023 ワーグナー 歌劇「ローエングリン」 ※ 所有しているdiscを録音年順に記載します。




 ”Lohengrin” ※ 新規入手discとコメントは随時追記します。



Artur Bodanzky, Orchestra and Chorus of the Metropolitan Opera
Melchior, Lehmann, List, Schorr, Lawrence, Huehn
New York, 21.12.1935
MEL37049(CD), MYTO 00214(CD)


Fritz Busch, Teatro Colon Chorus and Orchestra
Maison, Hoerner, Lawrence, Destal, Kipnis, Krenn
Buenos Aires, 17.09.1936
Archipal ARPCD 0182-3(CD)


 合唱はスペイン語?


Maurice DeAbravanel, Orchestra and Chorus of the Metropolitan Opera
Flagstad, Maison, Branzell, Huehn, Hofmann, Gabor
New York, March 27, 1937
WHL6(CD)


 Abravanelはギリシア出身のユダヤ系スイス人(ややこしい)。Kurt Weilに師事。戦中パリに亡命後、オーストラリアへ、ここで「ヨーロッパの大指揮者」として歓迎されるんですが、なんと当時(まだ)31歳。1936年にニューヨークへ渡ってMetropolitanでドイツ、フランスのオペラを指揮したひとです。


Erich Leinsdorf, Orchestra and Chorus of the Metropolitan Opera
Rethberg, Melchior, Thorborg, Huehn, List, Warren
New York, January 27. 1940
JGCD 0007-3(CD)


Robert Heger, Staatskapelle Berlin
Hofmann, Voelker, Mueller, Prohaska, Klose, Grossmann
Berlin, 1942
LOH1-4(LP), PREISER 90043(CD)


 「LOH1-4」はAustria盤で青クロス貼りの箱でメーカー名不明。private盤かもしれません。2セット持っています。

 Hegerは私の好きな指揮者です。戦前・戦中から活躍しているドイツの指揮者の主流とも言える、あまりテンポを動かさず様式と楽曲の構築性を重視したタイプで、その演奏は地味ながら、このひとの場合はオーケストラの音色がとりわけ魅力的に響くんですね。それはこのような古い録音でも確認できます。歌手も充実しています。


Erich Leinsdorf, Orchestra and Chorus of the Metropolitan Opera
Varnay, Melchior, Thorborg, Sved, Cordon, Harrell
New York, 2.1.1943
MYTO 3MCD924.66(CD), Sony Classical 88765427172 (25CD)


Fritz Busch, Orchestra and Chorus of the Metropolitan Opera
Melchior, Traubel, Hawkins, Ernster
New York, 1947
CETRA LO24(LP)


 録音劣悪。せっかくの豪華歌手陣ですが、これではいくら想像をたくましくしても・・・。


Fritz Stiedry, Orchestra and Chorus of the Metropolitan Opera
Melchior, Traubel, Varnay, Janssen
New York, 07.01.1950
ARPCD0152-3(CD)


 支配人と衝突したMelchiorのMetropolitan最後の公演だそうです。


Rudolf Kempe, Chor und Orchester der Bayerischen Staatsoper Muenchen
Boehme, Vincent, Schech, Boehm, Klose
Muenchen, 28. 8.1951
URANIA URN 22.200(CD)


Richard Kraus, Sinfonie Orchester und Chor des WDR Koeln
Greindl, Anders, Eipperle, Kronenberg, Braun
Koeln, 15.11.1951
MOVIMENT MUSICA 04.003(LP)


 R.Krausは1902年生まれ、Wagner歌手であったErnst Krausの息子で、戦前から戦後まで、ドイツ各地の歌劇場で活躍したひと。もっともこの箱から察するところ、ローエングリンを歌っているPeter Andersに焦点を合わせたLP化であったようです。


Eugen Jochum, Chor und Symphonie-Orchester des Bayerischen Rundfunks
von Rohr, Fehenberger, Kupper, Franz, Braun
Muenchen, 15. bis 22.Dezember 1952
DG LPM18084/88AK(LP), PREISER 90603(CD)


Fritz Stiedry, Orchestra and Chorus of the Metropolitan Opera
Sullivan, Steber, Bjoerling, Harshaw, Ernster
New York, April 11,1953
Gala GL100.640(CD)


Joseph Keilberth, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Windgassen, Steber, Varnay, Uhde
Bayreuth, 1953
LONDON RS65003(LP)


 これはDECCAによる正規録音です。


Wilhelm Schuechter, Male Chorus of the Nordwestdeutschen Rundfunks, Cologne
Frick, Schock, Cunitz, Metternich, Klose, Guenter
1953
LHMV800(LP)


 Schuechterは1911年生まれのドイツの指揮者、1940年にはアーヘンの歌劇場を去るKarajanに、後継者に指名されたひと。1959~60年にはNHK交響楽団の芸術監督を務め、日本のオールドファンには馴染みのある名前でしょう。

 どうにも主役級の歌手が冴えなくて魅力に乏しいdiscです。


Eugen Jochum, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Windgassen, Nilsson, Adam, Uhde, Varnay, F-Dieskau
Bayreuth, 1954
REPLICA RPL2489/92(LP), Cetra LO77(LP), GM1.0031(CD), Sony Classical 88985392322(31CD)


 REPLICA盤によれば1958年7月23日の公演。Sony Classocal盤は8月5日とある。

 1950年代の、Bayreuthにおける歌手の世代交代の兆しをみることができるキャスティング。いまにして思えば、数あるBayreuthの記録のなかでも、歌手陣の顔ぶれはとりわけて豪華なんですが・・・。

 歌手はオルトルートのVarnayがずば抜けてすぐれていますね。ほかはみんな若々しくて、Bayreuth初出演のNilssonがエルザ向きの声かも・・・Windgassenは人間くさくて、もう少し聖性というか、神秘性が感じられたらと思います。ところがこのCD、めったに取り出して聴くこともない、全体に魅力に乏しいんですね。E.Jochumの指揮が・・・悪いところなんかないんですが、どうも華がない。Bayreuthの“Lohengrin”の記録といえば、KeilberthやらCluytensやらといった、かなり個性豊かな指揮者が目白押しですからね。手堅いばかりでは印象に残りにくいんですよ。


Andre Cluytens, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Konya, Rysanek, Engen, Blanc, Varnay, Waechter
Bayreuth, 23.7.1958
MYTO 3MCD890.02(CD), GM1.0076(CD), REPLICA RPL2488/92(LP)


Lovro von Matacici, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Konya, Gruemmer, Crass, Blanc, Gorr, Waechter
Bayreuth, 1959
GM1.0002(CD), ORFEO C 691 063 D(CD)


 Mataciciといえば、晩年NHK交響楽団にもたびたび客演した指揮者ですね。同オーケストラとのLive録音はいくつかCD化されていて、一部のファンからは途方もない賛辞が寄せられているようですが・・・。


Thomas Schippers, Orchestra and Chorus of the Metropolitan Opera
Della casa, Sullovan, Harshaw, Cassel, Edelmann, Sereni
New York, 31,1,1959
WLCD 0263(CD)


Lorin Maazel, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Windgassen, Nordmo-Loevberg, Adam, Neidlinger, Varnay
Bayreuth, 1960
MEL601(LP), GM1.0072(CD)


 Maazelが30歳でBayreuthに登場した年の録音。

 リハーサルに際して、MaazelがBayreuthのオーケストラを前に「こんなにすばらしいオーケストラを振ることができてうれしい、お世辞ではなくてほんとうにそう思ってます」と言っている映像が残されているんですが、いや、そんな挨拶をしたからといって、若き日既に徹底されていた音楽造りはここでも変わりません。これだけ細部に至るまで細かい表情付けをしている演奏もめずらしいんじゃないでしょうか。リハーサルではかなり注文を付けたか・・・もっともバトンテクニックに秀でたひとなので、棒だけで表情を付けてしまうのでしょうか。ただ、そのあまりにちょっと神経質な音楽になってしまうという、後のMaazelの特徴が、ここでも感じられます。基本的に流麗といった印象ですが、個人的にはKarajanなどより余程納得できる演奏だと思います。歌手はとくにNordmo-Loevberg、Neidlinger、Varnayがいいですね。


Wolfgang Sawallisch, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Crass, Thomas, Silja, Vinay, Varnay
Bayreuyth, 1962
PHILIPS S6747 241(LP),PHILIPS 446 337-2(CD), PHILIPS 6723 001(LP)


 「6747 243」はいわゆる「Wagner大全集」のセット、こちらはブルーグレーレーベル銀文字。レコード番号は「6598 078/081」。

 PHILIPSによる正規録音です。録音は高域上がりのバランスで、音質に関しては同じ1962年のSawallisch、BayreuthのPHILIPS正規録音である“Tannhaeuser”の方がいいですね。歌手は主役級を若手が熱演して脇をベテランが固めており、穴のない、高レベルの出来です。J.ThomasもA.Siljaも若々しさで聴かせるほか、往年のヘルデンテナーであるR.Vinayがテルラムント役のバリトンで出演して、なかなか立派な歌を聴かせてくれます。


Rudolf Kempe, Vinna Philharmonic Orchestra, Vinna State Opera Chorus
Thomas, Gruemmer, F-Dieskau, Ludwig, Frick, Wiener
Wien, 1962~63
EMI SLS5071(LP), HMV SAN121-5(LP), EAC77186~90(LP)


 R.Kempeは1950年代から’60年代はじめの頃が最盛期だったのではないでしょうか。

 live録音のような熱気は感じられないんですが、オーケストラはたいへん美しい。指揮がちょっとあっさりした感じなのは、フレージングであまり粘らず、大見得を切ったりしないからでしょう。だから、ややもすると旋律の終わりのところが素っ気なく聴こえるときがあるんですが、これが清潔感というか、上品な印象につながっているんじゃないでしょうか。こいいった演奏って、オーケストラが一流でないと生きてこないのではないでしょうか。Kempeもこの時代、ウィーン・フィルやベルリン・フォルとElectorolaに録音していた頃がいちばんいいのは、そのへんに理由があるのかもしれません。歌手も総じてすばらしく、なかでもC.Ludwigのオルトルートは見事です。


Hans Knappertsbusch, Chor der Bayerischen Staatsoper, Bayerisches Staatsorchester
K.Boehme, H.Hopf, I.Bjoner, H.G.Noecker, A.Varnay, J.Metternich
Muenchen, 2.9.1963
ORFEO C 900 153 D(CD)


Joseph Rosenstock, Orchestra and Chorus of the Metropolitan Opera
S,Konya, R.Crespin, W.Cassel, N.Rankin, E.Wiemann, W.Stanz
New York, 1 February 1964
Gala GL100.656(CD)


 このdiscはかなり以前からshopの店頭で見かけていたものの、なかなか手を出さなかったんですね。というのは、ケース裏面に、1964年の上記録音のほか、1967年のBoehm、Metropolitan、1968年の同じくBoehm、Metropolitanなどのdataが印刷されていて、てっきりKonyaが主演した“Lohengrin”のハイライト集だと思っていたから。ところがこれ、Rosenstockによる1964年の全曲録音のほかに、Boehmによる公演の一部が収録されているものでした。


Erich Leinsdorf, Boston Symphony Orchestra, Boston Chorus Pro Musica
Hines, Konya, Amara, Dooley, Gorr
Boston, 23~28.8.1965
PVL5-9046(LP), BMG 74321 50164 2(CD)


 めったに話題になることもないdiscです。ボストン交響楽団のオペラ全曲録音というのはめずらしいですね。Leinsdorfといえば戦前の一時期には、若くしてメトロポリタン歌劇場でのWagner上演を任されたほどの指揮者です。当時の実況録音は現在では様々なレーベルでCD化されていますが、どれも気迫のこもった「熱い」演奏です。この指揮者のその後の歩みを見ると、オペラからはすっかり退いてしまって、オーケストラのトレーナーとしては超一流ながら、その音楽は効果造りを廃した中庸を行くタイプとなって、よく言えば通好み、悪く言えばあまりスリリングな演奏をするタイプではなくなってしまったんですね。

 私はLeinsdolfの実演を聴いたことがありますが、熱狂的な演奏ではなく、コーフンするようなこともなかったものの、とにかくうまいもんだなあと思いました。それと、耳がいいんでしょうね。プログラムの最初が交響曲だったとき、第1楽章が終わったら、オーケストラになにか言って、チューニングをやり直させていました・・・それでもまだ納得しないで、チェロのトップ奏者の楽器を後列の奏者の楽器と交換させていたのをおぼえています。また一度は・・・プログラムが凝っていて、ヴェーベルンの「パッサカリア」、モーツァルトの交響曲第41番、ブラームスの交響曲第4番・・・と、モーツァルトとブラームスはいずれも終楽章が・・・。

 ここでの演奏も、若き日の情熱的なスタイルとは一線を画するものです。しかしながらドラマティックな表現にも不足はなく、なによりオペラ慣れしていないはずのボストン交響楽団がみごとなWagner演奏を聴かせてくれるのは、これは指揮者のすぐれたリード故でしょう。歌手はKonya、Gorr、Hinesあたりの一流どころがまずまずの出来。ただ、個人的にはR.Gorrって、うまいんだかへたなんだかわからない歌手ですね。


Karl Boehm, Chor und Orchester der Wiener Staatsoper
Watson, Thomas, Talvela, Ludwig, Berry, Waechter
Wien, 16.5.1965
GM1.0045(CD), ORFEO C 862 133 D(CD)


Rudolf Kempe, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Konya, Harper, Ridderbusch, McIntyre, Hoffman, Tipton
Bayreuth, 1967
GM1.0035(CD)


 Kempeの、こちらはBayreuth実況録音。この年のLohengrinはもともとKonyaが全公演を歌う予定だったところ、病気のため初日しか歌えず、Konyaのほか、King、Cox、Esser、Thomasの計5人が交代で歌ったそうです。

 1967年といえば、前年10月にWielandが死去してBayreuthがWolfgangひとりの手に委ねられた年であり、また4月には我が国の大阪国際フェスティヴァルに引っ越し公演を行った年でもありますね。


Rudolf Kempe, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
King, Harper, Ridderbusch, McIntyre, Hoffman, Tipton
Bayreuth, 30.Juli 1967
ORFEO C 850 113D(CD)


 上記と同年のlive録音。ORFEO正規盤でstereo。こちらはKingが歌っています。


Alberto Erede, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
King, Harper, Ridderbusch, McIntyre, Dvorakova, Stewart
Bayreuth, 26.7. 1968
GM1.0063(CD)


 A.Eredeは1908年生まれのイタリアの指揮者。ライン・ドイツ・オペラの総監督も務めたことがあるのでイタリアもの専門というわけではないのでしょうけれど・・・。

 いやはや、指揮者によって音楽はこうも変わるものなんですね・・・歌い回しがイタリア・オペラです。Bayreuth常連の歌手たちも、ちゃんとドイツ語で歌っているのにイタリアもののように聴こえる。はっきり言って、これ、発売しなくてもよかったのでは?


Hans Swarowsky, Chor der Wiener Staatsoper, Grosses Symphonieorchester
von Rohr, Schachtschneider, Kirschstein, Imdahl, Hesse
1968
WELTBILD CLASSICS 703835(CD)


 SwarowskyはAbbadoやMehtaなどの指揮者を育てた教育者として名高いひとですね。

 明快といえば聞こえはいいのですが、オーケストラにも歌手にもこれといって特徴のない演奏です。とくにオーケストラが弱く、ソロには表情らしい表情がないんですね。正直なところ、全曲聴き通すのが苦痛です。


Rafael Kubelik, Chor und Symphonie-Orchester der Bayerischen Rundfunks
King, Janowitz, Stewart, Jones
Muenchen, 1971
DG 2713 005(LP)


 スタジオ録音としては、Kempe盤とともにオーケストラの響きの美しいことにかけては代表格。

 ちょっとstaticな印象も・・・KubelikのLive録音があったら、ぜひ聴いてみたいですね


Theodor Gschlbauer, Orcheatre Symphonique du Rhin-Muelhouse, Choeur de l'Opera du Rhin
Siukola, Brunner, Wlaschihia, Denize, Kang, Le Hemonet
Muelhouse, October 26, 1985
Gala GL100.623(CD)


 高域上がりのバランスでキンキンと刺激的、聴いていて疲れます。指揮は冴えない。


Herbert von Karajan, Berlin Philharmoniker
Kollo, Tomoea-Sintow, Ridderbusch, Vejzovic
1975,1976,1981
Electrola 1C165-43 200/04(LP)


 もともとザルツブルク音楽祭での上演前に録音が計画されたんですが、KarajanとKolloの意見が対立して中断してしまったもの。Kolloは1976年の公演では初日だけ歌って役を下りてしまいました。その後和解して、1981年に残りの部分を録音して完成。KolloはKarajanともめた直後の記者会見で「現在ローエングリンを歌える歌手は5人あまりに過ぎないが、これを指揮する者は5,000人いる」とほざいた言ったとか・・・。

 いずれにせよ、少なくともこのレコードでは、KarajanもKolloもたいしたことはありません。Karajanらしく、しまりなく垂れ流し状態のオーケストラの響きが印象的(なんとかならんかね)。録音も、国内プレスであることを割り引いても、歪みっぽいうえにかなり高域強調気味でキンキンしてます。ラジカセ向きの音造り?

 ・・・と、以上は国内盤で聴いた時のメモから。その後、独プレス盤を入手して聴きましたが、とくに変更することも付け加えることもありません。


Woldemar Nelsson, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Goetz Friedrich
P.Hofmann, S.Vogel, K.Armstrong, E.Connell, L.Roar, B.Weikl
Bayreuth, 1982
CBS 79503(LP), DREAMLIFE DLVC 1173(DVD)


 G.Friedrichの演出が評判になった上演。初年度はEdo de Waartが指揮しており、FM放送で聴いた記憶があるんですが、たいへん美しい演奏でした。ところが1年だけで降りてしまって指揮者は交代・・・。なお、このDVDの画質は良くありません。

 舞台も美しく、ローエングリン役のP.Hofmannも容姿・声ともに役柄によく似合っており、この世のものならぬ聖性が感じられます。歌そのものは必ずしも・・・なんですが、女性ファンが多いのも納得。やっぱりオトコは顔よねっ!(笑)容姿といえば、エルザ役のK.Armstrongも演技と容姿で起用されたものでしょう(G.Friedrichの夫人でもありますが)。ただ、演技と容姿は一応(笑)褒めておきますけれど、歌はまるでダメ―このひとホントに歌手なのかと言いたいくらい、問題外の外、史上最低のエルザ。音だけ聴く限り、この歌手がひとりでこの公演を台無しにしてしまっています。悪役二人組のL.RoarとE.Connelも音だけ聴くとちょっと線が細い。でも映像付きだと気にならないんですね。Nelssonの指揮によるオーケストラの響きは太めの線で堂々としているんですが、響きに芯がない、終始ユルフンといった印象(笑)もうちょっと手綱を引き締めて欲しいところです。


画質が良くないのが残念です。


Sir Georg Solti, Wiener Philharmoniker, Konzertvereinigung Wiener Staatsopernchor
P.Domingo, J.Norman, E.Randova, S.Nimsgern, H.Sotin, D.F-Dieskau
Wien, 11-12/1985, 6/1986
DECCA 6.35759GK(LP)


 DMM盤、独プレスと思われます。


Peter Schneider, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Stage by Werner Herzog
Schenk, Frey, Studer, Wlaschiha, Schnaut
Bayreuth, 6.26.~7.1. 1990
PHILIPS PHCP5056~9(CD), Universal 00440 073 4404(DVD)


 映画監督Werner Herzogの演出による公演の録音。かつてLDでも出ていましたね。

 タイトルロールのP.Frey、いまにして思えばこのあたりがリリックなローエングリンの先駆け? とはいえ、なんとも小粒で・・・数々の名演の記録(disc)に混じっては、これといってアピールするものがありません。良くも悪くも現代的なWagner演奏、スケールも小さすぎるんじゃないでしょうか。


カスパル・ダヴィッド・フリードリヒの絵を思わせるような舞台はなかなか美しいですね。


Claudio Abbado, Wiener Philharmoniker
Moll, K., Jerusalem, S., Studer, C., Welker, H., Meier, W., Schmidt, A., Nikolov, B., Kasemann, F., Otelli, C.
Wien, 11.1991, 5.6.1992
Deutsche Grammophon: 437 808-2 (3CD)


 重量感よりも反応の速い軽快感を志向したAbbadoの指揮の下、女性歌手たちは概ね健闘しており、とりわけドラマティックな力感と濃やかな表現力をそなえたMeierのオルトルート、透明感のあるエルザを演ずるStuderの歌唱が見事です。それにくらべると、男声陣は暗く元気のない歌いっぷりのJerusalemのローエングリン(シェルデ河畔まで嫌々やって来たみたいだ、と言った人がいます・笑)、流し気味のMollのハインリヒ、なんとも小悪人的で存在感のないWelkerのテルラムントなど、総じて弱体。


Sir Colin Davis, Chor und Symphonie-orchester des Bayerischen Rundfunks
Rootering, J.-H., Heppner, B., Sweet, S., Leiferkus, S., Marton, E., Terfel B.
Muenchen, 5.14.~28.1994
RCA: 09026-62646-2 (3CD)


 C.Davisの指揮は緩急・強弱の振幅が必要以上に大きく取られているほか、旋律の終わりでフェルマータをかけたように長く尾を引いて演奏させる傾向があり、かえって旋律はブツ切れ、テンポは不自然になって、ワーグナーの息の長い旋律のうねりがまったく再現されていません。歌手も軍令使のTerfelを除くと概ね不出来。Heppnerのローエングリンは、聖性にも力強さにも欠けており、エルザのSweet、オルトルートのMartonは力みがちで荒っぽく、ハインリヒ王のRooteringは、いたるところで妙に旋律を引きのばして大見得を切っているのがほとんど滑稽です。立派なのは合唱団だけですね。


Daniel Barenboim, Chor der Deutschen Staatsoper Berlin, Staatskapelle Berlin
Seiffert, Magee, Polaski, Struckmann, Pape, Trekel
Berlin, 1998?
Teldec 3984-21484-2(CD)


 BarenboimによるWagner作品の録音のなかでは比較的「まし」な演奏、意外にもダルな印象はなく、推進力を感じさせます。弦楽器、とくに低い方がノリのいい演奏をしているみたいです。

 なんともリリックな声のSeiffert、英雄的というよりも正義感あふれるフツーの若者。もはや(本来?)ローエングリン役はヘルデン・テノールのものではない? 


Kent Nagano, Deutsches Symphonie-Orchester Berlin, Chorus of the Opera national Lyon
Stage Director Nikolaus Lehnhoff,
Vogt, Kringelborn, Koenig, Meier, Fox
Baden-Baden, 2006
OPUS ARTE OA0964D (DVD)


Sebastian Weigle, Orquestra Simfonica del Gran Teatre del Liceu, Cor del Gran Teatre del Liceu
Directed for Stage by Peter Konwitschny
R.Hagen, J.Treleaven, E.Magee, H-J.Ketelsen, L.DeVol, R.Bork
Barcelona, 24 &27 July 2006
Euro Arts 2056008(DVD)


Jaap van Zweden, Radio Filharmonisch Orkest Groot Omroepkoor
K.F.Vogt, A.Schwanewilms, E.W.Schulte, M.Cornetti, R.Johansen
Amsterdam, 2 februari 2008
Quattro Live(CD)


 演奏会形式のlive録音。DVD付き。一発勝負故の些細な瑕よりも、緊張感が長所として上回る熱演。見事な充実ぶり。


Semyon Bychkov, Prague Chamber Choir, NDR Choir, WDR Radio Choir, WDR Symphony Orchestra Cologne
K.Youn, J.Botha, A.Pieczonka, F.Struckmann, P.Lang, E.W.Schulte
Koeln, 30.05.-14.06.2008
Profil 13040(LP), Profil PH09004(SACD)


Kent Nagano, Bayreisches Staatorchester
Stage Direction by Richrd Jones
Kaufmann, Harteros, Koch, Schuster, Fischesser, Nikitin
munich, July 2009
Universal 074 3387(DVD)

 演奏はひたすら美しいものです。


Andris Nelsons, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Director Hans Neuenfels
Vogt, Dasch, Rasilainen, Lang, Youn
Bayreuth, 14.8.2011
OPUS ARTE OA BD7103 D(BD)



Marek Janowski, Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin, Rundfunkchor Berlin
Vogt, Dasch, Groissboeck, Grochowski, Resmark, Brueck
Berlin, November 12, 2011
PentaTone PTC 5186 403(SACD)


Bertrand de Billy, Frankfurter Opern- und Museumorchester, Chor der Oper Frankfurt
F.Struckmann, M.Koenig, C.Nylund, R.Hayward, M.Schuster, D.Schmutzhard
Frankfurt, 3-4.2013
OEHMS OC 946(CD)


Sir Mark Elder, Netherlands Radio Choir, Chorus of the Dutch National Opera, Royal Concertgebouw Orchestra Amsteerdam
F.Struckmann, K.F.Vogt, C.Nylund, E.Nikitin, K.Dalayman, S.Youn
Amsterdam, 28 and 20 December 2015
RCO17002(SACD)


Christian Thielemann, Saechsischer Staatsopernchor Dresden, Staatskapelle Dresden
After the original production by Christiene Mielitz premiered 1983
G.Zeppenfeld, P.Beczala, A.Netrebko, T.Konieczny, E.Herlitzius
Dresden, 5/2016
DG 00440 073 5322(BD)


Christian Thielemann, Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Stage by Yuval Sharon
G.Zeppenfeld, P.Beczala, A.Harteros, T.Konieczny, W.Meier, E.Silins
Bayreuth, 2018
DG 00440 073 5621(BD)


Cornelius Meister, Staatsopernchor, Staatsorchester Stuttgart
Stage Direction Arpad Schilling
G.Juric, M.Koenig, S.Scgneider, M.Gantner, O.von der Damerau
Stuttgart, 10/2018
BelAir BAC475(BD)





(抜粋盤など)


Erich Kleiber, Det Kongelige Operakor, det Kongelige Kapel
E.Sjoegerg, D.Karsen, E.noerby, H.Byrding, L.W.Hansen
The Danish Royal Opera, 22.02.1953
CAKSSICO CLASSCD5011-12(CD)

 前奏曲、第1幕第2場・第3場、第2幕第1場・第2場、第3幕。



(Hoffmann)