Die Meistersinger von Nuernberg





Artur Bodanzky, Orchestra and Chorus of the Metropolitan Opera
Rethberg, Maison, Schorr, Habich
New York, 22 February 1936
MUSIC & ARTS CD652(CD)



Arturo Toscanini, Chor der Wiener Staatsoper, Wiener Philmarmoniker
Nissen, Hoort, Reining, Wiedemann
Salzburg Festival, 5/8/1937
MEL012(LP)

Toscaniniは1936年と翌年1937年にSalzburg音楽祭でこの作品を振っており、当時大評判になったと言われている上演の貴重な記録です。

この時代としてはかなり即物的―などと言うと聞こえが悪いんですが、おかげでかえって70年も前の演奏であるにも関わらず古びて聴こえないのは、やはりToscaniniがただ者ではなかった証左となっているんじゃないでしょうか。




Erich Leinsdorf, Orchestra and Chorus of the Metropolitan Opera
Janssen, Kullman, Schorr, List
New York, 22 February 1939
RR-484(LP)

いかにも海賊盤めいた函に、Metropolitan Operaの表記はないんですが、指揮者と歌手の名前からしてMetropolitanの公演でしょう・・・にしても、録音は1939年のliveとは思えない鮮明なものです。


Wilhelm Furtwaengler, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Prohaska, Greindl, Fuchs, Lorenz, Mueller
Bayreuth, 1943
EMI WF86~72(LP), foyer FO1043(LP)

ドイツ敗色濃厚な第二次世界大戦末期のBayreuth音楽祭の記録です。1943〜44年はこの作品のみ上演され、聴衆はほとんどが傷痍軍人などの招待客だったそうです。周知のとおり、2箇所ほど欠落あり。なお、左は東芝から発売された国内盤LP、右は仏foyer盤LPですが、この二種類のLPから聴くことのできるの音のタッチが、まるで違うんですな。東芝盤はノイズを除去して高域丸め、これと比べるとfoyer盤は高域が強調気味かというくらい鮮やかです。



Hermann Abendroth, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Schoeffler, Kunz, Suthaus, Scheppan
Bayreuth, 16.Juli 1943
PREISER 90174(CD)

上のFurtwaengler盤と同じ年のBayreuth実況録音。この年は16回の公演中、Furtwaenglerが4回、残り12回をAbendrothが振ったそうです。Furtwaenglerの録音には一部欠落があるんですが、このAbendroth盤は欠落なく、音質も良好です。

一聴して指揮者の意思がオーケストラの流れを決定していると印象づけられますね。前奏曲は速めのテンポですが、オペラ上演の常套的な方法というよりも、内からわき上がる勢いを感じさせるものですね

ザックスはBoehmが高く評価したというP.Schoeffler、ベックメッサーはE,Kunz、そのliveとなればこれもまた貴重な録音だね




Karl Boehm, Chor der Wiener Staatsoper, Wiener Philmarmoniker
Schoeffler, Kunz, Seider, Seefried
Wien, 28.-30.November und 1.,4. und 5.Dezember 1944
PREISER 90234(CD)



Eugen Jochum, Chor und Orchester der Bayerishcen Stattsoper
Hotter, Proebstl, Kusche, Treptow, Kupper
Muenchen, 10.12.1949
MEL428(LP)

このLPは何年頃の発売でしたか・・・ついにH.Hotterのザックスが聴けるぞ、と大喜びで購入したのをよくおぼえています。

・・・が、残念なことにここでのHotterはやや不調気味。Treptowも若々しさに欠け、その他の歌手も魅力に乏しい。Jochumの指揮にもこれといった個性が感じられません。




Hans Knappertsbusch, Chor der Wiener Staatsoper, Wiener Philmarmoniker
Schoeffler, Gueden, Treptow, Edelmann, Dermota
Wien, 1950~52
RS65002(LP)

これはスタジオ録音で、最初第三幕が録音され、その後第一幕、第二幕が追加録音されたと言われているものです。



Rudolf Kempe, Saxon State Orchestra
Franz, Lemnitz, Aldenhoff, Pflanzl
Dresden, 1951
JGCD0043-4(CD)



Herbert von Karajan, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Edelmann, Kunz, Hopf, Schwarzkopf
Bayreuth, 1951
PATHE MARCONI 1433903(LP)

戦後1951年に再開されたBayreuth音楽祭は、まずFurtwaengler指揮によるBeethoven交響曲第9番で開幕され、“Parsifal”(Knappertsbusch)、“Ring”(Knappertsbusch、Karajan)、“Meistersinger”(Karajan)といったプログラムでした。つまり“Ring”のみ二人の指揮者が振り分けたんですね (各1チクルス?)。

ところが資料によっては、この“Meistersinger”もKnappertsbuschとKarajanの分担とされている。どうも1回だけKnappertsbuschが振ったらしいんですね。なんでも7回の公演のうちのある日、Karajanの姿が見えなくなった。噂によればBayreuthを離れて女性とお楽しみで、開演には間に合いそうもないと・・・そこで急遽Bayreuth滞在中のKnappertsbuschに連絡を取って、“Meistersinger”の指揮を依頼した。そしてなにも知らずにKarajanを待っていたオーケストラの前に現れたKnappertsbusch、驚いている団員たちに向かって「そんなに困った顔で見ないでくださいよ。わしだって『マイスタージンガー』を指揮したことはあるんだから!」

さて、Karajanの“Meistersinger”に話を戻して、その演奏はというと、決して勢いだけで突っ走るものではなく、かなり細部にまで神経が行き届いたものですね。それでいて後年のように、響きの洗練ばかりを追及した密度の薄い演奏でもありません。KarajanのWagnerと言えば晩年の“Parsifal”が最高傑作だと思いますが、それ以外ではこの1951年の“Meistersinger”が好きです。




Fritz Reiner, Orchestra and Chorus of the Metropolitan Opera
Schoeffler, Wegner, Hopf, Holm, Janssen
New York, March 22, 1952
ARLA40-A43(CD)


Hans Knappertsbusch, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Edelmann, Pflanzl, Hopf, della Casa
Bayreuth, 1952
MEL522(LP), MUSIC & ARTS CD1014(CD), GM1.0003CD)



Fritz Reiner, Orchestra and Chorus of the Metropolitan Opera
Schoeffler, de los Angeles, Hopf, Greindl
New York, 10.1.1953
WLCD 0273(CD)



Hans Rosbaud, Orchestra e doro della RAI di Milano
O.Edelmann, E.Schwarzkopf, H.Hopf, I.Malaniuk, G.Unger, E.Kunz, L.Weber, K.Paul
Milano, 13.02.1955
WALHALL WLCD 0202(CD)

オーケストラの音色は明るめ、アンサンブルは決して悪くはないんですが、どことなく有機的なつながりが感じられず、ソロなどめいめい勝手に奏いて(吹いて)いるように聴こえます。とくに金管はモチーフがやたらと浮きあがって聴こえてきます。とはいってもそんなにちぐはぐな印象が強いわけではなく、Wagner演奏としては一応の水準に達していると思います。

指揮者はひたすら明快さを志向しているようですね

歌手はケースの写真のとおり、Schwarzkopfがこのdiscの目玉なのかもしれませんが、歌を聴いていると、なんだか手練手管に長けた策略家のようなエヴァですね(^^;Kunzのベックメッサーに同情したくなります(笑)



Franz Konwitschny, Chor der Deutschen Staatsoper Berlin, Staatsoper Berlin
Herrmann, Keplinger, Witte, Mueller, Unger, Pflanzl
Berlin, 04.09.1955 Deutshce Staatsoper unter den Linden Berlin Re-Opening
WALHALL WLCD 0234(CD)


Deutschen Staatsoper unter den Linden Berlinにおけるlive録音、のRe-Openingと記載されています。
Konwitschnyといえば悠揚迫らぬ堂々としたオーケストラいかにもドイツの伝統的な指揮者というイメージを持たれているようですが、あまりにもおっとりしていて細かなニュアンスなどおざなりな面もあって、Hoffmannは必ずしも好きな指揮者ではありません。この“Meistersinger”でも前奏曲がはじまると、上記のようなイメージどおりの演奏なんですが、その後はlive録音の故でしょうか、むしろ速めのテンポで推進力も感じさせます。さすがに入念な表情付けを施しているとまでは思わず、基本的には作品そのものに語らせる姿勢なんですが、それなりにドラマの展開にも意を払っているようですね。なかなか愉しめる演奏ですね。歌手はとくに突出したひともいないんですが、まずまず上出来・・・と言いたいんですが、肝心のザックス役J.Herrmannが、これはミスキャストではないでしょうか、変にクセのある声で、ザックスにふさわしい暖かな人間味とかやさしさは微塵も感じられず、第三幕なんか不機嫌にがなり立てるばかりで怒られているみたい、ラストに至ってはほとんどうなり声に聴こえます。このひとを除けば全体に好感を持ったんですけどね、録音もなかなか鮮明なのに、残念です。



Hans Knappertsbusch, Chor und Orchester der Bayerishcen Stattsoper
Franz, Frick, Pflanzl, Hopf, della Casa
Muenchen, 11.9.1955
HK3001-4(CD), ORFEO C 462 974 L(CD)

HK3001-4はまるでtrackが切っていないという不便なdisc。



Fritz Reiner, Chor der Wiener Staatsoper, Wiener Philmarmoniker
Seefried, Beirer, Schoeffler, Kunz
Wien, 14.11.1955
MELORAM CDM47083(CD), ORFEO C667 054 L(CD)



Rudolf Kempe, Berlin Philmarmonic Orchestra
Franz, Frick, Kusche, Schock, Gruemmer
1956
EMI RLS740(LP)

1950年代から1960年代初頭にかけてのKempeによるEMI録音は、その多くがこの指揮者の最良の記録なんですが、ここでははなはだ微温的で冴えませんね。肝心のザックスを歌うFranzは細やかな内面の表現に不足しており、Schockに至ってはそもそもWagnerを歌えるだけの力量があるとも思えません。Grummerがいい歌を聴かせてくれますが、それだけでこの大曲を聴き通すのはつらいところです。


Andre Cluytens, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Hotter, Greindl, Windgassen, Atolze, Brouwenstijn, von Milinkovic
Bayreuth, 1956
GM1.0068(CD), Music & ARTS CD1011(CD)

Cluytens、Bayreuthの“Meistersinger”は1956、1957、1958年盤が出そろっているわけですが、歌手に関する限り、これはもう当然の如く・・・


Andre Cluytens, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Neidlinger, Schmidt-Walter, Geisler, Gruemmer
Bayreuth, 1957
MEL572(LP), WLCD0214(CD)

1956年から上演されたWieland Wgner演出による上演の記録。抽象的な舞台で“ohne Nuernberg”と言われたそうですが・・・。

Cluytensらしい、ラテン的な明るさの明快な音楽造りが個性的ですね。いかにも中世ドイツ都市と民衆を感じさせるような演奏ではないんですが、むしろ演出(舞台装置)にはふさわしかった? といって、決して音楽が軽くなっているわけではなく、これはこれでWagner演奏のひとつの型ではないでしょうか。歌手も、いつになく歌いやすそうで、実力以上の魅力を発揮しています。



Andre Cluytens, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Wiener, Blankenheim, Traxel, Gruemmer
Bayreuth, 1958
MEL582(LP), MYTO 00187(CD)

前年の同じ指揮者によるBayreuth実況録音とくらべると、歌手の交代はあるものの、あまり演奏に違いはありません。



Karl Boehm, Orchestra and Chorus of the Metropolitan Opera
Edelmann Nordmo-Loevberg, Feiersinger, Tozzi
New York, 7.3.1959
WLCD 0303(CD)




Erich Leinsdorf, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Wiener, Greindl, Blankenheim, Schock, Gruemmer
Bayreuth, 1959
GM1.0061(CD)

戦前の一時期には若くしてMetropolitanでのWagner上演を任されていたLeinsdorfが、1959年に至ってBayreuthに登場した際の実況録音。


Hans Knappertsbusch, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Greindl, Shmidt-Walter, Windgassen, Gruemmer
Bayreuth, 1960
MEL603(LP), GM1.0029(CD), MYTO 00274(CD)


Joseph Keilberth, Chor und Symphonie-Orchester des Bayerischen Staatskapelle
Wiener, Hotter, Kusche, Thomas, Watson
Muenchen, 23.2.1963
eurodisc XR70841/1-5(LP), OC220~4(LP), SONY 88697594932(CD)

バイエルン国立歌劇場再建記念公演のlive録音。

左はキングレコードが解説書・対訳を付けて発売した独eurodisc直輸入盤、中央はThe World Record Club LTDによる英プレス盤。後者英盤の方がカッティングレベルが高いが、やや高域上がり。独盤の方はもう少し落ち着いた響き。同じ録音なのに、英プレス盤はマイクが近くなったような印象がありますね。ただし録音のせいばかりではなく、Keilberthの指揮はヴァイオリンなど高域寄り弦楽器優勢のバランスのようで、結構モダンな感覚の演奏です。同じKeilberthでもBayreuth録音とは異なるやや腰高なバランスはElectrolaの「魔弾の射手」に似ていて、これは録音のせいなのか。




Joseph Rosenstock, Orchestra and Chorus of the Metropolitan Opera
Edelmann, Flagello, Doench, Konya, Della Casa
New York, January 5.1963
Gala GL100.657

オーケストラの響きは明るめながら、ややテンポは遅め、祝祭的な派手さのない演奏表現に渋い味わいを感じます。指揮者の個性でしょうか、これはこれで悪くありませんね。歌手は・・・先入観というものは恐ろしい(笑)やはりKarajanの「薔薇の騎士」の記憶は拭い去りがたく・・・つまりO.Edelmannとなると、なにを歌っていてもオックス男爵に聴こえてしまうんですね(^o^A;hahaha・・・

・・・というのは半分冗談ですが、ニュルンベルクのハンス・ザックスというより、ウィーンのハンス・ザックスといった印象です(笑)


私はEdelmannといえばレポレロですね〜(^o^*




Karl Boehm, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Greindl, Boehme, Alexander, Konya, Silja
Bayreuth, 1964
GM1.0074(CD)



Karl Boehm, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Adam, Ridderbusch, Hemsley, Kmentt, Jones
Bayreuth, 1965
Orfeo C 753 084 L(CD)


Boehm、Bayreuthの“Die Meistersinger von Nuernberg”といえば1964年、1968年の公演の記録が既にCD化されていましたが、これはOrfeoから出た1965年公演の正規盤です。

金管の強い録音バランスと思うひとがいるかもしれませんが、1960〜70年代のBayreuth録音はたいていこんなバランス。演奏も1960年代の元気だった頃のベームらしい、分厚い金管が強いアタックでメリハリをつけるもの。歌手も合唱も充実しています。以上、コメントは短いんですが、かなり気に入っている演奏です。



Rafael Kubelik, Chor und Orchester des Bayerischen Rundfunks
Stewart, Janowitz, Konya, Hemsley
Muenchen, 1967
MYTO 4MCD925.69(CD)



Karl Boehm, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Adam, Ridderbusch, Hemsley, Kmentt, Jones
Bayreuth, 1968
GM1.0038(CD)

1970年(だったかな?)、Bayreuth音楽祭ではBoehmが“Meistersinger”を振り、DGGがlive録音する予定だったのに、ザックスを歌う予定だったWalter Berryが急に役を降りてしまったので実現しなかったとか。



Ferdinand Leitner, Chorus and Orchstra of the Colon Theatre, Buenos Aires
Neidlinger, Crass, Alexander, Konya, Unger, Watson
Buenos Aires, October 27, 1968
Living Stage LS1024(CD)


この年代としては録音お粗末。録音のせいもあるかもしれませんが、総奏のあと静かになるような箇所では演奏が止まっちゃいそうに聴こえます。ただしオーケストラと歌手のバランスは悪くありません。その歌手はといえば、この歌劇場らしくなかなか豪華で愉しめるんですけどね、どうもオーケストラが非力なことに加えて、指揮者が交通整理以上の主張を感じさせてくれません。




Herbert von Karajan, Staatskapelle Dresden
Adam, Kollo, Ridderbusch
1970
AA9691~95(LP)

評判の良いdiscですね。Karajanがこの作品ならと、あえて東ドイツ(当時)に赴いて録音したもの・・・と言われていますが・・・。
どこで読んだのか忘れましたが、このレコーディングは当初指揮者にBarbirolliが予定されていたとか。ところが1968年の「プラハの春」事件の際、R.Kubelikから東側諸国での演奏活動を控えられたいとの要請があって、Barbirolliもこれに賛同、レコーディングを断り、Karajanは代役だったらしいんですね。

T.Adam、K.Ridderbusch、R.Kolloほか、歌手にも穴はなく、Dresdenのオーケストラの音色もたいへん魅力的なんですが、やはりHoffmannはこの流線型の音楽造りには首肯できません。何度聴いても愉しむことができないのが残念です。ただし録音に関する限り、KarajanのWagner全曲録音のなかでは、いちばんまとも。




Thomas Schippers, Orchestra and Chorus of the Metropolitan Opera
Lorenger, King, Adam, Kusche, Flagello
New York, January 15, 1972
Sony 88697 85304 2(CD)




Silvio Varviso, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Ridderbusch, Sotin, Hirte, Cox, Bode
Bayreuth, 1974
PHILIPS SFX9548~52(LP)

雑誌などではほとんど取りあげられることもない、(おそらく)一般には評価の低いdiscですね。'60年代に活躍していた大歌手たちが退いた時期でもあり、ザックスのRidderbusch以外の歌手が総じて弱く、そのRidderbuschでさえ、「ハンス・ザックスという役どころと結びつけて考えられる独特な暖かみと人間性に欠けている」(ドナルド・キーン)などと評される始末・・・先入観というか、短絡的な気がします。T.Adamのような、いかにもなザックスではありませんが、声も表現も一流だと思います。Hofffmannはこれ、好きですね。Ridderbusch以外では、Coxは弱いとしか言いようがないものの、その他の歌手は悪いというほどではありません。とくに歌手のアンサンブルは上出来。指揮は重厚でありながら鈍くならず、速めのテンポでさわやかと言いたいくらい。第三幕終盤の劇的な盛り上げは特筆もの。合唱団に至ってはさすがBayreuth(合唱指揮者Norbert Balatschの功績!)、まったく申し分ないすばらしさです。

めずらしく大絶賛ですね〜(^o^*




Christoph von Dohnanyi, Orchester und Chor der Wiener Staatsoper
Ridderbusch, Moll, van der Bilt, King, Janowitz
Wien, 21 October 1975
PONT PO-1006(CD)

さすがDohnanyi、1975年にして新時代のWagner演奏になっていますね。重厚壮大型の旧世代のWagner演奏とは一線を画すもので、とくに弱音部のニュアンスが豊かで、このあたりの表情付けのコントロールは合唱にまで至ります。決して激することなく、つねに美しさを保つ響きはこの指揮者らしいところですね。歌手はそうした指揮者のコンセプトにふさわしい面々。ただ、Hoffmannはこの演奏が好きかと問われると、ちょっと微妙ですね。



Eugen Jochum, Chor und Orchester der Deutschen Oper Berlin
F-Dieskau, Lagger, Hermann, Domingo, Ligendza
Berlin, 19.03.~03.04.1976
DGG MG8220/24(LP)

1976年3月のDeutschen Oper Berlinでの公演が評判がよかったので、一部歌手を入れ替えて録音されたものだそうです。オーケストラは超一流の魅力とは言えないんですが、落ち着いた貫禄とモダンな感覚を併せ持つJochumの、これは最上のdiscかもしれません。あり余る声のDomingoはさすが、ただしこれが好みかと言われると・・・(^^;そのほか歌手は総じていい歌を聴かせていますが、残念、肝心のザックスがHoffmannの嫌いなF-Dです。F-Dのザックスはこのときの公演が初めて、本公演では絶賛されたそうなんですが、好みは別としてもこのザックス、歌の表情付けなど上手いというよりあざとい。ザックスの人間味よりもF-Dという歌手ばかりが押しつけがましく、おかげであまりにも神経質にすぎると聴こえます。



Horst Stein, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Wolfgang Wagner,
Bayreuth, 1984
PHILIPS CDV512~4(LD), DGG 00440 073 4160(DVD)



Charles Mackerras, The Australian Opera Chorus, The Elozabethan Philharmonic Orchestra
Michael Hampe. McIntyre, Frey, Pringle, Doig, Shanks, Gunn, Allman
Sydney, October 14, 1988
KULTUR D0007(DVD)

さすがベテラン指揮者、Mackerrasの指揮の下でなかなか充実した公演になっています。McIntyreの演技も細かく、愉しめる映像です。(monologue 2008.05.27 tuesあたりを参照)



Wolfgang Sawalisch, Bayerisches Staatsoper
Weikl, Heppner, Studer, Lorenz,
Muenchen, 1993
EMI CDS 5 55142 2(CD)

Hoffmannは日頃から、discでオペラを聴くならlive録音に限る―「限る」は言い過ぎとしても、live録音に如くはない、と思っているのですが、やはりここでも後述するBarenboim盤にその長所が存するのを認めざるを得ませんでした。もっともlive録音といってもゲネプロなど適宜編集したものでしょうけれど、その感興がドラマをそれらしく進行させているのは確かです。たとえば第一幕でコートナーがマイスタージンガーたちの点呼(出席)をとっている場面、めいめい個性ある返答をしている親方たちのなかで、ザックスのあとにベックメッサーがザックスをからかうようなことを言うんですが、ここ、Sawalisch盤だとよどみなく流れていく旋律のなかに埋没してしまっています。ぼんやりしているとザックスもベックメッサーもいつの間にか通り過ぎてしまう、めりはりがないんですね。ところがBarenboim盤だと、親方たちひとりひとりの返答(歌)が立ち上がってきて、そのなかでもザックスとベックメッサーの存在感は浮きあがってくる。たぶん、Sawalischだって実演では歌手たちの演技と相俟って、こうした演劇的な音楽造りになるのだと思います。やはり、このあたりにliveでないスタジオ録音というものの落とし穴があるんじゃないでしょうか。



Rafael Fruebeck de Burgos, Chor und Orchester der Deutschen Oper Berlin
Goetz Friedrich, Brendel, Wingergh
Berlin, 19,23,26. 2. 1995
PIBC2004(DVD)

Goetz Friedrichらしい、民衆を重視した演出ですね。とくに歌合戦の場面では、ヴァルターの歌を聴きに旅芸人(つまりは余所者)までが集まってくるあたりに、その演出意図がよくあらわれています(ただしこの映像ではわかりにくい)。Brendelのザックスはことさらに高貴な人格者ではなく、なんとも庶民的な親方職人、ベックメッサーとの和解も自然ですね。舞台奥の円環を場面によって使い分けるのもいいですね。とくにミニチュアの街並みはうまいと思います。指揮は堂に入ったもので、かなり高水準の上演じゃないでしょうか。



Bernard Haitink, The Royal Opera Chorus, The Orchestra if hte Royal Opera Hause
Winbergh, Gustafson, Allen, Tomlinson, Wyn-Rogers, Lippert
London, 12 July 1997
ROHS008(CD)

HaitinkのCovent Gardenにおける“Die Meistersinger von Nuernberg”のlive録音です。

指揮は良くも悪くも中庸をゆくもの。メリハリとかコントラストといった形容とは無縁で、デコボコを見逃すことなくきれいに均して、終始激することなく美しい響きを忘れないといった演奏ですね。ただ、その響きにいま一歩力強さが加われば・・・また、これだけ長い作品ですから、もう少しドラマティックな変化を付けてくれてもよかったのではないかとも思います。細部にこだわると、ちょっと素っ気ないと聴こえるんですね。ただし決して無機的にはならず、humanな暖かみを感じさせるのがHaitinkらしく、これはこれで説得力があります。歌手も総じて優秀で、intimateな雰囲気のある、いい歌を聴かせてくれます(ただし演出がどんなものだったのかは知りません)。


Daniel Barenboim, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Wolfgang Wagner, Holl, Schmidt, Seiffert, Magee
Bayreuth, 21-30 June 1999
Teldec 3984-29333-2(CD), Unitel 2072358(DVD)

Barenboimの“Ring”以外のWagner全曲録音をまとめて買ってきて、ケースの表記すらろくすっぽ確認していなかったんですが、これは音が出た瞬間「おや」と思いました。この作品のみBayreuth録音だったんですね。やはりBayreuthの音響はWagnerにふさわしいというか、ひと味違いますね。

演奏そのものはBarenboimらしく、重厚にやっているつもりがダルになっているという印象なんですが、やはりほかのdiscとは違った美点があるのはオーケストラ(とホール)のせいでしょう。ただ、古いものも含めてあれこれdiscを聴いていて、このあたりの時期の録音になると、どうにも歌手に魅力が乏しくなってきますね。

(追記)
2008年にDVDが出ました・・・で、あらためて視聴したんですが、映像が付いたからといってたいしておもしろくもなし。むしろ小粒な歌手、Barenboimのダルな指揮ぶりが際立つ結果になって、退屈でした。




Franz Welser-Moest, Orchester der Oper Zuerich
Nikolaus Lehnhoff, Van Dam, Salminen, Volle, Seiffert, Strehl, Schnitxer,Pinter
Zuerich, 2004?
EMI 7243 5 99736 9 2(DVD)


前奏曲の間は出演者の食事風景が映し出されるという、制作者がなにを考えているのか分からないDVDです。その後もカメラは舞台に対して無意味に傾けられたりするなど、観ていて居心地が悪く、ほとんど不快。そんなカメラワークですから演出について好悪を語っても仕方がない。ザックスは神経質で粗暴でさえあり、これが演出のせいなのか、歌手の個性なのか・・・たぶん両方? オーケストラの音色も魅力に乏しいですね。



Christian Thielemann, Chor der Wiener Staatsoper, Orchester der Wiener Staatsoper
Otto Schenk, Struckmann, Anger, Eroed, Botha, Schade, Merbeth, Selinger
BVIenna, 19 and 23 January 2008
medici arte 2072488(DVD)




Sebastian Weigle, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Katharina Wagner, Hawlata, Korn, Volle, Vogt, Ernst, Kaune, Guber
Bayreuth, 2008
OPUS ARTE OA BD7078(BD)


なんだかもう、Wagner演出もひどいことになってきましたね。これは演出のなんとかいう女が、自分の地位を固めるための諸外国向けアジテーション。どこかの国の売国奴政党みたいなもんです。



Jaap van Zweden, Radio Filharmonisch Orkest Groot Omroepkoor
R.Holl, A.Anger, E.W.Schulte, B.Fritz, R.Trost, B.Haveman, E.Bishop
Amsterdam, 7 februari 2009
Quattro Live(CD)




Marek Janowski, Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin, Rundfunkchor Berlin
Dohmen, Henschel, Haller, Dean Smith, Breedt
Berkin, June 3, 2011
PentaTone PTC 5186 402(SACD)