042 モーツアルト 歌劇「フィガロの結婚」 ※ 所有しているdiscを録音年順に記載します。




 ”Le nozze di Figaro”
 ※ 新規入手discとコメントは随時追記します。



F・ブッシュ指揮 グラインドボーン音楽祭管弦楽団、同合唱団
ヘンダーソン、ラウタヴァーラ、ミルドメイ、ドームグラフ=ファスベンダー、ヘルツグルーバー
1934-35

WARNER 0190295801748(9CD)

 セッコは省略。


ワルター指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
スタービレ、ライタヴァーラ、レティ、ピンツァ、ノヴォトナ、
1937.live
EKR CD43(3CD)


  ザルツブルク音楽祭live。


パニッツァ指揮 メトロポリタン歌劇場管弦楽団、同合唱団
ブラウンリー、レートベルク、サヤン、ピンツァ、ノヴォトナ
1940.12.7.live
RCA MET-1(3LP)、MUSIC&ARTS CD・646(3CD)

 RCA盤は〈SORIA SERIES〉。


C・クラウス指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
ホッター、ブラウン、バイルケ、クンツ、ゾンマーシュー
19428.live
PREISER 90203(3CD)

 ドイツ語歌唱。ザルツブルク音楽祭live。
 すばらしい!



ワルター指揮 メトロポリタン歌劇場管弦楽団、同合唱団
ブラウンリー、スティーバー、サヤン、ピンツァ、ノヴォトナ
1944.1.29.live
KING International EPITA035/7(3CD)


フリッチャイ指揮 ケルン放送交響楽団、同合唱団
グリュンマー、シェフラー、ギューデン、クンツ、シュレム
1951.5.
WALHALL WLCD0030(2CD)

 ドイツ語歌唱。
 ”Chor und Orcgester des Westdeutschen Rundfunks”と表記されているが、ケルン放送交響楽団のこと。



カラヤン指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
ロンドン、シュワルツコップ、ゼーフリート、クンツ、ユリナッチ
1952(1950?)
Electrola 1C147-01751/53(3LP)

 録音年は1952年、1950年という資料もあり。
 速めのテンポ設定はウィーンの伝統的スタイルに対するアンチテーゼなのか・・・としても、歌手は歌に表情を付けきれない様子で、オペラの指揮としては×。レチタティーヴォを省略しているのは当時としてはわりあい普通のことなのかもしれないが、この演奏だと、それも象徴的と感じられる。



ライナー指揮 メトロポリタン歌劇場管弦楽団、同合唱団
ヴァルデンゴ、ロス・アンヘレス、コンナー、シェピ、ミラー
1952.live
AS disc AS1108/9(2CD)


フルトヴェングラー指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
シェフラー、シュワルツコップ、ゼーフリート、クンツ、ギューデン
1953.8.7.live
日本コロムビア OP-7536~8-BS(3LP)、EMI 7243 5 66080 2 3(3CD)

 ザルツブルク音楽祭live。ドイツ語歌唱。


ベーム指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
シェフラー、デラ・カーザ、ゼーフリート、クンツ、ユリナッチ
1954.9.13.live
ica ICAC5147(2CD)

 ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァルホールでのlive。


E・クライバー指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
ペル、デラ・カーザ、ギューデン、シェピ、ダンコ
1955
DECCA LXT5088~LXT5091(4LPバラ)、LONDON OSA1402(4LP)

 DECCA盤は4LPバラ、英プレスのmono盤。米LONDON盤は英プレスのstereo盤。
 おそらく当時のウィーン伝統的なスタイル。かつてLP時代、現在のように過去のlive録音のCDなどがなかったころは、ウィーンにおけるオペラの黄金時代の記録を愉しみたければ、定番とされていたもの。いまでもその価値は失われていない。



グイ指揮 グラインドボーン音楽祭管弦楽団、同合唱団
カラブレーゼ、ユリナッチ、シュッティ、ブルスカンティーニ、スティーヴンス
1955
EMI EX29 00173(3LP)


ロスバウト指揮 パリ音楽院管弦楽団、エクサンプロヴァンス音楽祭合唱団
レーフエウ、シュティッヒ=ランダル、シュトライヒ、パネライ、ローレンガー
1955.live
Pathe DTX 260/208(3LP)、EMI 7 64376 2(2CD)


 エクサン・プロヴァンス音楽祭live。セッコの伴奏はピアノ。


ベーム指揮 ウィーン交響楽団、ウィーン国立歌劇場合唱団
シェフラー、ユリナッチ、シュトライヒ、ベリー、ルートヴィヒ
1956
PHILIPS GL.5777~5779(3LPバラ)


ベーム指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
F=ディースカウ、シュワルツコップ、ゼーフリート、クンツ、ルートヴィヒ
1957.7.30.live
MELODRAM MEL709(3LP)、PRFEO C296 923(3CD)


ジュリーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団、同合唱団
ヴェヒター、シュワルツコップ、モッフォ、タディ、コソット
1959
EMI SLS5152(3LP)、英Columbia 33CX1732-1735(4LP)

 英Columbia盤はmono盤。
 タディがやりたい放題で悪ノリ気味なのがまとまりを欠いている印象ながら、ジュリーニがひたすら真面目なので、少しくらいハメを外した歌手がいてちょうど良かったのかも。mono盤の音質はすばらしい。



ラインスドルフ指揮 メトロポリタン歌劇場管弦楽団、同合唱団
ボルイ、デラ・カーザ、シェピ、ゼーダーシュトレーム、ミラー
1960.1.23.live
Walhall WLCD0298(2CD)


ラインスドルフ指揮 メトロポリタン歌劇場管弦楽団、同合唱団
ボルイ、アマーラ、シェピ、ピータース、ミラー
1961.1.28.live
SONY CLASSICAL 88697 85310 2(3CD)


ジュリーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団、同合唱団
ブランク、シュワルツコップ、ゼーダーシュトレーム、コレナ、ベルガンサ
1961.2.6.live
Walhall WLCD0339(2CD)、ica ICAC5157(2CD)

 ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァルホールでのlive。
上記1959年のセッション録音を受けての公演か。
 ジュリーニの指揮は1959年録音ではやや真面目すぎるかと思われたが、ここではlive録音であるためか、抑揚が大きくなって、より躍動感が感じられる。



フリッチャイ指揮 ベルリン放送交響楽団、RIAS室内合唱団
F=ディースカウ、シュターダー、ゼーフリート、カペッキ、テッパー
1961
DG SLPM138 697/99(3LP)

 stereo録音。


ベーム指揮 ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団、同合唱団
F=ディースカウ、グリュンマー、ケート、ベリー、マティス
1963.10.23.live
キング KKC2505/7(3CD)、PONTO PO-1025(3CD)


 日生劇場杮落とし来日公演のlive。


スウィトナー指揮 ドレスデン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
F=ディースカウ、ヤノヴィッツ、マティス、プライ、トロヤノス
1964
Electrola 1C 183-30159/61(3LP)、ETERNA 825498-500(3LP)


 ドイツ語歌唱。
 歌手はプライ、ギューデン、ローテンベルガー、ベリー、マティス、ブルマイスター、シュライアーらと超豪華。我が国では国内盤が出ていたという記憶はないが、輸入盤のshopではよく見かけた、つまりLP時代から有名なレコード。
 「フィガロの結婚」といえば、1960年ごろまではドイツ語圏ではドイツ語で歌われることがふつうだった模様。フルトヴェングラーによる1953年ザルツブルク音楽祭のlive録音もドイツ語歌唱だった。「リンリン」、「ドンドン」がドイツ語だと「ディンディン」、「ウシウシ」とくる(笑)異論はあろうかと思うが、聴き慣れているその「慣れ」をあえてご破算にしてみれば、この作品でのモーツァルトの音楽はドイツ語のほうが自然と聴こえる。
 歌手はヒルデ・ギューデンのみがやや古いスタイル、そのほかの歌手はいずれも若々しくて、数ある「フィガロの結婚」の全曲録音のなかでもトップの座を争うもの。指揮はスポーティといいたいような速めのテンポと洗練されたものながら、基本的に典雅な「フィガロの結婚」となっているあたり、やはり1960年代という時代か。ちょっと小造りにまとまってしまったような印象も。それだけに多くのひとがこの作品に期待するようなスタイルであり、安心して聴くことのできる好演。スウィトナーはこのドレスデン時代が最盛期だったのではないか。ベルリン国立歌劇場へ行ってから後、1970年代を過ぎたあたりから、だんだんルーチン・ワークと聴こえてくる。ちなみに日本でのみ評価が高いと言われるベートーヴェンの交響曲全集のセッションを見学したひとから聞いた話だが、リハーサルでもいちばん熱心なのはプロデューサーで、これがオーケストラの奏者たちにソロの練習を何度も繰り返させている間、スウィトナーはずっとほかの奏者とおしゃべりしていて、まるで遊んでいるように見えたとのこと。

 どうも指揮者も、ひとつのオーケストラとあまりに長くコンビを組んでいると、演奏の質が落ちてくる傾向があって、レニングラードにしてもシカゴ、ボストンにしても同様だったのではないか。とりわけ(国家によって身分を保証されていた)東独のような旧共産圏ではそうした例が多かったのではないかと思います(マズア、ライプツィヒとか)。現代のサラリーマンにしても、転勤だの配置換えだので四苦八苦しているひとは、やはり鍛えられているのか、しっかりしたのが多くて(私自身を除く)、役所とか地方公共団体系の職員の質の低さというのは、こうしたところにも原因があるのかもしれない。いや、民間だって同じこと。愚かなトップが周囲にイエスマンばかりを集める、という現象だけでは説明がつかない例があって、これは上層部のおぼえがいい、手許に置かれることによって結果的に長期にわたって同じ仕事ばかりしていると、よほど自分を律することのできるひとでないと、日々ルーチン・ワークを繰り返すだけの平凡な組織人に堕してしまう、という現象なんじゃないでしょうか。


ベーム指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
ヴィクセル、ワトソン、グリスト、ベリー、マティス
1966.live
ARTHAUS 107 057(2DVD)


 ザルツブルク音楽祭live。


ベーム指揮 ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団、同合唱団
F=ディースカウ、ヤノヴィッツ、マティス、プライ、トロヤノス
1967
DG 104 962/65(4LP)


クレンペラー指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団、J・オールディス合唱団
バキエ、ゼーダーシュトレーム、グリスト、エヴァンス、ベルガンサ
1970
Electrola 1C157-02 134/137(4LP)

 〈ANGEL SERIES〉表記あり。
 ここでは当然イタリア語で歌われているものの、この演奏を聴くと、音楽はドイツのものだと思える。その意味では、クレンペラーの代表盤に数えあげられることの多い「魔笛」よりも、むしろこの「フィガロの結婚」のほうがクレンペラーらしいとも言えるかもしれない。歌手はグリスト、ベルガンサが印象的。端役で、二人の少女のうちのひとりを無名時代のキリ・テ・カナワが歌っている。



カラヤン指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
クラウゼ、ハーウッド、フレーニ、ファン・ダム、フォン・シュターデ
1974


バレンボイム指揮 イギリス室内管弦楽団、J・オールディス合唱団
F=ディースカウ、ハーパー、ブレゲン、エヴァンス、ベルガンサ
1976
Electrola 2C165-02856/9(4LP)


ベーム指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
ヴァイクル、ヤノヴィッツ、ポップ、プライ、バルツァ
1980.9.30live
NHK NSDS-9492(2DVD)
、ECLOGUE ECL1-100-3(3CD)

 1980年9月30日のウィーン国立歌劇場来日公演初日、東京文化会館におけるlive収録。
 ジャン=ピエール・ポネル演出のプロダクション。このとき、私もこの会場にいたんですよ。音だけは先にECLOGUE盤CDが出ていたんですが、その後NHKが放送したテープをDVD化。ちょっと値段が高いのがNHKのガメツイところ。序曲演奏中のテロップも、字幕も消すことができないが、それでもこの貴重な映像が観られるのはすばらしい。思い出は多少美化されている可能性があるとはいえ、以後、私がこれ以上の「フィガロの結婚」の上演に接することはあり得ないと断言できます。


  


ショルティ指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン・オペラ合唱団
アレン、テ・カナワ、ポップ、ラミー、フォン・シュターデ
1981
DECCA D267D 4(4LP)


ムーティ指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団
ヒュンニネン、M・プライス、バトル、アレン、マレー
1986
EMI EX157 27 05763(3LP)、7479788(3CD)


 LPはDMM盤。
 セッコの伴奏はハンマーフリューゲル。


ハイティンク指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、グラインドボーン音楽祭合唱団
スティルウェル、ロット、ロランディ、デズデリ、エシャム
1987
EMI 7497532(3CD)


J-C・マルゴワール指揮 王宮大厩舎・王宮付楽団
リヴァンク、ボルスト、マラン=ドゥゴール、クラセンス、ポルヴェレッリ
1996
naïve E8904(8CD)

 オーケストラはなかなか表現意欲に満ちた演奏を繰りひろげており、あくまで美しい響きを保ちながらも、要所要所の金管及び打楽器のアクセントは強め。歌手に関しては、ほとんど類例がないほどに、細やかなニュアンスを大切にした歌唱で、ルーチンワークとはまったく無縁と聴こえる。ちょっとしたパッセージにこめられた意図に耳を傾けていると、これはじつに新鮮でおもしろい。メジャーな歌劇場で国際的に名の売れた大歌手が歌っているdiscからは到底聴くことができそうにもない、知的かつ丁寧な歌唱。


クイケン指揮 ラ・プティット・バンド、ナミュール室内合唱団
クレセンス、ビッチーレ、エルツェ、ヴァン・メヘレン、グローブ
1998.6.5.live
ACCENT ACC24269(9CD)


カンブルラン指揮 パリ・オペラ座管弦楽団、同合唱団
マッティ、エルツェ、H・G・マーフィ、レガッツォ、シェーファー
2006
OPUS ARTE OA 0960 D(2DVD)

 クリストフ・マルターラー演出。