161 ブラームスの交響曲のdiscから その3




 ブラームスの交響曲のレコード、今回はハンス・シュミット=イッセルシュテットの全集盤以外の録音からはじめます―

ブラームス:交響曲第4番
ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮 北ドイツ放送交響楽団
1963頃?
仏VOX GBY12.270 (LP) mono
独PARNASS ST-PL120 (LP) stereo

 このレコードは以前、「123 あえて聴くmono盤 その7 交響曲、管弦楽曲から」で取り上げている。その時のコメントを再掲すると―

-----(ここから)-----
 VOX原盤。仏VOX盤はフランスのmono盤のoriginal。プレスはPatheプレスか。
 独stereo盤はPARNASSシール貼り。
 EQカーヴはいずれもRIAA。

 この指揮者とオーケストラによるブラームスには、1967-73年に交響曲全4曲の放送用(?)録音がありますが、それとは別録音。これは第4番の旧録音ということになります。どうも1962年録音らしく、アメリカへの演奏旅行時の、現地でのセッション録音ではないかとの推測あり。シュミット=イッセルシュテットのVOX原盤はこの1曲だけのようです。

 mono盤とstereo盤、同等ながら、stereoも音場感が豊かになるようなものでもなく、わずかにしなやかさが加わるかという印象。腰の据わった剛直な演奏は、mono盤にこそふさわしいように思えます。
-----(ここまで)-----

 上記のとおり、VOXがoriginalなので、おそらくアメリカ演奏旅行中の録音と思われる。PARNASSのstereo盤は比較的めずらしいかもしれないが、VOXのmono盤で十分この指揮者とオーケストラの渋みが愉しめる。1982年に独ARTIPHONから4LP、独ACANTAからヴァイオリン協奏曲や管弦楽曲を含めて5LPで出た全集とは別録音。全集の4番は1973年録音で、ゆったりした余裕があるが、こちらはややソリッドに引き締まる。

 この指揮者とオーケストラによるブラームスの交響曲は、全集以外では、2番が2種類ある。


ブラームス:交響曲第2番
ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮 北西ドイツ放送交響楽団
1955.4.13-20
米Capitol P18000 (LP) mono

 EQカーヴはおそらくAES。

 1956年頃米Capitolから出たもので、これがoriginalと思われる。北西ドイツ放送交響楽団という表記はレコードのジャケットに従った。米Capitolにはハンス・シュミット=イッセルシュテットと北ドイツ放送交響楽団のレコードが何枚かあり、ヨーロッパでは出ていないものも少なくないが、すべてがアメリカでの録音とは考えにくい(そんなに短期間に何度も行っていないはず)。録音年月日は上記のとおり、おそらくこれはアメリカ演奏旅行中ではなく、ハンブルクでの録音と思われる。放送局からレコード化の権利を買ったのかもしれないが、あくまで推測の域を出ない。


ブラームス:交響曲第2番
ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮 北西ドイツ放送交響楽団
1962頃?
独NDR 008 870 (LP) mono

 これはNDR Archivesからの発売。プレスはDG。放送用録音か?

 全集の1967年liveと1955年の米Capitol盤、1962年頃のNDR盤と続けて聴いてみたが、ほとんど基本的なところは変わっていない。どれを聴いても満足できる。


 次にフリッツ・ブッシュの指揮で―


ブラームス:交響曲第2番
フリッツ・ブッシュ指揮 デンマーク放送交響楽団
1947.10
独Electrola F665 728 (LP) mono

ブラームス:交響曲第4番
フリッツ・ブッシュ指揮 ウィーン交響楽団
1950.10.15
Relief RL833 (LP) mono

 4番はRadio Rot-Weiss-Rot音源。monoとしては上質。

 2番は渋いと言えば聞こえはいいが、もうひとつ微温的で冴えない。4番の方がよほど充実している。


ブラームス:交響曲第4番
エドゥアルト・ファン・ベイヌム指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
1956.9
東独ETERNA 8 25 192 (LP) stereo

 これはPHILIPSの全集録音と同じもの。4番は、このETERNAから出た盤で聴くとわりあい印象がよくなるが、やはりベイヌムならば、mono時代に録音された次の1枚がいい―

ブラームス:交響曲第1番
エドゥアルト・ファン・ベイヌム指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
1951.9.17
英DECCA LXT2675 (LP) mono

 じつはこれは2枚持っていて、スタンパーが次のようになっている―

1枚目 A面:ARL1005-4B  B面:ARL1006-4A
2枚目 A面:ARL1005-5AR B面:ARL1005-5AR

 2枚目のスタンパーの末尾の"R"はRIAAカーヴで切りなおしたことを示している。じっさい、1枚目はDECCAffrr、2枚目はRIAAで同じバランスになる。


 ジョージ・セルも、全集録音よりも以下の2枚が好き―


ブラームス:交響曲第3番
ジョージ・セル指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
1951.9.3
英DECCA LXT2676 (LP) mono

ブラームス:交響曲第1番
ジョージ・セル指揮 クリーヴランド管弦楽団
1957.3.1-2
英Columbia(EPIC) BC1010 (LP) stereo

 DECCAの3番はベイヌムの1番とレコード番号が1番違い。EQカーヴはDECCAffrr。ジョン・カルショウ、ケネス・ウィルキンソン・チームによる最初の年の仕事。

 第1番は1回目の録音。蘭fontanaのmono盤も所有して気に入っていたが、この盤を入手して、stereo録音されていたことを知った。ちなみに全集録音の1番は1966年10月7日録音。

 セルの録音はほとんど聴いているが、レコードで聴く限り1950年代がすぐれていると感じるのは録音のせいかどうか・・・1960年代の録音でも、mono盤の方が音質が良い場合があるので。


(Hoffmann)