Der fliegende Hollaender





Fritz Busch, Chorus and Orchestra of the Teatro Colon
Kipnis, Destal, Lawrence, Maison, Petina, Fleischer
19/9/1936
GEMM CDS9910(CD)


「ぶっしゅ」といっても、石油の利権獲得のために戦争を仕掛けたあのブッシュじゃありません(アタリマエダ)。F.Buschは1880年生まれのドイツの指揮者。ちなみに兄弟のAdolfはヴァイオリニスト、Hermannはチェリストという音楽一家。戦前はヨーロッパを中心に活躍、とくにグラインドボーンにおけるMozartのオペラの指揮は有名ですね。戦中にはBayreuthからも招かれたんですがこれを拒否、その後亡命しています。以前、指揮者の若杉弘がインタビューで「フリッツ・ブッシュが大好きで、よくレコードを聴くんですよ」と言っていたのを聞いたことがあります(^o^;渋ぅ〜(どうでもいいことですが、小澤征爾というと「Karajan先生が・・・」「Bernsteinが・・・」といった発言が記憶に残っているんですが、若杉弘の口から聞いた指揮者の名前といえばKempe、Keilberth、F.Buschといった具合で、このふたりの日本人指揮者の音楽観の相違をよくあらわしているんじゃないでしょうか)



Fritz Reiner, London Philharmonic Orchestra
Flagstad, Janssen, Lorenz, Weber, Jarred, Williams
London, June 7, 1937
GM 1.0064(CD)


ここに取りあげるのはいささか躊躇われるのですが・・・これは全曲盤ではなく、オランダ人の“Die Frist ist um”から始まり、聴きどころを収録したいわば抜粋盤。

H.JanssenやK.Flagstadといった往年の大歌手が聴けるのは貴重な記録。主役二人は、貧しい音質からも見事な声は伝わってくるのものの、ここではスタイルの古さを超えて迫ってくるには至っていません。これは好みもあるかとは思いますが、やはり全曲盤で聴きたいところですね(個人的にはアリア集みたいなdiscも好きじゃありません)。いきなりクライマックスの場面だけ聴かされても・・・そこに至る流れというものがあるとおもうんですよ。
音質も貧しく、オーケストラについては、出来を云々できるほどの録音ではありません。水夫の合唱がやたらと威勢がいいのには苦笑しちゃいました(^^;



Richard Kraus, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Berglund, Mueller, Asmus, Voelker, Hofmann, Zimmermann
Bayreuth, 18.Juli 1942
PREISER 90232(CD)


R.Krausは1902年生まれ、Wagner歌手であったErnst Krausの息子で、戦前から戦後まで、ドイツ各地の歌劇場で活躍したひと。


Clemens Krauss, Chor und Orchester der Bayerischen Staatsoper Muenchen
Hann, Ursuleac, Ostertag, Willer, Klarwein, Hotter
Muenchen, 13.~16. 3. 1944
PREISER 90250(CD), ACANTA 44 2132-2(CD)


ナチスが国威宣揚のために行った録音。従って強力なキャストを組んだのでしょう、Hotter当時35歳にして選ばれたのですからたいしたもんです。

Hotterが後年の円熟味にはほど遠いとはいえ、じつに若々しいのがいいですね。ゼンタ役のUrsuleac(指揮者の夫人)は衰えが目立ちます。指揮はさすがにうまいもので、重厚にして典雅。


Fritz Reiner, Orchestra and Chorus of the Metropolitan Opera
Hotter, Varnay, S.Nilsson, Svanholm, Glatz, Hayward
New York, December 30, 1950
ARLA35-A36(CD), NAXOS 8.110189-90(CD)


F.Reiner、戦後Metropolitanでの指揮。

序曲の冒頭からたいへんな熱気。これぞ後期ロマン派といった演奏です。後年のReinerと比べても、大胆にテンポを動かして音楽に大きなうねりを生じさせるのは、歌劇場(オペラハウス)での指揮だからなのでしょうか。それでいて古くさくない、どちらかといえばモダンな感覚の指揮なんですね。これで合唱団がもう少し・・・(笑)やたらと大声出し放題、といった合唱なんですよ、これはReinerの指揮でノリノリになっちゃったのかも。かえって幽霊船の水夫の合唱が妙に紳士的に聴こえるのがおかしい(^o^;歌手は、Hotterのオランダ人が深い内容を感じさせ、Varnayもさすがの貫禄、ゼンタとしては少々立派すぎるくらいです。録音は歌手に対してマイクがかなりオンなので、聴いているとちょっと疲れます。



Wilhelm Schuechter, Chor und Orchester der Norddeutschen Rundfunks
Hotter, Werth, Boehme, Fischer, Krebs, Aldenhoff
Hamburg, 1951
MEL032(LP)


Schuechterは1911年生まれのドイツの指揮者、1940年にはアーヘンの歌劇場を去るKarajanに、後継者に指名されたひと。1959〜60年にはNHK交響楽団の芸術監督を務め、日本のオールドファンには馴染みのある名前でしょう。



Ferenc Fricsay, Chor RIAS, RIAS Symphonie-Orchester Berlin
Greindl, Kupper, Windgassen, Wagner, Haefliger, Metternich
Berlin, 10.1952
DGG LPM18116/18(LP)


Fricsay38歳の録音。若くしてオーケストラを充分に掌握しており、かなり辛口の演奏ですね。旧世代のロマン主義濃厚な演奏ではないものの、即物的にならずにFricsayらしい個性ある響きを引き出しているのはさすが。ただし肝心の主役であるJ.Metternichのオランダ人とA.Kupperのゼンタが冴えないため、全曲盤としての魅力に乏しいのが残念です。ちなみに中古で比較的入手しやすい国内廉価盤LPはかなり音質が悪く、これはぜひとも独プレス盤で聴きたいところ。あまりこんなことは言いたくないんですが、ここまで音質に差があると、演奏の印象まで変わってしまいます。



Rudolf Moralt, Vienna State Opera Orchestra and Chorus
Edelmann, Frick, Goltz, Lorenz, Dermota, Anday
Vienna, March 28, 1953
GM 1.0081(CD)



Hans Knappertsbusch, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Uhde, Weber, Varnay, Schaetel, Windgassen, Traxel
Bayreuth, 22.Juli 1955
GM1.0028(CD), MEL550(LP), ORFEO C 692 092 1(CD)


下のKeilberth盤と同じ年のBayreuth実況録音。この年の“Der fliegende Hollaender”はKnappertsbuschとKeilberthが分担して指揮、歌手もエリック役以外は共通です。じつはオランダ人はH.UhdeとH.Hotterのダブルキャストだったんですが、これはいずれの録音もUhdeですね。

番号オペラであることを忘れてしまう、無限旋律かと思うようなオーケストラです。区切りをつけることなどしない、終始一貫した演奏はこの指揮者らしいですね。歌手も総じて好演を超えた熱唱を聴かせます。唯一異なる歌手、エリック役はこちらがWindgassenで有利。


Joseph Keilberth, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Uhde, Weber, Varnay, Schaetel, Lustig, Traxel
Bayreuth, 1955
SRS63519(LP)
, TESTAMENT SBT2 1384(CD), TESTAMENT SBTLP3 1384(LP)

上と同じ年のBayreuth公演。こちらはDECCAによるstereo録音です。

Knappertsbuschとは対照的に、番号オペラらしく、要所要所で仕切り直しをするのがおもしろいですね。Keilberthらしいオーケストラの豪快な響きは魅力的。こうしたコンセプトの故か、歌手はエリック以外上記の盤と共通しているにもかかわらず、印象はかなり異なって、矛盾と思われるかもしれませんが、全体の流れからひとりひとりが浮かびあがってくるKnappertsbusch盤にくらべて、ここでは全体の流れのなかで歌っているかのようです。どちらかというと、歌手にとってはKeilberthの指揮・テンポの方が歌いやすかったんじゃないでしょうか。こちらもいいですね。


Joseph Keilberth, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
London, van Mill, Varnay, Traxel, Schaetel, Cox
Bayreuth, 1956(25.7.1956)
GM1.0057(CD), MCD931.75(CD)


なんというか、筋骨隆々としたオーケストラの響きがこの指揮者らしく、推進力が見事。1955年の正規録音よりいいかもしれません。G.Londonはちょっと好みが分かれるところだと思いますが、H.Uhdeよりもたくましい野性味のあるオランダ人といった印象ですね。


Wolfgang Sawallisch, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
London, Greindl, Rysanek, Uhl, Fischer, Paskuda
Bayreuyth, 1959
GM1.0071(CD), MEL590(LP)


SawallishによるBayreuthでの“Der fliegende Hollaender”は、1961年にPHILIPSによるstereo録音が行われているんですが、これはその2年前Wieland Wagner新演出初演の年、歌手は主役級が異なります。



Franz Konwitschny, Chor und Orchester der Staatsoper Berlin
Frick, Schech, Schock, Wagner, Wunderlich, F-Dieskau
Berlin, 1960
Electrola 1C 149-30 206/08(LP)


すみません、私、F-Dieskauが苦手なんですよ(笑)もっともこれが好みだとしても、肝心のSchechもSchockも弱い。指揮もこれといって特徴がない、あまり聴かないレコードなんです(^^;



Thomas Schippers, Orchestra and Chorus of the Metropolitan Opera
London, Tozzi, Rysanek, Liebl, Amparan, Olvis
New York, March 5, 1960
GM 1.0084(CD)




Antal Dorati, Chorus and Orchestra of the Royal Opera House Covent Garden
Rysanek, London, Tozzi, Libel, Elias, Lewis
London, 1960?
417 319-1(LP)


当時同じキャストで行われたMetropolitan Operaの公演が好評だったことから録音されたもの。Covent Gardenのオーケストラが起用されたのはMetropolitanのオーケストラのギャラが高かったためとか。アメリカは労働組合が強い国ですからねえ・・・。

Hoffmannはこのdiscが褒められているのを聞いたことも読んだこともありませんが、オーケストラはなかなか優秀、なによりWagnerらしい響きが聴けますね。戦前からWagner演奏の伝統あるオペラハウスだけのことはあります。Dratiにとってははじめてのオペラ全曲録音だったそうなんですが、大曲をまとめ上げる手腕は確かなもの。歌手はLondonがちょっと個性派―というかアクが強いんですが、これはこれでアリでしょう。Rysanekは貫禄ありすぎかもしれません(笑)

録音はDECCAにしては全体がよくブレンドされた、やや軟調の響きですね。第三幕の水夫の合唱と幽霊船乗組員の合唱の掛け合いなどでは、ややstereo効果強調気味なのが耳につくのですが・・・

いかにもstereo初期の音造りだね。あと、フォルテでちょっと荒れるのと、実音をミキシングして効果造りをしている点が残念だね



Wolfgang Sawallisch, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Greindl, Silja, Uhl, Fischer, Paskuda, Crass
Bayreuth, 1961
PHILIPS 15PC89~91(LP)


PHILIPSによる正規録音。初稿が採用された演奏。序曲と終幕に救済の動機がなく、ゼンタのバラードはイ短調(通常はト短調)で歌われています。ちなみに全三幕を通して演奏されると、休憩時間がないために、劇場の売店が商売にならないので歓迎されないとか(^o^;

なんともeccentricといいたいくらいに神経質なゼンタですね。これはこれでいいのかもしれませんが・・・。舵手のG.Paskudaの声はいくらなんでもひどすぎます。いかにも俗物と聴こえるJ.Greindlの酔いどれ(?)ダーラントは演出上の要請だと思いますが、それは別にしても、情けないくらい不調。この船長に率いられた船員たちが大洋の荒波を航海できるとは考えられませんなあ(^_^;Crassはちょっとインテリ風なオランダ人といったところでしょうか。Sawallischの指揮も若々しくて好感の持てるものです。それと、なにより文句なしに最高なのは合唱団ですね。



Karl Boehm, Orchestra and Chorus of the Metropolitan Opera
London, Tozzi, Rysanek, Konya, Chookasian, Shirley
New York, February 16, 1963
GL100.728(CD)


K.BoehmのMetropolitan客演の実況録音。なんでもBoehmはリハーサルでオーケストラに注文を付けるとき、よく「ウィーンではこんなことはない!」と言っていたそうなんですが、一方ウィーンでは「メトではこんなことはない!」と言っていたとか・・・(^o^;

さすがBoehm、Metropolitanのオーケストラからもいい響きを引き出しています。G.Londonはやや癖のある歌唱ですが好演、L.Rysanekはここでは不調。エリックにS.Konyaというのも贅沢な配役で、舵手にG.Shirleyというのもめずらしいですね。残念なのは合唱団。もっとも、Bayreuthの録音がある限り、ほかの合唱団では不満が出るのもしかたがありません。



Otto Klemperer, New Philharmonia Orchestra
Talvela, Silja, Kozub, Unger, Adam
London , 1968
EMI SLS934(LP)


序曲と終幕では救済の動機が演奏されないんですが、ゼンタのバラードはト短調で歌われるという、初稿を一部取り入れた演奏。資料によると録音は17〜28 2. 11〜14 3. 1968。

各幕の序奏部が演奏されていて、つまり全一幕にはなっていないんですね。これはサヴァリッシュと好対照。つまり、やや性急かと思えるくらい勢いのあるサヴァリッシュには全一幕版がふさわしいのですが、クレンペラーのように遅めのテンポなら三幕版のほうが適当にめりはりがつくんですね。Siljaが1961年Bayreuthよりも充実した歌唱になっているのが印象的。T.Adamのオランダ人は人間的な暖かみと深い内面を感じさせるのがさすがですね。

きびしさよりもやさしさ―人間的な暖かみのあるオランダ人ですね(^^*

効果音のミキシングが鬱陶しいのが残念だ(-_-;とりわけKlempererの演奏にはふさわしくない



Otto Klemperer, New Philharmonia Orchestra, BBC Chorus
Talvela, Silja, Mandonald, King, Adam
London , 19.03.1968
LIVING STAGE LS347.06(CD), TESTAMENT SBT2 1423(CD)


録音日時が正しければ、上記EMI録音の直後の録音ということになります。Royal Festival Hallにおける、演奏会形式によるLive録音。

妙な効果音(実音)がないだけで、ずいぶん印象が変わりますね。オーケストラ、歌手ともこちらの方が熱気があっていいですね。ただしKlempererの指揮は常日頃とはやや異なり、遅めのテンポで押し通すというよりも、ここでは意外とテンポが揺れているようです。だからというわけでもないのでしょうが、M.Talvelaが出を誤って、しばらくオーケストラに合わせられずに迷走(?)するのもlive録音ならでは?

「さまよえるノルウェー人」ですね(^^;

指揮者の方に、合わせにいってやろうという様子がまったく感じられないんだよね(^o^;そんなところもKlempererらしいね

A.Siljaは1961年のBayreuth録音にくらべて、かなり余裕が出てきたというか・・・でも逆に、古い方の切迫したような表現にも捨て難いものがありますね



Wolfgang Sawallisch, Orchestra e Coro di Roma della Rai
Bjoner, Crass, Eliasson, Ridderbusch, Fonseca, Lehrberger
Roma, 15,2,1969
MYTO 2MCD 984.195(CD)


SawallischのRAI客演、同じ組み合わせで1972年の“Tannhaeuser”のCDが出ていますね。

1972年の“Tannhaeuser”がいかにもイタリアのオーケストラといったアンサンブルだったので、さほど期待はしていなかったのですが、響きには厚みがあって音色も渋め、立派にWagnerの音響になってます。

じつは録音の少ないI.Bjonerが目当てでしたが、強靱な声―といってもしなやかさを兼ね備えていて、歌いぶりは端正。強い意志を感じさせるゼンタです。これじゃS.O.Eliassonのエリックの手には負えませんね(^^;K.Ridderbuschもさすがの出来で(若いお父さんです!)、同じSawallischによる1961年Bayreuth録音とは歌手で一長一短・・・と言えるくらい、思いの外オーケストラは充実しています。Sawallischの指揮そのものはむしろこちらの方が力強く躍動感がある(8年の経験か)。意外にも(失礼)合唱団が健闘している点も特筆したいところです。

I.Bjonerって、G.Jonesを除けば最後のドラマティック・ソプラノだと思うんだけどね

あまり録音がないのは残念ですね

このひとの全盛期は、時期的にヘルデンテナーはR.Kolloはまだ若くて、W.Windgassenはもう老いていた・・・どうもJ.Cox、H.Esser、H.Briliothといったあたりのひとたちしかいない、いま思えば人材不足の時期だったみたいだね



Karl Boehm, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Jones, Wagner, Stewart, Ridderbusch, Esser, Ek
Bayreuth, 1971
DG 2709 040(LP), MG8081~5(LP)


じつはこれが、Hoffmannがはじめて入手したオペラ全曲盤なんです(^o^*

戦後Bayreuthの合唱団を支えてきたトレーナー(合唱指揮者)Wilhelm Pitz最後の年。Boehmの指揮も、この時期は生気がみなぎって力強く重厚、それでいて現代的なセンスにも不足のないもの・・・いわゆるNeue Sachlichkeitのひとなんですなあ。その意味で、戦後長生きして活躍するにふさわしい指揮者だったんですよ。名前出しちゃ悪いけど、たとえばWillem Mengelbergが1970年代まで長生きして活躍する・・・なんて想像がつかんでしょ(笑)

T.Stewartはずいぶんおどろおどろしいオランダ人で気品に欠け、ゼンタのG.Jonesも高域が叫び声、主役ふたりはやや落ちます。さらにマリー役(Sieglinde Wagnerというスゴイ名前!)もエリックも弱く、おかげでダーラントのK.Ridderbuschばかりが立派に聴こえます。もちろんBoehmの指揮もさすが。それにいつものことながら、Bayreuthの合唱団はすばらしい。



Herbert von Karajan, Berlin Philharmoniker
Moll, Vejzovic, Hofmann, Moser, van Dam
2.-9. XII. 1981, Berlin, 28. III, 1982, Salzburg, 19. IX, 1983, Berlin
EAC87111~13(LP)


どろどろとだらしなく響くオーケストラが印象的(-_-;響きをふくらませてボカしているから細部の表情がマスクされてしまっています。そのくせ弦など刺激的に耳につくのは、おそらく録音の問題でしょう。おもしろいことに、Vejzovicも発声がこもっているようで、オーケストラの響きと似た印象があるんですね。一方、van Damは知的なオランダ人。うまいんですが、ちょっとネクラすぎる印象も。P.Hofmannがやや音程ふらつくものの、(歌の)演技力さすが。

(追記)
あらためて聴き直してみようと思ったんですが、録音が悪く、とにかく音が歪みっぽくてLP片面耐えられませんでした。




Leif Segerstam, Savonlinna Opera festival
Ilkka Baeckman, Grundheber, Behrens, Salminen, Sirkiae, Vaelkki, Silvasti
1989?
Warner music Vision 9031-71486-2(DVD)


かつてLDでも出ていましたっけね。

これといって特徴のない演出です。イメージ映像的な画が挿入されるのが違和感あり。ところどころで歌手の口パクが音と合っていないような気がするんですが・・・。指揮はSegerstamらしい明快な音楽造り、ただしオーケストラの音色はいまひとつ魅力に乏しく、歌手もSalminenを除けばさほど・・・。

HoffmannさんはBehrensがあまりお好きじゃありませんからね(笑)


Woldemar Nelsson, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Harry Kupfer, Salminen, Balslev, Schunk, Clark, Estres
Bayreuth, 1985
PHILIPS 416 300-2(CD), PHILIPS CDV501~2(LD), DGG 00440 073 4041(DVD)


この指揮者はBayreuthに招かれて、はじめてオペラを指揮したそうです。古いスタイルながら、どうも捨てがたく感じるのは、すぐれた映像(演出)のせいか・・・。こんな、豪快にオーケストラを鳴らす演奏も現代では貴重?

これも響きに芯がない感じですが、Bayreuthのオーケストラ(音響)の魅力は聴き取れます。個人的には厚みのある響きと、好意的に受け取りたいところ。ただし速めのテンポが推進力を感じさせるに至らず、妙にせっかちな印象につながるのは指揮者の責任でしょう。これはKupferの演出がすばらしいので、ぜひ映像で愉しみたいですね。映像付きだと歌手もいっそう魅力的になりますからね。



Christoph von Dohnanyi, Wiener Philharmoniker, Konzertvereinigung Wiener Staatsopernchor
Hale, Behrens, Protschka, Rydl, Heilmann, Vermillion
Vienna, March-November 1991
DECCA 436 418-2(CD)


Dohnanyiがすぐれた指揮者であることを疑うわけではないんですが、Hoffmannはこの“Der fliegende Hollaender”のdiscはあまり愉しめませんでした。Haitinkの“Die Meistersinger von Nuernberg”で言ったような「デコボコを見逃すことなくきれいに均して、終始激することなく美しい響きを忘れない」という傾向がより徹底していて、ややクールに過ぎる。どうも響きも無機的になっちゃって、ウィーン・フィルの魅力も感じられず。歌手もそうしたコンセプトに合わせているものの、スケールまで小さくなってしまっていると思います。こうした演奏の延長線上に、いまではKent Naganoの”Lohengrin”のようなより徹底した演奏もあって、いろいろな意味で中途半端と感じられるんですね。live録音だったら、また異なる印象となったかもしれません。



Pinchas Steinberg, Budapest Radio Chorus, ORF Symphony Orchestra, Vienna
Muff, Haubold, Knodt, Seiffert
Konzerthaus in Vienna, September 1992
NAXOS 8.660025-26(CD)


重厚壮大ではありませんが、生き生きとしたバランスのいい演奏、全体に欠点のない好演ですね。指揮者も歌手も若々しくて、「おれがおれが」と飛び出しているひともいない。まとまりのよさには好感が持てます・・・と、それにしてはこのdisc、あまり聴かないんですね(^^;Wagnerのdiscを聴くのに、とくに欠点のない、まとまりのいい好演で満足できるのか・・・という問題ですね(^o^;



Daniel Barenboim, Chor der Deutschen Staatsoper Berlin, Staatskapelle Berlin
Eaglen, Struckmann, Seiffert, Holl
Berlin, 2001
Teldec 8573-88063-2(CD)


ズイブン古い話なんですけどね、この指揮者、かつて来日した折りにインタヴューにこたえて、「ライヴで聴くのが本当の音楽、レコーディングは商売(金のため)」と言っていたそうです。たしかにこのひとの演奏って、それ以上のものではなさそうですね。

どうもルーチン・ワークと聴こえます。BarenboimはWagnerの主要作品10作をすべて全曲録音したわけですが、この“Der fliegende Hollaender”を含めたいくつかの作品に対しては、てんで関心が薄くて、あまり積極的な「やる気」がなかったんだろうとしか思えません。



Bruno Weil, Cappella Coloniensis
Selig, Weber, Duermueller, Schroeder, van Resburg
Essen, June 13-15, 2004
82876 6471 2(CD)


ピリオド楽器を使用した、初稿による録音。舞台もノルウェーではなくスコットランド。ダーラントはドナルド、エリックはジョージ(ゲオルク)と、登場人物の名前まで初稿によるという徹底ぶり。

おもしろいことはおもしろいのですが、現代的な低カロリーの演奏と歌唱は好みの分かれるところでしょうね。もっとも、ここでヴォータンやブリュンヒルデを期待するのも間違いなんですけどね。Wagnerだって、この“Der fliegende Hollaender”の時点では後年の作品のような歌手のことを念頭において作曲していたわけではないのですから・・・。
・・・とは言うものの(^o^;栴檀は双葉より・・・とも言いますよね(笑)後年のWagnerを予感させるような音楽造りを演奏にも求めたいところです。どことなく実験的に聴こえて、Wagner演奏として板に付いていないと感じるのは、演奏者の責任か、あるいは聴き手であるこちらのせいなのか・・・別な指揮者・団体による演奏が出たら、また聴いてみたいですね。




Antoni Wit, Orkiestra Symfoniczna i Chor Filharmoni Narodowej (Warschauer Philharmonie und Philharmonischer Chor)
H.Sotin, C.Libor, E.Wottrich, E.Marciniec, R.Minkiewicz, D.Pittman-Jennings
Nagranie live koncertu, 29.10.2005
Accord ACD143-2(CD)


コンサート形式による上演のlive録音。これは存外いい演奏でした。オーケストラもWagnerらしいいい響きを聴かせてくれるし、録音も距離感を含めて自然なバランス。やや高域が落ち気味で、低域とその残響が豊か。少なめのマイクで(つまりマルチマイクではなく)、調整卓での操作も最小限といったところでしょうか。録ったままであまりいじらないと、こんなふうに全体がブレンドされたような響きになるんですよね。現代のマルチマイク録音に毒されたひとは分解能が悪いなんて言うかもしれませんが、じつは細部まで明瞭。大型の装置(スピーカー)でやや音量大きめにすればよくわかるはず。逆に小型の装置だと、くもりがちで眠く聴こえるかもしれません。

演奏は全曲にわたって緊張感が持続して、Wagner初期の作品ならではのドラマティックに過ぎない美しさが印象的。ただしコンサート形式のせいかどうか、もう少し劇性(劇的、ではなく)があってもいいかなとは思います。オペラハウスだったら、楽譜に指示がなくても当然対応しそうな箇所が素通りされているあたり、新鮮というよりは、指揮者がオペラに対する適性をやや欠いているように感じられるところ。歌手はオランダ人役のP-Jenningsが呪われた運命に翻弄される悲劇性を表現しきれず、ベテランSotinもやや流し気味で残念。ただし全体としては現代的に過ぎない、やや古風とも言えるWagner演奏で、これはこれでなかなか魅力的です。




Hartmut Haenchen, Netherlands Philharmonic Orhcestra, Chorus of De Netherlandse Opera
Martin Kusej, Lloyd, Naglestad, Jentzsch, Prudenskaja, Ringelhahn, Uusitalo
Amsterdam Music Theatre, 16 and 25 february 2010
Opus Arte OA BD7084 D(BD)


もはや現代の演出は「読み替え」などという次元を越えてしまいましたね。よくわからないとしか言いようがありません(分かったふりだけはしたくないのでね)。どんなにオーケストラや歌手が好演していても、こんな映像が付いてくるんだったら、いっそ音だけのメディアのほうが愉しめます。



Marek Janowski, Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin, Rundfunkchor Berlin
Dohmen, Merbeth, Salminen, Dean Smith, Hablowetz
Berkin, 13 November, 2010
PentaTone PTC 5186 400(SACD)


演奏会形式live録音のSACD盤。Wagner生誕200年である2013年を目標に、主要10作を録音するというプロジェクトの第一弾。

速めのテンポで屈託なく進行する、現代的なWagner演奏。SawallischやBoehmならもっとアタックを強めにしてメリハリを付けるところ、さらさらと流れてゆくあたり、Wagnerの毒も薄められてしまったなあという印象も。合唱団の上手さもあって、これはこれでよくまとまった完成度の高いオペラ全曲論音だと思います・・・が、discとしてはそれで満足のいくWagner演奏とは言い難いのも事実。しかしさすがにベテランのJanowskiとあって、演奏会の記録としては後世に残すだけの価値はありますね。惜しいのはどうにも不安定なゼンタを歌うRichard Merbeth。男声は概ね好調