119 フルトヴェングラーのレコード その5 帝国放送局、RIAS録音選集、TAHRAのLPセット フルトヴェングラーにさほどの思い入れのない私ですが、それでもレコードとなるとやはり聴いてみたくなるもの。時には大枚はたいて新たに出たセットものも入手するんですが・・・あんまり聴かない(笑)箱が重くて取り出すのが面倒、何枚目のどちらの面になにが収録されているのか、それもフルトヴェングラーの場合だと作品だけではなく、何年何月何日の録音か、ということまで確認しなければなりません。そうなると、もう面倒くさくなって、取り出しやすい、確認しやすい1枚ものを引っ張り出してしまうんですね。でもそれではもったいないから、こうして収録内容をupしておいて、レコードを聴きながらでも、確認できるようにしておこうという魂胆です。 「フルトヴェングラー 帝国放送局(RRG)アーカイヴ 1939-45 [8LP+DVD+BOOK]〈限定盤〉」 戦時中(1939~45年)にドイツ帝国放送が収録したベルリン・フィルとフルトヴェングラーによる放送録音から現存するテープをすべて網羅したという、2018年末にリリースされたベルリン・フィル・レコーディングス「フルトヴェングラー帝国放送局(RRG)アーカイヴ 1939-45」(KKC-5952/22 SACD Hybrid)から、演奏、音質が特に優れている録音をベルリン・フィル自身がセレクトしたという8枚組のLPボックスセット。 LPのマスターはオリジナルのアナログテープからのダイレクトトランスファーではなく、SACDボックスをリリースする際に行ったマスタリング音源を元に製作。解説書には、ソ連軍による戦後の押収からコピーの返還、マスター・テープの発見に至るまで、この録音をめぐる歴史について書かれている(日本語訳付)。ドキュメンタリーを含むボーナスDVD1枚と、SACDボックス(KKC-5952/22SACD Hybrid)に収録されているすべての音源のハイレゾ・ダウンロード・コードが付属。ええ、全部ダウンロードしましたよ。ダウンロードしただけですけど・・・(笑) [LP1 A] R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」[17'21"] 1942年2月15,16,17日、旧フィルハーモニー 音源 オープンリール・テープ、モスクワ放送からのコピー(1987年返還テープ) ワーグナー:「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲 [9'15"] 1942年2月26日、AEG工場 音源 放送局フィルム・サウンドトラック、コピー [LP1 B] シューマン:チェロ協奏曲 [22'44"] ティボール・デ・マヒューラ(チェロ) 1942年10月25~28日、旧フィルハーモニー 音源 オープンリール・テープ、ドイツ帝国放送局オリジナル(1991年返還テープ) [LP2 A] ワーグナー:「トリスタンとイゾルデ」より前奏曲と愛の死[18'48"] 1942年11月8,9日、旧フィルハーモニー 音源 オープンリール・テープ、ドイツ帝国放送局オリジナル(1991年返還テープ) [LP2 B] シベリウス:エン・サガOp.9 [20'24"] 1943年2月7~10日、旧フィルハーモニー 音源 オープンリール・テープ、ドイツ帝国放送局オリジナル(1991年返還テープ) [LP3 A] ベートーヴェン:「コリオラン」序曲 [9'09"] 1943年6月28,29,30日、旧フィルハーモニー 音源 オープンリール・テープ、ドイツ帝国放送局オリジナル(1991年返還テープ) [LP3 A/B] ベートーヴェン:交響曲第5番 [33'13"] 1943年6月28,29,30日、旧フィルハーモニー 音源 オープンリール・テープ、コピー [LP4 A] R.シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」 [14'53"] 1943年11月13,14,15,16日、旧フィルハーモニー 音源 オープンリール・テープ、コピー [LP4B、5A] ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 [44'15"] エーリヒ・レーン(ヴァイオリン) 1944年1月9,10,11,12日、旧フィルハーモニー 音源 オープンリール・テープ、ドイツ帝国放送局オリジナル(1991年返還テープ) ※ フルトヴェングラーの旧フィルハーモニー最後の公演 [LP5B、6A] R.シュトラウス:家庭交響曲 [42'30"] 1944年1月9,10,11,12日、旧フィルハーモニー (フルトヴェングラー、旧フィルハーモニー最後の公演) 音源 オープンリール・テープ、ドイツ帝国放送局オリジナル(1991年返還テープ) [LP6 B] ヘンデル:合奏協奏曲Op.6-10 HWV328 [17'49"] 1944年2月7,8日、ベルリン国立歌劇場 音源 オープンリール・テープ、モスクワ放送からのコピー(1987年返還テープ) [LP7 A] モーツァルト:交響曲第39番 [28'02"] 1944年2月7,8日、ベルリン国立歌劇場 音源 オープンリール・テープ、モスクワ放送からのコピー(1987年返還テープ) [LP7 B] ウェーバー:「魔弾の射手」序曲 [10'58"] 1944年3月20,21日、ベルリン国立歌劇場 音源 オープンリール・テープ、ドイツ帝国放送局オリジナル(1991年返還テープ) [LP8 A] ラヴェル:「ダフニスとクロエ」第1組曲より「間奏曲」、「戦いの踊り」 [7'09"] 1944年3月20,21日、ベルリン国立歌劇場 音源 オープンリール・テープ、ドイツ帝国放送局オリジナル(1991年返還テープ) ※ 初出 ラヴェル:「ダフニスとクロエ」第2組曲 [16'30"] 1944年3月20,21日、ベルリン国立歌劇場 音源 オープンリール・テープ、モスクワ放送からのコピー(1987年返還テープ) [LP8 B] シューベルト:交響曲第7番「未完成」 [22'56"] 録音 1944年12月12日、アドミラル・パラスト 音源 トラック1オープンリール・テール、コピー/2オープンリール・テープ、ドイツ帝国放送局オリジナル(1991年返還テープ) ※ 第2楽章初出 ※「慎重なリマスタリングを施しましたが、第2楽章には削除できないバックグラウンドノイズが含まれます」との注記あり。 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 (Bonus) オーディオ:トーンマイスター、フリードリヒ・シュナップ博士が語る(聞き手:ゲルト・フィッシャー/ドイツ・フルトヴェングラー協会) [13'27"] DVD:ベルリン・フィルのメンバー、フルトヴェングラーについて語る [14'00"] Berliner Philharmoniker Recordings KKC1201 10LP 発売日 2022年12月22日 "Wilhelm Furtwangler RIAS Recordings Live in Berlin 1947-1954" 「フルトヴェングラーRIAS録音選集LP-BOX」 独auditeがRIASに眠っていたオリジナルテープ(76cm/sec)を使用してマスタリングを施したもの。2011年11月にリリースされたフルトヴェングラーのRIAS録音選集LP-BOX(KKC-1011 廃盤)の再発盤。ただし前回リリースされた国内盤(KKC-1011)に付属した日本語解説及び特典のプログラム(レプリカ)は附属していない。 [LP 1] ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調 Op.68「田園」 (1947年5月25日)[42'24"] [LP 2] ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 Op.67「運命」 (1947年5月25日)[32'38"] [LP 3] ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調 Op.68「田園」 (1954年5月23日)[44'37"] [LP 4] ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 Op.67「運命」 (1954年5月23日)[34'35"] [LP 5-6A] ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調 Op.55「英雄」 (1950年6月20日)[52'26"] [LP 6B-7B] ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調 Op.55「英雄」 (1952年12月8日)[55'06"] [LP 8-9B] ブルックナー:交響曲第8番 ハ短調 (1949年3月15日)[76'04"] [LP 10A] シューベルト:交響曲第8番 ロ短調「未完成」 (1953年9月15日)[23'17"] [LP 10B-11B] シューベルト:交響曲第9番 ハ長調「グレート」 (1953年9月15日)[52'30"] [LP 12] ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 Op.98 (1948年10月24日)[41'24"] [LP 13] ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調 Op.90 (1949年12月18日)[38'44"] ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 Op.56a (1950年6月20日)[20'22"] [LP 14] ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調 Op.90 (1954年4月27日)[37'04"] ワーグナー:「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死 (1954年4月27日)[17'44"] ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 Audite KKC1083 14LP 発売日 2017年09月21日 「フルトヴェングラー名演集〈初回完全限定盤〉」 TAHRAフルトヴェングラー録音選集。「ウラニアのエロイカ」が3面カッティングで正常なピッチで収録されているとのこと。オランダのSound Performance社のプレスで日本のみの限定出荷で初回完全限定盤。 [LP 1A-2A] ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調Op55「英雄」 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 録音 1944年12月19-20日 ウィーン、ムジークフェライン大ホール放送録音 [LP 2B] ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番 ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 録音 1950年8月22日 ザルツブルク祝祭劇場 live [LP 3A-4A] ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op68 北ドイツ放送交響楽団 録音 1951年10月27日 ハンブルク、ムジークハレ live [LP 4B-5B] ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調 Op55「英雄」 ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 録音 1952年12月7日 ベルリン、ティタニア・パラスト live [LP 6A-7B] ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op125「合唱付き」 録音 1954年8月22日 ルツェルン、クンストハウス live エリーザベト・シュヴァルツコップ(ソプラノ)、エルザ・カヴェルティ(アルト) エルンスト・ヘフリガー(テノール)、オットー・エーデルマン(バス) ルツェルン祝祭管弦楽団 同合唱団 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮 King International/Tahra KKC-1030 7LP 発売日 2013年01月11日 これくらいだったら覚えられたな(笑) やはり帝国放送局の戦中録音の荒れ狂ったような演奏は独特のものがありますね。反面、RIAS録音選集に収められた、戦後のセッション録音に聴くことのできる「落ち着き」も悪くない。個人的にはTAHRAのセットに収録された北ドイツ放送交響楽団とのブラームス交響曲第1番がとくに好きです。ルツェルンの第9は、ちょっと脱脂されたようなさっぱり感が物足りません。 こうして並べてみると、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」はRIAS録音選集の1952年12月8日とTAHRAの一日違いの1952年12月7日を聴きくらべるなどの愉しみもあります。 |