111 あえて聴くmono盤 その5 ヨーゼフ・クリップス篇




 stereo盤が存在するのに、「あえて聴くmono盤 その5」は、指揮者ヨーゼフ・クリップスです。

ブラームス:交響曲第1番
ヨーゼフ・クリップス指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1956.10
米LONDON CS6110 (LP) (stereo)
英DECCA LXT5292 (LP) (mono)
日LONDON LB6 (LP) (mono)


 米LONDON CS6110は英プレス、BBジャケット。
 英DECCAのmono盤は2枚ある。
 EQカーヴはすべてRIAA。

 CG 25 Dで聴く英DECCAのmono盤は、monoにしてはレンジが広い(狭くならない)。米LONDON盤はSPU-AEで聴いたところ、やや明るくなりますが、mono盤のように音が前に出すぎないので、むしろ落ち着いて聴こえます。国内mono盤は輸入スタンパーでしょうか。CG 25 Dで聴いても、わずかに音のタッチが軽くなりましたが、決して悪くはありません。盤は厚くて重い。


チャイコフスキー:交響曲第5番
ヨーゼフ・クリップス指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1958.9
米LONDON CS6095 (LP) (stereo)
英DECCA SDD142 (LP) (stereo)
英DECCA LXT5503 (LP) (mono)
日LONDON SMR5010 (LP) (stereo)


 米LONDON盤は英プレス、BBジャケット。
 英DECCAのstereo盤SDD142は"Ace of Diamonds"シリーズ。
 EQカーヴは英DECCAのmono盤、国内盤も含めて、すべてRIAA。

 SPU GEで聴いた米LONDON盤はやや高域上がりのバランス。英DECCAのSDDの方がバランスはいいようです。CG 25 Dで聴いた英DECCAのmono盤は、monoだけにわずかにレンジが狭くなったように聴こえるんですが、落ち着いた響きは好ましいもの。国内盤は輸入スタンパーではないようです。やや厚みが後退する、わりあい「普通の」国内盤。ただし、概して日本人はレコードの取り扱いが丁寧なので、盤の状態は比較的良好。それにしてはプチパチノイズが目立つのは、キングレコードのLONDON盤によくある例。


"Memories of Vienna"
J・シュトラウスII:円舞曲「美しく青きドナウ」
同:加速度円舞曲
同:円舞曲「南国のばら」
同:皇帝円舞曲
同:ピツィカート・ポルカ
ヨーゼフ・クリップス指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1957
米LONDON CS6007 (LP) (stereo)
英DECCA SXL2047 (LP) (stereo)
英DECCA SDD133 (LP) (stereo)
日LONDON LC28 (LP) (mono)


 米LONDON CS6007は英プレス、BBジャケット。
 英DECCA SDD133は"Ace of Diamonds"シリーズ。
 EQカーヴはすべてRIAA。

 これはすべて(mono盤も)SPU-AEで聴きました。CS6007とSXL2047はほとんど同じ音。後者のプチノイズは盤の問題。SDD133は盤の状態が良好であることもあってか、いい音です。バランスもこれがもっともいいかもしれません。国内mono盤は、これも輸入スタンパーでしょうか。やや高域寄りのバランス。スケールの大きい密度感よりはまとまりの良さを感じさせて、見通しのいい音場感。これはこれで悪くありません。


シューマン:交響曲第1番、第4番
ヨーゼフ・クリップス指揮 ロンドン交響楽団
1957.5,1956.10
独DECCA LXT5347 (LP) (mono)
独DECCA SXL2223 (LP) (stereo)


 こちらはオーケストラがロンドン交響楽団。レーベルは黒金。EQカーヴはいずれもRIAA。

 この独プレス盤はmono、stereoのどちらもいいですね。落ち着いた響きでmono盤、細部の鮮明さでstereo盤でしょうか。


(Hoffmann)