Tristan und Isolde




Karl Elmendorff, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Graarud, Andresen, Larsen-Todsen, Bockelmann, Helm
Bayreuth, 1928
EMI 1c 181-03 031/33(LP), PREISER 90383(CD)


1928年Bayreuth音楽祭のlive収録とされるもの。戦前にはSP盤19枚組で発売されたそうです。かなりの短縮版ながら、Siegfried Wagner公式承認の録音であり、年代を考慮すれば驚くべき良好な音質。それにしても、戦前の大歌手のというものは・・・。



Fritz Reiner, London Philmarmonic Orchestra, Chorus of the Royal Opera House
Melchior, Flagstad, Kalter, Janssen, List
London, 1936
VAIA 1004-3(CD)




Artur Bodanzky, Orchestra and Chorus of the Metropolitan Opera
Flagstad, Melchior, Thorborg, Huehn, Hofmann
New York, January 2, 1937
WHL22(CD)




Sir Thomas Beecham,Bart., London Philmarmonic Orchestra, Chorus of the Royal Opera House
Melchior, Flagstad, Nillson, Janssen, Klose
London, 19.VI.1937
EMI CHS7 64037 2(CD)




Sir Thomas Beecham,Bart., Orcheatra & Choir Covent Garden Opera house
Melchior, Flagstad, Nillson, Schoeffler & Janssen, Klose & Branzell
London, 18.&22. 6.1937
ARCHIPEL ARPCD0021-3(CD)




Erich Kleiber, Teatro Colon Chorus and Orchestra
Lorenz, Konetzni, Branzell, Janssen, List
Buenos Aires, 18.09.1938
ARPCD0167-3(CD)




Erich Leinsdorf, Orchestra and Chorus of the Metropolitan Opera
Flagstad, Melchior, Thorborg, Huehn, List
New York, 23 March 1940
MUSIC & ARTS CD647(CD)




Fritz Busch, Teatro Colon
Traubel, Meichior, Kindermann, Janssen, List
Buenos Aires, 07.08.1943
JGCD 0039-3(CD)




Robert Heger, Maennerchor der Staatsoper,Berlin, Staatskapelle Berlin
Lorenz, Buchner, Hofmann, Prohaska, Klose
Berlin, 14~19.Mai 1943
PREISER 90243(CD)




Fritz Busch, Orchestra and Chorus of the Metropolitan Opera
Traubel, Svanholm, Harshaw, Ernster, Bergund
New York, 30.11.1946
MYTO 3CD983.H020(CD)




Erich Kleiber, Orchestra e Coro del Teatro Colon di Buenos Aires
Flagstad, Svanholm, Ursuleac, Weber, Hotter
Buenos Aires, 20.8.1948
MYTO 3CD993.H031(CD)




Hans Schmidt-Isserstedt, Chor und Orchester des NWDR Hamburg
Lorenz, Baumann, Herrmann, Kronenberg, Klose
Hamburg, 16.12.1949
MEL444(LP
)


Hans Knappertsbusch, Chor und Symphonie-Orchester der Bayerischen Staatsoper
Treptow, Franz, Braun, Schoeffler, Klose
Muenchen, 23.Juli 1950
MOVIMENTO MUSICA 05.001(LP), ORFEO C 355 943 D(CD)


Knappertsbusch唯一の“Tristan”全曲の記録。Bayreuthでは取りあげていないんですよね。

そんなに遅くはないのにじつに悠然としたテンポと聴こえますね。まさにKnappertsbuschの独擅場。歌手が少々弱いのも気にならなくなっちゃいます。



Franz Konwitschny, Chor des Mitteldeutschen Rundfunks Leipzig,Gewandhausorchester Leipzig
Suthaus, Frick, Baeumer, Wolfram, Westenberger
Leipzig, Oktober 1950
PREISER 90453(CD)


原盤は米Urania。LPレコードは長らく入手困難でした。KonwitschnyによるWagner全曲録音はほかに“Der fliegende Hollaender”、“Tannhaeuser”がありますが、そちらの二作はBerlin Staatsoperとの録音で、この“Tristan”のみGewandhausorchester Leipzigを振っての録音です。



Fritz Reiner, Metropolitan Opera Chorus and Orchestra
Traubel, Vinay, Nilsson, Thebom, Schoeffler
New York, 09.12.1950
WLCD 0175(CD)



Victor de Sabata, Orchestra e Coro del Teatro alla Scala di Milano
Lorenz, Grob-Prandl, Nilssen, Cavelti, Bijorling
Milano, 13.12.1951?
NUOVA ERA 2347/49(CD), ARPCD 0027-3(CD)


de Sabataは1939年にはBayreuthでも“Tristan”を振ったイタリアの名指揮者。結構長生きしたひとなのに、病気がちでさっさと引退してしまったため録音が少なく、貴重な記録なんですが・・・。

ただの雑音のdiscです。音質が悪すぎて演奏の良し悪しを云々できるようなシロモノではありません(-。-;)/論外


Wilhelm Frutwaengler, Philharmonia Orchestra London
Suthaus, Flagstad, Thebom, Greindl, F-Dieskau
London, Juni 1952
Electrola 1C147-00899/903(LP), Toshiba WF45~49(LP)


プロデューサーはWalter Legge。第二幕の2ヶ所のハイCを、Flagstadに代わってLegge夫人のE.Schwarzkopfが歌っているというのは有名な話。そんなことは抜きにして、Flagstadの歌はきわめて評判がよろしいが・・・。

Frutwaenglerとしてはいかにもスタジオ録音といった、燃焼不足の演奏ですね。歌手も、Flagstadを含めてさほどすぐれたものとも思えません。Suthausも冴えないし、マルケ王のGreindlなんて、第二幕では長々と愚痴をたれているようにしか聴こえません。

このdiscを悪く言うのはHoffmannさんくらいですよ〜(^o^;タブン



Erich Kleiber, Chor und Orchester der Bayerischen Staatsoper Muenchen
Braun, Treptow, Franz, Klose, Grossmann
Muenchen, 20.07.1952
WLCD0044(CD)


主役二人が1950年のKnappertsbusch盤と同じですね。当時のMuenchenでは当たり役だったのでしょうか。


Herbert von Karajan, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Vinay, Weber, Moedl, Hotter, Uhde, Malaniuk
Bayreuth, 23.Juli 1952
GM1.0054(CD), ORFEO C 603 033 D(CD), MEL525(LP)


Karajan44歳。この年を最後にBayreuthを去っているので貴重な録音。

Vinayがなんともネクラな声で、どうも好きになれませんね。Moedlはいい歌手なんですが、同時代にA.Varnayがいるのでちょっと損をしています。主役以外の歌手は総じてすぐれており、とくにクルヴェナールのHotterとブランゲーネのMalaniukが見事。Karajan壮年期の演奏として評判は悪くはないのですが、個人的にはさほどとも思いません。




Eugen Jochum, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Vinay, Varnay, Neidlinger, Weber, Malaniuk
Bayreuth, 1953
GM1.0030(CD)


JochumはKarajanの代役として登場。イゾルデが前年のMoedlからVarnayに代わっています。



Rudolf Kempe, Metropolitan Opera Chorus and Orchestra
Varnay, Svanholm, Hines, Thebom, Metternich
New York, 19.03.1955
WLCD 0135(CD)




Andre Cluytens, Chor und Orchester der Wiener Staatsoper
Grob-Prandle, Lustig, Milinkovic, Blankenheim, Boehme
Wien, 12.02.1956
WALHALL WLCD 0235(CD)


こんな録音が残っていたんですね、1956年、Wiener StaatsoperにおけるA.Cluytens指揮“Tristan und Isolde”です。

いったいどんな演奏なのかと思いきや・・・前奏曲を聴いていて驚くのは、弦でのポルタメントの多用。ポルタメントを除けば、そんなに大時代的な演奏ではなく、むしろ明快でフォルムも整っているんですが、まさにそのために極端なほどのポルタメントが、かえって異様ですらあります。前奏曲の後、幕が上がってもところどころ、とくに速いパッセージで弦が「うにょうにょ」しており(Cluytensって、こんな指揮するひとでしたっけ?)、どうもヴァイオリンが浮きあがって聴こえる録音のため、よけいに気になるんですね。歌手はトリスタンのR.Lustigが弱い。イゾルデのG.Grob-Prandlはドラマティックに過ぎない、女性的な熱唱。K.Boehmeのマルケ王は、その第二幕の長丁場、嘆きに嘆いて「ああ〜オラもうやってらんねェだよ〜」と、もう滑稽なくらい・・・アムフォルタスだってここまで悲嘆に暮れてはいなかった?(笑)


G-Pranddlはもともと録音の少ないひとのようですね。イゾルデはde Sabata盤でも歌っていましたが、あちらは音質が悪すぎて、その芸風がほとんどわかりませんでしたから、このdiscは貴重な記録ですね。その声は決して太すぎず、「咆吼」にならない繊細さを保ちながら、「強い」声なんですね




Wolfgang Sawallisch, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Windgassen, Nilsson, Hotter, van Mill, Hoffmann
Bayreuth, 1957
GM1.0020(CD)



Artur Rodzinsky, Orchestra e Coro del Maggio Musicale Fiorentino
Windgassen, Nilsson, von Rohr, Neidlinger, Hoffmann
Firenze, 21 maggio 1957
Fonit Cetra DOC20(LP), Gala GL 100.665(CD)


Fonit CetraのLP、伊盤としても箱に印刷された表題がイタリア語というのはめずらしいですね(^o^;「トリスターノとイゾッタ」(笑)フィレンツェ5月祭のlive録音。これがなかなか・・・。

イタリアのオーケストラながらWagnerらしい響きを出しています。いや、同じ指揮者との1953年の“Tannhaeuser”と比較して、これが同じオーケストラなのかというくらい、こちらのほうが充実しています。Windgassen、Nilssonも若々しく、その他の歌手も一流どころが揃っています。水準以上の出来。



Fritz Stiedry, Metropolitan Opera Chorus and Orchestra
Harshaw Vinay, Thebom, Edelmann
New York, 1.3.1958
WLCD 0281(CD)




Wolfgang Sawallisch, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Windgassen, Nilsson, Greindl, Saeden, Uhl, Hoffmann
Bayreuth, 21.8.1958
MYTO 00186(CD)




Herbert von Karajan, Orchestra and Chorus of the Teatro alla Scala
Windgassen, Nilsson, Roessel-Majdan, Neidlinger, Hotter
Milan, April 4, 1959
GM1.0080(CD)


Karajanには1952年のBayreuth公演の記録がありますが、こちらはScala座公演の記録。Scala座で振ったものは、この録音の前年、1959年の“Die Walkuere”もありますね。

録音はこもりがち。ひょっとしてノイズ除去の結果? 演奏は意外と骨太のロマンティシズム、後年のベルリン・フィルとのレコーディングにおける汚い響き(とTristan歌手)に比べればよほどまともな演奏ですね。歌手も豪華。どことなく窮屈そうなひとと、我関せずとばかり、あくまで自分の歌を歌っているひとと・・・(笑)しかし残念ながら前年の“Die Walkuere”ほどのおもしろさはなく、Hoffmannとしては1952年のBayreuth録音と同様、さほどでも・・・という印象です。この相違はおそらくHoffmannのそれぞれの作品の受け取り方の違いによるものかもしれません。




Karl Boehm, Metropolitan Opera Chorus and Orchestra
Nilsson, Vinay, Dalis, Hines, Cassel
New York, 9.1.1960
WLCD 0307(CD), GM 1.0085(CD)




Joseph Rosenstock, Metropolitan Opera Chorus and Orchestra
Nilsson, Liebl, Dalis, Hines,Cassel
New York, 18.3.1961
WLCD 0344(CD)




Karl Boehm, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Windgassen, Nilsson, Greindl, Waechter, Meyer
Bayreuth, 1962
GM1.0073(CD)


1966年のDGG正規録音が多少編集されたものであるのに対して、こちらは一回の公演を通して録音したもの。



Karl Boehm, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Windgassen, Nilsson, Talvela, Waechter, Ludwig
Bayreuth, 1966
DG 139 221/25(LP), MG8081~5(LP)


live録音といっても、ゲネプロやじっさいの公演から編集されたものです。レコード会社によるBayreuthの正規録音はたいがいそうした方法をとっている模様。とにかく、抜群の名演!

演奏はたいへん見事なもので、とくに第二幕の愛の二重唱など白熱的です。禁欲的といいたいくらいに引き締まった演奏とオーケストラの響きがすばらしい。テンポもかなり速く、鈍重さもないのに、かえって重厚に聴こえます。戦後のBayreuthの頂点といっていいでしょう。低域の響きに残響感がないのは、たぶんホールの持ち味だと思います。

Windgassen、Nilssonはやはりこのdiscが最高の出来ですね

個人的にはもっとも好きなdiscだよ。ちなみにLP時代に出ていた5枚組では第10面がリハーサル風景で、ここでの録音の生々しさは驚くべきものだ(4枚組で出たものはリハーサル風景の収録なし)




William Smith, Philadelphia Grand Opera Company
Gruber, Kuhse, Densen, Vinay, Knelar, Thebom
Philadelphia, January 25, 1967
Pont PO1026(CD)


歌手は脇のR.Vinay、B.Thebomはともかく、E.Gruber、H-L.Kuhseの主役ふたりは知る人ぞ知る・・・ですね。しかし指揮者はぜんぜん知らないひと、オーケストラはこれ、フィラデルフィア管弦楽団でしょうか。どちらにせよ、あまり馴染みのない歌劇場の公演ですね。従って、ほとんど期待もせずに聴いたんですが、これが存外よろしかった。歌手もさることながら、指揮者も息の長い旋律の歌わせ方が巧みで叙情的な表現に妙味あり、なかなかの実力派と見受けました。録音状態も良好。



Horst Stein, Chor und orchester der Wiener Staatsoper
Beiler, Bjoner, Kreppel, Wiener, Hesse
Wien, 1970
LIVING STAGE LS1021


1970年代のBayreuthを支えた屋台骨H.Steinは意外にもWagner作品の正規全曲録音が少なく、これはその登場がうれしい1970年ウィーンにおけるlive録音です。

オーケストラはモダンな感覚と重厚な響きを併せ持ち、さすが指揮は充実したものです。第二幕の二重唱など、徐々に高揚していく様は手に汗握らせる「熱さ」もlive録音ならではでしょうか。トリスタンのH.Beirerはいまひとつ気品に乏しい歌なんですが、イゾルデのI.Bjonerは細やかなニュアンスにも不足のないドラマティック・ソプラノで見事。このひとも録音の少ないのが残念な大歌手ですね。Living Stage盤としては比較的ましな音質。



Herbert von Karajan, Berlin Philharmoniker
Dernesch, Vickers, Ludwig, Berry, Ridderbusch
1971~72
EAA90024~28(LP)


1972年の復活祭音楽祭での公演に先立って録音されたもの。要するに、リハーサルを兼ねてたんですな。とくにH.Derneschは「新時代のイゾルデ」と好評だったようです。オーケストラに関しては、Karajanらしい演奏で・・・。

Karajanらしい流線型の演奏ですね。ソフトフォーカスレンズで撮った写真みたいで、不協和音が不協和音に聴こえないのは、とりわけ“Tristan”では大問題なんじゃないでしょうか? なんのための不協和音なのか・・・これをボカしちゃダメです。歌手はJ.Vickersが海の荒くれ男といった印象で、はっきり言ってこれはぶちこわし(-_-;

ほかの歌手は総じていいのに残念ですね

しかし指揮も含めると、数あるなかでも最低の“Tristan und Isolde”じゃないか?



Karl Boehm, Choeurs New Philmarmonia de London, Orchestre National de l'ORTF
Vickers, Nilsson
Orange, July 7, 1973
LSZS00169(LD), D2230(DVD)


南仏のオランジュ音楽祭の実況収録。この録音の海外盤LPについて、あまりの音質の悪さに「余程の物好でもない限り、この種のレコードを買うばかもいないと思われる」と評したひとがいましたが、HoffmannはこれまでLP、CD、LD、DVDと全部買ってきた「物好きなばか」でありますσ(^0^)カンラカラカラ・・・。

野外劇場における公演で、舞台装置も演出もあってないようなもの。音質はLPで出ていたのはひどいシロモノでしたが、LD、DVDはかなり聴きやすくなっています。それでもオーケストラの充実ぶりはやや想像力で補って理解できるものですね。歌手はやはりNilssonがさすがの貫禄ですばらしい。それに比べると、Vickersの声はとくに美しくもないし、内面の苦悩を感じさせるほどの知性派でもありません。Vickersって、この歌手をたびたび起用していたKarajanが「だれがなんと言おうと美声だ」と言ったんですよね。この発言は、どうしてVickersを使うのか、と訊かれたからなんですが(笑)Karajanがなんと言おうと美声ではないと思いますよ(^^;




Carlos Kleiber, Chor & Orchestra of Vienna State Opera
Hopf, Ligendza, Baldani, Sotin
Vienna, October 7, 1973
EXCLUSIVE EX92T18/20(CD)




Carlos Kleiber, Stuttgart State Opera Orchestra and Chorus
Ligendza, Windgassen, Hoffman, Neidlinger, Frick
Stuttgart, April 22, 1973
GM1.0079(CD)




Carlos Kleiber, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Brilioth, Ligendza, Minton, Feldhoff, McIntyre
Bayreuth, 1974
GM1.0036(CD)




Carlos Kleiber, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Brilioth, Ligendza, Minton, Moll
Bayreuth, 1975
EXCLUSIVE EX92T54/56(CD)




Carlos Kleiber, Orchestra e Coro del Teatro alla Scala
Ligendza, Wenkoff, Baldani, Moll, Nimsgern
Milano, 12.4.1978
MYTO 3MCD993.208(CD)




Carlos Kleiber, Staatskapelle Dresden
Kollo, Moll, Price, F-Dieskau, Fassbaender
Dresden, 1978~82
DG 2741 006(LP)


足かけ3年もかけて録音したうえ、指揮者がなかなか発売をOKせず・・・というか、OKしないから何度も部分的に録り直したため3年もかかったんでしょうね。たしか当時、カートンケースのデザインまで決まっていて、広告にも出ていたのに延期に次ぐ延期となった記憶があります。当初イゾルデにはLigendzaが予定されていたんですが、急遽役を降りてしまったのでM.Priceが起用されたそうです。キャストに1910年生まれのAnton Dermotaの名前があるんですが、年齢を信じられないような若々しい声を聴くことができます。なんでもDermotaを引っ張り出したのはC.Kleiberのたっての希望だったとか。

前奏曲ではおおいに期待させられるのですが、ところどころ弛緩してしまうのは不思議。やはり再三録音し直してつぎはぎだらけのせいなのでしょうか。もっともC.Kleiberというひとは、こうした緊密に構築された作品になると、なぜか途中で緊張感の糸が切れてしまう傾向があるようです。歌手は主役のふたりがいかにも小粒といった印象で、とくに第一幕ではKolloもまるで冴えず、Priceもいいところなし、その結果か、妙にF-Dieskauが出しゃばってくるようで、すっかり浮いちゃってますね。



Leonard Bernstein, Chor und Symphonie-Orchester des Bayerischen Rundfunks
Hofmann, Sotin, Behrens, Weikl, Minton
Muenchen, 1981
PHILIPS 6769 091(LP)


函のデザインはJugendstilですね(^^*

Bernsteinによれば、この録音の様子を見に来たK.Boehmが「これこそ正しいテンポだ」と言ったとか。”Tristan”であんなに速いテンポをとったBoehmがねえ・・・ホントかしら(^^;Bernsteinって、結構自分に都合のいいホラ話調子のいいこと言いますからね(笑)ちなみにトリスタン役のP.Hofmannは、その後ロックに手を出して(声を出して?)すっかり喉をつぶしちゃいました。いつぞや来日してNHK交響楽団と共演したときにはカエルのような声を出していましたよ。従って、もはやこのひとの録音は貴重なんですが・・・。

猛烈にテンポが遅い。それが晩年のBernsteinのスタイルなんですが、ここではそれがMahlerその他の演奏に聴かれるような求心力には至らないのが残念。

HoffmannさんはBernsteinお好きですのに、これはあまり評価されませんか?

好きだけど、だからってなんでもいいというわけにはいかないよ(^^;

P.Hofmannもどことなくやる気がなさそうに聴こえます。Behrensもイゾルデ向きじゃありません。その他の歌手、とくにH.SotinとI.Mintonは見事なものです。


(追記;2006.09.11)
2006.08.31 thursの「ローエングリン」についての文章をご覧になったedc様から、mailをいただきました。その一部を再録します。

---ここから---
バイロイト1982年のローエングリン、国内版のDVDが出ましたが、ドリームライフからの発売なのはほんとに残念でした。レーザーディスクのときから、画質はよくないですから、どうしようもないところもあるでしょうが、外国版のほうが多少よろしいかもしれません。ところで、トリスタンのディスク集のところにも書いていらっしゃいましたが、再び
>このひとはその後ロックに手を出して(声を出して)すっかり喉をつぶしちゃいました。
と、お書きになっていらっしゃるので、これについてちょっと。
この話は、よく目にしますが、50歳そこそこでオペラに出なくなったのは、やっぱりロックのせいというのが「定説」みたいですが。病気について公表されたのをネット上で見つけたころから、1994年(50歳)ごろ明らかな自覚症状が発現し、病院巡りの末、診断がついたということは、1980年代半ばから潜行していたと思われるパーキンソン病が原因ではないかと、私は思っています。

---ここまで---

病気の件ははじめて知りました。ペーター・ホフマンがロックを歌って「喉をつぶした」とは以前雑誌で読んだ情報でした。そのこと自体は事実に相違ないのかもしれませんが、少なくとも同時期かある時期からは(症状の自覚以前から影響があった可能性もあります)別な要因が作用していたことになります。いやはや、情報というものはなんでも鵜呑みにして、それだけで結論付けてはいけないというお手本ですね。おおいに反省させられました(大汗)

ただ、いまさら言い訳するわけではありませんが、仮に喉の酷使で声を痛めたとしても、まったく回復しないのも奇妙な話で、その後どうしているんだろう、クラシックはやめちゃったのかなと思っていたのです。一応断っておくと、Hoffmannは(誰が歌っているのであろうと)ロックを聴きませんが、ロックを歌うことがクラシックの歌手にあるまじき堕落だなどと思っているわけではありません。自分がまるで聴きもしない音楽ですから、それを歌っている歌手を非難するほどの関心も、ハナからないのです。ロック歌手としての生活をして当人が楽しいのならそれはそれで・・・と思っていました。

以下はedc様の2通めのmailから―


---ここから---
1990年代の終わりごろから、うわさはありましたが、2001年でしたか、ネット上に公式ホームページが開設され、間違いない事実とわかりました。
http://www.peterhofmann.com/

P.ホフマンはワーグナー作品の映像、録音で知って、気に入ってしまった歌手ですが、その状況について不可解な印象があったため、かえって好奇心を刺激され、インターネットに接続以来、極力検索をかけて注目してきました。というわけで、わかったことなどを、ホームページにまとめました。

http://www.geocities.jp/euridiceneedsahero/
---ここまで---


もはやオペラの舞台に復帰することはなく、「芸術家としてのキャリアの終了を公式に伝えた」とのこと。痛ましい限りです。詳細はedc様のHomepageをご覧ください。ペーター・ホフマンに関する情報満載です。

edc様、どうもありがとうございました!


(追記・その2)
・・・と、あらためてこのdiscを聴き直してみたんですが、残念ながらあまり印象は変わりませんでした。ここで聴くことのできるP.Hofmannの歌は明らかに気乗りしていない様子です。いずれにしろ、好調時でも残された(正規)録音を聴く限り、さほどの逸材でもなかったなというのが正直な感想です。

P.Hofmannって、ローエングリンとかパルジファルとか、達観しちゃってるような、あまり人間くささのない役の方が似合っているんじゃないでしょうか(たぶん容姿も)。トリスタンとなると、知的な役作りに不満が出てきます(遠慮なく言えば白痴美的で、表現が上っ面、内面というものを感じさせない)。少なくとも人間味あふれるといった役作りのできるひとではありませんでしたね。その点、W.Windgassenがローエングリンやパルジファルよりもトリスタンの方が向いていたのと対照的ですね。




Reginald Goodall, Chorus and Orchestra of Welsh National Opera
Mitchinson, Gray, Wikens, Joll, Howell
Swansea, 11.1980, 01 1981
DECCA D250D 5(LP)


やたら持ち上げるひとがいるけれど、そんなに大騒ぎするような演奏ですかね・・・。



Daniel Barenboim, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Jean-Pierre Ponnelle, Kollo
Bayreuth, 1983
PHILIPS CDV509~11(LD), 00440 073 4321(DVD)


Ponnelleの演出により大評判となった上演の記録です。

演出がすばらしい。舞台も美しく、終幕は衝撃的です。Kolloもここでは絶唱といっていい歌を聴かせ、ブランゲーネ役のH.Schwarzもさすがにベテランの貫禄(決して主役タイプではないものの、このような歌手がBayreuthを支えていると言っても過言ではないでしょう)。惜しいのはイゾルデ役のJ.Mayerが弱いこと。指揮はBarenboimの指揮としてはもっとも出来がいいんじゃないでしょうか。ほかの録音みたいな、重厚というよりダルな演奏・・・といったものではありません。いずれにしろ、この映像があれば一部歌手が弱いのも気にならない。少々のことは許します(^^*


(追記)
もはや知るひとも少ないと思うので、ここに記録しておきます。

Barenboimに限らないんですが、Bayreuth祝祭劇場の音響は特殊なので、指揮者もたいがい1年めは苦労して、2年めには多少慣れてくるみたいですね。Barenboimも“Tristan”でのBayreuthデビュー初年度にくらべて、2年めには見違えるような情熱的な演奏になったとか。この2年め、第一幕が終わったあとの休憩時間中、ロビーでは「Barenboimがキャンセルして、Bernsteinが振っているらしい」なんて噂が流れたそうです。




Jiri Kout, Chor und Orchester der Deutschen Oper Berlin
Goetz Friedrich, Kollo, Jones
Tokyo, 24,29. 9. 1993
PIBC 2001(DVD)


G.Jonesによるイゾルデのひと組くらいはあってもいいと思っていたので、このDVDの登場はよろこばしい、しかしさすがにこの時期になると衰えは隠せません。来日時の舞台ではあまり気にならなかったんですが、繰り返し聴くdiscとなるとやはり気になります。もう少し早い時期に録音してくれていたらと思わないではいられません。演出も悪くはないのですが、G.Friedrichにしては普通、KolloなどBayreuthでのPonnelle演出時に比べて演技が大雑把。



Daniel Barenboim, Chor der Berliner Staatsoper, Berliner Philmarmoniker
Meier, Jerusalem, Lipovsek, Struckmann, Salminen
Berlin, 1994
Teldec 4509-94568-2(CD)




Daniel Barenboim, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Heiner Mueller, Jerusalem, Hoelle, Meier, Struckmann, Elming, Priew
Bayreuth, 3-9 July 1995
DGG 00440 073 4439(DVD)




Zubin Mehta, Bayerische Staatsoperorchester, Chorus of the Bayerische Staatsoper
Peter Konwitschny, West, Meier, Moll, Lipovsek, Weikl
Muenchen, 1999?
image ID0277RADVD(DVD)




Bertrand de Billy, Symphony Orchestra and chorus of the Gran Teatre del Liceu
Alfred Kirchner, Treleaven, Polaski, Halfvarson, Struckmann
Barcelona 15,26 6 2002
OPUS ARTE OA 0935 D(DVD)




Donald Runnicles, BBC Symphoniy Orchestra, Apollo Voices
J.Treleaven, C.Brewer, D.Peckova, B.Daniel, P.Rose, J.Holt
Barbican Hall, London, December 2002 and February 2003
Warner Classics 2564 62964-2(CD)




Leif Segerstam, Royal Swedish opera Male Chorus and Orchestra
Millgram, Forsen, Fassbender Lundberg
Konserthuset, Stockholm, 14th to 19th June 2004
NAXOS 8.660152-54(CD)


L.Segerstamは1944年生まれの作曲家・指揮者。じつは以前から注目しておりまして、SibeliusやBrahmsの交響曲のCDが手もとにありますが、とにかく曖昧さのない、明快な音楽造りをするひとです。あと、ヴァイオリンも奏くようで、Okko Kamuと共演したJ.S.Bachの二台のヴァイオリンのための協奏曲のレコード(BIS)もありました。これも素直ないい演奏なんですが、なんでもこのひと、リハーサルではすさまじい毒舌を吐いていじめるので、オーケストラからは相当嫌われているとか(^^;



Armin Jordan, Orchestre de la Suisse Romande
Olivier Py, Forbis, Reiter, Charbonnet, Dohmen, Fujimura,
Theatre de Geneva, 02/2005
BEL AIR BAC014(DVD)


先頃亡くなったA.Jordanは、Hoffmannもわりあい好きな指揮者で、discも結構聴きました。これ見よがしな作為を感じさせず、それでいて凡庸に堕することのない、(意外や)楚々とした表情の音楽造りは現代ではめずらしいタイプでしたね。ところがdiscとなると、これはレコード会社の商業政策もあってか、取りあげる作品がフランス音楽からハイドンのオラトリオ、シューマンの交響曲にはたまたドヴォルザークと、どうもとらえどころのない印象がありましたね。このWagnerのDVDも、意外な登場でした。



Jiri Belohlavek, London Philharmonic Orchestra, The Glyndebourne Chorus
Nikolaus Lehnhoff, Stemme, Gambill, Karneus, Skovhus, Pape, Gadd
Glyndebourne, 1&6 August 2007
OPUS ARTE OA 0988 D(DVD)




Daniel Barenboim, Orchestra e Coro del Teatro alla Scala
Patrice Chereau, Storey, Meier, Salminen Grochowski, Hartmann, DEYoung
Milano, 7 December 2007
Virgin 51931599(DVD)




Peter Schneider, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Christph Marthaler, Dean Smith, Theorin
Bayreuth, 9.8.2009
OPUS ARTE OA BD 7067(BD)