109 あえて聴くmono盤 その3 カルロ・マリア・ジュリーニ篇 stereo盤が存在するのに、「あえて聴くmono盤 その3」は、前回「『同曲同演・異盤』聴きくらべ その1」で取り上げた指揮者、カルロ・マリア・ジュリーニのレコードです。 はじめの3枚はstereo盤と比較してみました。 シューベルト:交響曲第8番「未完成」 ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1961.1 英Columbia 33CX1778 (LP) (mono) 英Columbia SAX2424 (LP) (stereo) mono盤は紺金。 stereo盤はセミサークル。 はじめに両方ともSPU-AEで聴いたところ、これはstereo盤のほうがいいかなと・・・。mono盤だとジュリーニ流の厚みのある響きが塊になってしまうような気がします。その点、stereo盤の方がほぐれてくれるんですね。試みに、mono盤をCG 25 Dで聴いたところ、いくらか改善されました。ちょっと研究の余地がありますね。 チャイコフスキー:交響曲第2番 ムソルグスキー:「禿山の一夜」 カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1956.9.29 英Columbia 33CX1523 (LP) (mono) 英Columbia SAX2416 (LP) (stereo) mono盤は紺金。 stereo盤はブルーシルバー。 EQカーヴはいずれもColumbiaか。 CG 25 Dで聴くmono盤はバランスがいいですね。SPU-AEで聴いたstereo盤はさらに鮮明。ただし、これまでの経験でブルーシルバーはカートリッジを選ぶところがあると感じています。カートリッジによっては、なんか腰の据わらない、上ずったような響きの塊と聴こえるときがあるんですよ(SPU-AEがベストということではありません)。 シューマン:交響曲第3番「ライン」 同:「マンフレッド」序曲 カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1958.6.3,4 英Columbia 33CX1662 (LP) (mono) 独Columbia SAXW9586 (LP) (stereo) mono盤は紺金。EQカーヴはColumbiaか。 stereo盤はいわゆる表面隆起盤。未だわずかなんですが、既に音に出るレベル。よって聴いていません。ああ、残念。 マーラー版による録音です。mono盤をCG 25 Dで聴きました。演奏がすばらしく、あまり音のことを気にしないで、厚みのある響きで滔々と流れる旋律に聴き惚れてしまいました。ということは、この盤でなにも問題ないということですね(笑) フランク:交響曲ニ短調 同:交響詩「プシュケーとエロス」 カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1957.7、1958.5 英Columbia 33CX1589 (LP) (mono) 英EMI SXLP30055 (LP) (stereo) mono盤は2枚持っています。いずれも紺金。 stereo盤は"HMV Concert Classics Series"。これがstereo初出かもしれません。 EQカーヴはどちらもRIAAと思われます。 演奏はこの時期にして貫禄。フランクの作品は、フランス音楽というよりドイツ的な音楽だと思っていますが、この演奏ではいずれにも傾かないバランス感覚・・・というよりジュリーニ流です。かえって作品にふさわしいかもしれません。mono盤はいいバランス。stereo盤はやや高域強調気味と聴こえます。 ブラームス:交響曲第1番 カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1961. 英Columbia 33CX1773 (LP) (mono) ブラームス:交響曲第2番 カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1962.10 英Columbia 33CX1855 (LP) (mono) いずれも紺金。EQカーヴはRIAAと思われますが、1番はやや高域を下げたい。 1番の演奏は充実。オーケストラの音色もたいへん美しい。2番の演奏もすばらしく、ドイツ的ではないものの、歌わせすぎることもなく、暖かい南に憧れるブラームスらしさが感じられます。あくまで「憧れ」である点に注意。同じイタリア人指揮者でも、ある指揮者だとじっさいに南の地に立ってしまう。別なある指揮者だと洗練されすぎていて、都会のアスファルトの上に立っているように聴こえるんですよ(笑)響きの「ふくらみ」はこの時期にしてジュリーニ流が確立しています。軽やかな重厚。もちろん全4曲とも、再発盤ながらstereo盤も持っていますが、3番、4番も、mono盤があったらぜひ入手したいですね。 (Hoffmann) |