158 フォーレのヴァイオリン・ソナタ第1番のdiscから




 これも、今回はLP篇。

 やはり、最初はこれ―

フランク:ヴァイオリン・ソナタ
フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番
ジャック・ティボー(ヴァイオリン)
アルフレッド・コルトー(ピアノ)
1929、1927
東芝 GR-2025 (LP)


 ジャケット違いで2枚所有。東芝のGRシリーズも2000番台までは悪くない音。1980年代になって出た70000番台と仏Pathe Referenceシリーズは過剰なノイズ除去によって、空気感が失われているので注意。

 技巧に関してはティボーもコルトーもほどほど、ヴァイオリンのポルタメントが甘美この上なく、ピアノは華やか。フランク、フォーレともに、演奏史上の奇跡・・・あ、同じことを言ってしまった(笑)付け加えれば、フランクとフォーレの第1番のソナタなら、音楽的にはフランクの方が好きだが、ティボー、コルトー盤ならまずフォーレを聴きたくなる。


フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番
同:ヴァイオリン・ソナタ第2番
ピエール・ドゥーカン(ヴァイオリン)
テレーズ・コシェ(ピアノ)
1957年以前
仏Erato LDE3061 (LP) mono
日本コロムビア(Erato) REM-1008-RE (LP) mono
日本RVC(Erato) ERA-1081(M) (LP) mono


 この国内盤も複数枚所有している。フランクとは異なって、stereo録音はない。

 美しさでは随一。フランクと同様、ピアノにいま一歩の主張を求めたい。


フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番
同:ヴァイオリン・ソナタ第2番
ジャン・フルニエ(ヴァイオリン)
ジネット・ドワイアン(ピアノ)
1952年以前
日ワーナー・パイオニア G-10508 (LP) mono


 mono時代でもうひとつ、絶対に落とせないレコード。ジャン・フルニエとジネット・ドワイアン夫妻のWestminster録音。ジャンはチェロのピエール・フルニエの弟、ジネットはジャン・ドワイアンの妹。

 いい意味で、もっともフランス的な香気を漂わせるのはこの盤。


フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番
同:ヴァイオリン・ソナタ第2番
ピエール・アモイヤル(ヴァイオリン)
アンヌ・ケフェレック(ピアノ)
1978.4
仏Erato STU71195 (LP)


 当時の若手ふたりによる録音。のびのびとしたヴァイオリンをやや硬質な音のピアノが支えており、そのコントラストが面白く、聴いていて愉しめる。わりあい好きなレコード。


フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番
ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ
フランク:ヴァイオリン・ソナタ
アルテュール・グリュミオー(ヴァイオリン)
イストヴァン・ハイデュ(ピアノ)
1962.7(フォーレ、ドビュッシー)、1961.12(フランク)
日PHILIPS X-5658 (LP)


フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番
同:ヴァイオリン・ソナタ第2番
アルテュール・グリュミオー(ヴァイオリン)
ポール・クロスリー(ピアノ)
1977
英PHILIPS 9500534 (LP)


 グリュミオーらしい美音。やはり旧録音の方が生彩に富む。


 忘れちゃいけないのは、仏Pathe Marconiと仏Eratoのフォーレ室内楽全集に収録された録音―

"Gabriel Faure La Musique de Chambre"
仏Pathe Marconi(EMI) 2C165-16331/6 (6LP)


 このセットに収録されているヴァイオリン・ソナタは―

オーギュスタン・デュメイ(ヴァイオリン)
ジャン=フィリップ・コラール(ピアノ)
1976.6.9-11, 1977.4.4, 5


 ひたすら抑揚をつけて歌わせる。テンポも揺れ動くのはいいとして、旋律に対してあまりに予定調和な印象、はっきり言ってしまえばやや陳腐。単調と聴こえる。


"Gabriel Faure La Musique de Chambre"
仏Erato STU70550/1/2/3/4 (5LP)


 こちらのセットに収録されているのは―

レイモン・ガロワ=モンブラン(ヴァイオリン)
ジャン・ユボー(ピアノ)
1969.10


 すべてがこうあって欲しいと思うような、規範となるべき演奏。単調ではなく、純情と感じるところが上記デュメイ、コラール盤との決定的な違い。懐が深い、大人の演奏。


 CD篇はまた機会をみて取り上げます―。


(Hoffmann)