163 女流ヴァイオリニストのdiscから その2 ジャンヌ・ゴーティエJeanne Gautier 1. メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調 Op.64 2. クライスラー:パヴァーヌ 3. クライスラー:プニャーニのスタイルによる前奏曲とアレグロ 4. ヴィターリ:シャコンヌ 5. シューベルト:ピアノ三重奏曲第2番変ホ長調 Op.100より第1楽章、第2楽章 ジャンヌ・ゴーティエ(ヴァイオリン:1-4) ピエール=ミシェル・ル・コント指揮、リリック放送管弦楽団(1) ユゲット・ドレフュス(チェンバロ:2-4) フランス三重奏団(5) ジャンヌ・ゴーティエ(ヴァイオリン) アンドレ・レヴィ(チェロ) ジュヌヴィエーヴ・ジョワ(ピアノ) モノラル/ライヴ録音: 1958年6月22日 エラール・スタジオ31(1) 1956年7月7日 モアザン・センター(2-4) 1960年3月6日 フランス・ラジオ・テレビ放送局内スタジオ 公開収録(5) Previously unissued recordings Licensed by INA Belle Ame CDSMBA149 (CD) フランス国立視聴覚研究所(INA)音源。これはジャンヌ・ゴーティエの未発表録音。ジャンヌ・ゴーティエが幼くして神童として注目され、パリ音楽院でジュール・ブーシュリに学び、卒業後、1910年代半ばには国際的な演奏活動を展開。戦後、1950年代にはピアノのジュヌヴィエーヴ・ジョワ、チェロのアンドレ・レヴィとフランス三重奏団を結成して、室内楽分野でも活躍した人。録音が少ないので、このdiscは貴重。晩年の消息は不明とのこと。 Jeanne Charlotte Gautier 「ジャンヌ・ゴーティエ Historical Recordings」 1-4.ホアキン・ニン:20のスペイン民謡集より モンタニェーサ/ムルシア地方の歌/グラナディーナ/祈り 5.マスネ:タイスの瞑想曲 6.チャイコフスキー/クライスラー編曲:無言歌 7.クライスラー:中国の太鼓 8.クライスラー:狩 9.フォーレ:子守歌 ト短調 10.シューベルト:蜜蜂 11.クライスラー:愛の悲しみ 12.フバイ:そよ風 13.クライスラー:前奏曲とアレグロ 14.ブラームス/ヨアヒム編曲:ハンガリー舞曲第1番 15.シューベルト/クライスラー編曲:楽興の時 第3番 16.タルティーニ~クライスラー:コレッリの主題による変奏曲 17ドビュッシー:レントよりおそく 18.プーランク:常動曲 19.ガーシュウィン/デュカシン編曲:短い話 20.ファリャ:スペイン舞曲「はかなき人生」より 21-23.ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ ジャンヌ・ゴーティエ(ヴァイオリン) ホアキン・ニン(ピアノ:1-4, 13)、 ジョン・ダグラス・トッド(ピアノ:18-20)、 イヴォンヌ・ルフェビュール(ピアノ:21-23)、 不明(ピアノ:5-12, 14-17) グリーンドア音楽出版 GDCS0026 (CD) クリストファ・N・野澤氏監修のシリーズ。従ってSP盤からの板起こし。もちろんそのSP盤はどれも現在では入手極めて困難なもの。ここでは、すべてoriginal盤から復刻されている。 Jeanne Charlotte Gautier なお、「148 ミシェル・オークレールのdisc」のときに取り上げた、Spectrum Sound(Belle Ame) CDSMBA024 (4CD) にはゴーティエによる以下の演奏が収録されている― モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第21番 ホ短調 K.304 ジャンヌ・ゴーティエ(ヴァイオリン)、ラザール・レヴィ(ピアノ) 録音:1956年2月5日/パリ モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第23番 ニ長調 K.306 モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第26番 変ロ長調 K.378 ジャンヌ・ゴーティエ(ヴァイオリン)、レリア・グッソー(ピアノ) 録音:1953年10月29日/パリ ジャンヌ・ゴーティエとアンドレ・レヴィ(チェロ)、ジュヌヴィエーヴ・ジョワ(ピアノ)によるトリオ・デ・フランスのdiscも取り上げておきます。今回、これのみLP― フォーレ:ピアノ三重奏曲 op.120 ラヴェル:ピアノ三重奏曲 op.70-1 トリオ・デ・フランス ジャンヌ・ゴーティエ(ヴァイオリン) アンドレ・レヴィ(チェロ) ジュヌヴィエーヴ・ジョワ(ピアノ) 1965.3.13 live Belle Ame LPSMB016 (LP) mono このトリオは1952年に創設されていますが、常設ではない。2曲ともにフランスの香気あふれる演奏、とくにフォーレが同曲のベストか。 ドゥニーズ・ソリアーノDenise Sorriano フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 同:弦楽四重奏曲 ドゥニーズ・ソリアーノ(ヴァイオリン) マグダ・タリアフェロ(ピアノ) クレットリー四重奏団 1933、1928.12 東芝 TOCE-8771 (CD) ドゥニーズ・ソリアーノもパリ音楽院のジュール・ブーシュリ門下生で、ジネット・ヌヴー、ジャニーヌ・アンドラードとともにブーシュリクラスの三羽烏と呼ばれた人。生まれはカイロで、このタリアフェロと組んだフォーレのヴァイオリン・ソナタ第1番はシャルル・クロ アカデミー大賞を受賞。内外オーケストラと共演して、同時代作品の多くを取り上げて、ミヨー、マルティノン、ブリテンの作品などを初演している。1958年(1956年とも)にはブーシュリと結婚。ちなみにマグダ・タリアフェロはブラジル生まれでコルトーの愛弟子、ロベール・クレットリー率いるクレットリー四重奏団は1919年創設。この録音では、チェロを若きアンドレ・ナヴァラが担当。一時期、ピエール・フルニエがメンバーとして名を連ねていたことでも知られている。 Denise Soriano-Boucherit、Jules Eugene Boucherit ギラ・ブスタボGuila Bustabo Guila Bustabo ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲二長調 Op.61 ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調 Op.26 ギラ・ブスタボ(ヴァイオリン) ウィレム・メンゲルベルク指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1943.5.6 live(ベートーヴェン)、1940.10.27 live(ブルッフ) Memories MR2625 (CD) ギラ・ブスタボは1916年アメリカ生まれ。9歳でシカゴ交響楽団と共演したという神童でありながら、これまた録音が少なく、生前から伝説化した存在であった人。 名伴奏ピアニストとして知られるアイヴァー・ニュートンは、初めて彼女を聴いた際に、「彼女はまるで天使のようだ。そして天使の様に演奏する」とその容姿と演奏技術を称賛しました。 このヨーロッパ録音はメンゲルベルクの招きによるもの。音質は当時のlive録音としては鮮明で聴きやすく、ベートーヴェンでは楽章間に小さく「ブラヴォ」という声が聞こえ、メンゲルベルクものではないかと言われている。 音色は明るく美しく、テクニックの面でも問題はないが、わずかに息が短いか。 Guila Bustabo イゾルデ・メンゲスIsolde Menges ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」 ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第2番 同:ヴァイオリン・ソナタ第3番 イゾルデ・メンゲス(ヴァイオリン) アルトゥール・デ・グリーフ(ベートーヴェン)、ハロルド・サミュエル(ブラームス) 1925.10., 1929.6., 1929.12. Biddulph LAB076 (CD) "Isolde Menges The Auer Legacy" Disc1 1. J.S.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ第3番ホ長調 BWV.1016 録音:1928年6月11日&12月13日/初出盤:HMV C 1632/33 2. J.S.バッハ:管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV.1068~エア(ウィルヘルミ編) 録音:1927年6月27日/HMV D 1288 3. J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番ホ長調 BWV.1006~ガヴォット(クライスラー編) 録音:1929年6月26日/HMV B 3465 4. J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番ト短調 BWV.1001~フーガ 録音:1922年9月7日/HMV E 269 5. J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調 BWV.1004~シャコンヌ 録音:1924年4月27日/HMV D 875/76 6. ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.61 録音:1923年9月4,5,6,21日/HMV D 767/71 Disc2 7. ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 Op.1-3, HWV.361 録音:1926年10月11日/HMV D 1371 8. ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ ニ長調 Op.1-13, HWV.371 録音:1921年12月16日、1922年1月11日/HMV E 279/80 9. シューベルト:ヴァイオリン・ソナタ(ソナチネ)第3番ト短調 D.408 録音:1927年12月13日/HMV D 1398/99 10. シューベルト:アヴェ・マリア(ウィルヘルミ編) 録音:1927年6月27日/HMV D 1313 11. ブラームス:ハンガリー舞曲 第7番イ長調(ヨアヒム編) 録音:1930年1月10日/HMV B 3465 12. フバイ:チャールダーシュの情景 第4番『ヘイレ・カティ』 Op.32 録音:1926年12月1日/HMV D 1223 13. フバイ:花の生命~第5曲『ゼフィール』 Op.30-5 録音:1930年1月10日/HMV B 3749 14. ショパン:夜想曲 変ホ長調 Op.9-2(サラサーテ編) 録音:1927年6月27日/HMV D 12881 15. ヴィエニャフスキ:ヴァイオリン協奏曲第2番ニ短調~第3楽章「ア・ラ・ツィンガラ」 録音:1916年9月1日/HMV D 529 16. ファリャ:スペイン舞曲(クライスラー編) 録音:1927年10月31日/HMV E 508 17. スタンフォード:妖精の踊り Op.89-3 録音:1928年6月12日/HMV C 1623 18. エルガー:愛の挨拶 Op.12 録音:1927年6月27日/HMV D 1313 19. ヴォーン・ウィリアムズ:揚げひばり 録音:1928年3月21日/HMV C 1622/23 イゾルデ・メンゲス(ヴァイオリン) ハロルド・サミュエル(ピアノ:1) アイリーン・ビーティー(ピアノ:2,3) サー・ランドン・ロナルド指揮、ロイヤル・アルバート・ホール管弦楽団(6) アイリーン・ビーティー(ピアノ:7,8,10-14,16-18) アルトゥール・デ・グリーフ(ピアノ:9) チャールトン・キース(ピアノ:15) サー・マルコム・サージェント指揮、オーケストラ(19) 復刻プロデューサー: Eric Wen 復刻エンジニア:Raymond Glaspole デジタル・マスタリング:Rick Torres Biddulph BIDD85047 (2CD) いずれも英Biddulphから出たCDですが、後者は最近の発売で、"The Auer Legacy"シリーズのうちのひとつ。 イゾルデ・メンゲスは名教師レオポルト・アウアーの弟子。1893年に英国ブライトン近郊で音楽教室を営む家庭に生まれ、16歳の時にペテルブルクで名教師レオポルト・アウアー門下に加わり、アウアーからは、精鋭ぞろいの門下生の中でも「最も才能に恵まれた生徒のひとり」と言われたとか。1913年、ロンドンでコンチェルト・デビュー、ロンドンではウッドやワルターらの指揮で演奏、アムステルダムではメンゲルベルクが指揮するコンセルトヘボウ管弦楽団とベートーヴェンとブラームスの協奏曲を演奏。1916年にアメリカ・デビューを飾ると、第1次大戦が終わるまで北米に留まり、1919年にイギリスに戻った後は主に英国内で活躍した人。ここに収録されたバッハのシャコンヌ、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲、ヴォーン・ウィリアムズは、記念すべき世界初録音。復刻はさすがのBiddulph。 Isolde Marie Menges (Hoffmann) |