、1953年までその舞台初演を待たなければなりませんでした。 台本はディーリアス自身によるもので、題材は北欧の童話。北国の王女イルメリンの初々しい恋物語。単独で演奏される前奏曲は、「イルメリン」完成のおよそ40年後の1931年、フェンビーとビーチャムが「イルメリン」から印象的な旋律を抽出して作られたものです。上演されずに完全に埋もれてしまっていた作品をもとにして、新たに前奏曲が作られたっというのはめずらしいですね。

 「魔法の泉」は「コアンガ」の前に書かれたもので、スペイン人とインディアンの娘の出会いと恋・悲劇が展開していく内容。スペインの貴族ソラノがフロリダにある若返りの泉を探すというもので、彼は船が難破し、セミノールの王女ワタワに救われ、泉まで導かれる。彼女の計画は、征服者によるセミノール虐殺に対する復讐として彼を殺すこと。しかしそれは愛に終わり、彼らは泉の毒水の中で一緒に死ぬ―。どうやらこれは初演であったらしい。この録音では擬音や特殊効果音なども使用されているのですが、ちょっと鬱陶しいですね。オーケストラ、歌手とも万全とは言えないのが残念です。


(Hoffmann)



引用文献・参考文献

「ソング・オブ・サマー 真実のディーリアス」 エリック・フェンビー 小町碧訳 向井大策監修 アルテスパブリッシング

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